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[ 警察小説 ]
水脈
真壁修刑事&宮下真人刑事
伊岡瞬 出版月: 2024年02月 平均: 7.00点 書評数: 1件

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徳間書店
2024年02月

No.1 7点 人並由真 2024/12/02 06:30
(ネタバレなし)
 神田川の一角の排水口周辺から、ひとりの若い男性の他殺死体が見つかる。被害者は21歳の私立大生・森川悠斗と判明。高円寺北所の巡査部長・宮下真人は、顔なじみの警視庁の真壁修巡査部長と組んで事件を追うが、彼ら二人は警察庁上層部の請願で、ひとりの若き女性が捜査に随行することになった。

 宮下シリーズ&真壁シリーズの最新作で、今回は『悪寒』以来の両者共演編ということになる……のか?
 ゲストヒロインで社会行動学専攻の大学院生という小牧未歩(日系米国人が父親の日米ハーフ)が三人目の捜査側のメインキャラとして主役コンビの捜査に同行。
 一方で捜査の流れと別に、もう一つ別のストーリーがほぼカットバック式に語られ、話は中盤でかなり(中略)な道筋を明かす。

 人間の邪悪さを大きな主題のひとつにするいつもの伊岡作品らしい作りだが、後半3分の1~4分の1でさらに物語は斜め下の深みにはまっていく。強引で力業も感じる作劇と全体の仕上だが、リーダビリティはこの上なく高く、いっきに読ませる加速感は間違いない。
 まあ最後の悪役が滔々と語る心情吐露の図に、そこでまた荒っぽさを感じる人もいそうだが。

 事件を構成するパーツの組み合わせ方に工夫がある一方、先のような強引・力業・荒っぽいなどの不満も覚え、もうちょっと練り合わせようもあったんじゃないか、という気もしないでもない。が、出来たものには、とにもかくにも妙な活力は間違いなく感じるので、これはこれでいいか。
 活字が大きいので、今夜のショボい目にはやさしくて助かった。

 Amazonのレビュー眺めると、賛否両論の作品みたいね。うん、なんとなく良くわかる。


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