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[ ハードボイルド ]
犯罪ラブコール―のんびり刑事未解決事件簿
青野純平&牧村容子
生島治郎 出版月: 1982年05月 平均: 6.00点 書評数: 1件

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実業之日本社
1982年05月

集英社
1988年09月

No.1 6点 人並由真 2019/02/07 16:37
(ネタバレなし)
 暴力団犯罪を担当する警視庁捜査四課の青野純平は36歳の部長刑事。素性だけ聞くとかなりの強面風だが、当人は163㎝と小柄な体格の二枚目だった。だが正義感と義侠心は本人なりに強く、そんな彼のところに大学の後輩でフリーライターのガールフレンド・29歳の牧村容子が、困った人のため、事態を公にしないままにトラブルを解決してほしいと、今日も相談事を持ち込んでくる。互いに憎からず思いながらも恋人関係にまで至らない容子のため、またも面倒ごとに乗り出す純平だが。

 昭和の中学生でも読めそうなラブコメ設定をベースにした全8話の連作短編集で、こういう軽いものも得意とした作者・生島の持ち味が出た作品。こういった作風の幅広さは、弟分の大沢在昌にもそのまま受け継がれている。
 お人好しで窮地の人を放っておけないヒロインと、そんなガールフレンドのちゃっかりした毎回の頼みで、基本的に警視庁にはナイショで非公式に事件を解決(またはそれに近い状態まで持ってく)しなきゃならない刑事、というアイデアは、個人で行動する私立探偵的な足捌きと、警察の捜査権限の利便性との折衷でなかなか面白い。この設定のおかげで、きわめてハイテンポに毎回の事件が進んでいく。
 ミステリとしては原則ライトな感じだが、途中には純平の捜査官というか人間としてのモラルを厳しめに問うエピソードなどもあり、この辺は軽めの作品にもハードボイルドの気概をちょっとは込めておきたかった生島の心意気が覗けて評価が上がる。一冊楽しく読めて、心にどこかちょっと引っかかる、そんな感じの昭和軽ハードボイルド。
 ちなみに今回は集英社文庫版で読んだけど、巻末の解説を書いている清水谷宏という人。あまり聞かない名前だけど、記事の内容が良い意味でファン的でいい感じ。先に自分の好きな海外のハードボイルド作家たちの話題をしたくて、牽強付会っぽく、解説にそれらの件を持ち出してきてるみたいな感じもふくめて、なんか微笑ましい。


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生島治郎
1999年12月
修羅の向う側 志田司郎探偵事務所
平均:6.00 / 書評数:1
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