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[ ハードボイルド ]
犯罪ハネムーン―新婚刑事事件簿
青野純平&容子
生島治郎 出版月: 1985年03月 平均: 6.00点 書評数: 1件

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実業之日本社
1985年03月

集英社
1989年07月

No.1 6点 人並由真 2021/03/08 05:48
(ネタバレなし)
 フリーライターの牧村容子は、大学の先輩で7歳年上の警視庁捜査四課の刑事・青野純平とめでたく結婚。純平の希望を受けて専業主婦となった容子は、夫が仕事中のアパートでヒマを持て余す。だがそんな彼女の周囲に、それぞれの事情から困った人や夫の仕事がらみの犯罪者? などが出現。牧村夫妻の対応はいかに。

 連作集『犯罪ラブコール』の続編で、今回は8本の短編を収録した一冊。シリーズものとは知らなかった(さらにもう一冊ある)ので、ブックオフの棚で現物を見つけて軽く驚いた。

 ちなみに本作の巻頭に収録の「女房暴走族」が新婚編の第一話だが、純平が、独身時代はフリーライターとしてバリバリやっていた容子に言ったセリフが「夫が働いて帰ってきて、女房が家で仕事して原稿なんか書いていたらたまらんからやめろ」(大意)であり、これって生島がかつて小泉喜美子と結婚する際に当人に告げた現実の物言いとほぼいっしょ(生島夫妻の場合はより正確には、夫婦で机並べて書き物なんかしてる図を考えるとたまらないからやめろ、とかだっけ)。
 本作の元版は85年3月の初版で、さらにこのシリーズが雑誌連載とかしていたら、85年11月に亡くなった小泉喜美子は晩年に本作にも触れた可能性も強いよね。あまり下世話なことを言ってはいけないのだけれど、なんらかの感じるものはあったのではと当時を偲んでしまった。

 読み物キャラクターミステリとしては、前巻同様にいい感じの佳作~秀作ぞろいで、サクサク楽しめた。全8本のなかでベスト上位は、小味ながらトリッキィな「囮になった女房」、ゲストヒロインが印象的な「姦通刑事」、犯人像がちょっと怖い「新郎逮捕」あたり。

 今回も集英社文庫巻末の、清水谷宏のいかにもミステリファンっぽい解説は楽しい。ところで警察小説ジャンルの刑事の夫婦ものの話題で、メグレ夫妻は挙げなくていいんですか? 


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生島治郎
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