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[ 青春ミステリ ] 三十三人目の探偵 |
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吉村達也 | 出版月: 1991年01月 | 平均: 5.00点 | 書評数: 1件 |
角川書店 1991年01月 |
No.1 | 5点 | 人並由真 | 2022/02/14 06:34 |
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(ネタバレなし)
一学年1クラス、各33人の生徒。基本的に金持ちの子女のみを生徒とする全寮制の私立高校「ベルエア学園」。両親と死別した高校二年生の女子・栗田つぐみは、遠縁の者と称する老和尚・伊集院尚吾の計らいで、尚吾の息子・太郎が理事長兼校長を務めるベルエア学園に転入する。だがそこでは少し前に退学処分になったばかりの女子高校生が殺害されたばかりで、しかも校内には、転校生が決まって何者かに殺されるという噂があった。 1991年1~3月にテレビ東京系で放映された、東宝製作のテレビドラマ『ハイスクール大脱走』の原案として構想され、テレビ放映スタートと同時に文庫書き下ろしで刊行されたタイアップ小説。 メディアミックス前提のオリジナルストーリーだが、実際にオンエアされたドラマの内容はかなり違っているらしい。評者は本書を読むまで、そんな番組の存在すら知らなかった(webで検索すると、最近でも結構ファンがいるようだが)。 作者があとがきで、企画ものの青春学園ミステリであることを開陳し、さらにあくまで「大人のために書いた青春ミステリ」である旨を訴えている。 ミステリとしての献立は、ミッシングリンク的な相次ぐ怪死の謎、不可解なダイイングメッセージ、教室のほとんどの生徒の所持品からなぜか盗まれた古文のテキストブックの謎(ホワイダニット)など、それなりに取り揃え。 その上で一応はフーダニットのパズラーになっているが、いま書いた三つのネタのうちのひとつは、完全に腰砕けである。これはないだろ、という感じ。あとの二つはまあまあか。 ぢつは読み始める際の期待値はかなり低く、最悪、赤川次郎のCクラスレベルのものまで覚悟していたので、その辺のモンよりはずっとマシではあった。ただまあ、やっぱりあれこれ強引だね。 まあまあ楽しめた、という意味でこの評点で。 |