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[ 短編集(分類不能) ] 東京2065 |
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生島治郎 | 出版月: 1966年01月 | 平均: 6.00点 | 書評数: 1件 |
早川書房 1966年01月 |
No.1 | 6点 | 人並由真 | 2019/03/21 03:07 |
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(ネタバレなし)
『傷痕の街』『黄土の奔流』をすでに上梓し、一方でまだ『追いつめる』をものにしていないタイミングの作者がハヤカワ・SF・シリーズ(銀背)から刊行したSF主体の短編集。7編の短編と12編のショートショート。そして巻末に表題作の中編作品が収録されている。7編の短編と12編のショートショートはものの見事に玉石同架という感じの中身で、中にはいかにも昭和っぽい悪い意味でシンプルな<ロボットオチ><タイムパラドックスオチ>の作品などもある。短編の中で良かったのは、トリッキィな仕掛けを用意していた『前世』とか、我々の21世紀の現実の機械文明に雇用が奪われていく風潮を予見・風刺した『ゆたかな眠りを』あたりか。 意外に読みごたえがあったのが表題作『東京2065』で、これは西暦2065年の未来世界での秘密捜査官・日高嶺二を主人公にした連作風の事件簿。映画『ブレードランナー』(評者はディックの原作は未読なのでこう書く)のレプリカントみたいな、人間そっくり・皮膚に傷もつけば血も流れて、判別困難なロボットが浸透した世界で、その種の高性能ロボットを悪用した犯罪を企図する天才科学者を向こうに回したシリーズ。生島流の国産ハードボイルドと敷居の低い未来SF世界観との融合がなかなか楽しめる。できれば同じ主人公での長編作品の執筆、もしくは丸々一冊分~二冊目の連作短編集の刊行までシリーズを膨らませてほしかった気もするが、特殊な設定だけにすぐにマンネリか薄味になっていた可能性もある。そう考えるなら、この現状の全80ページ(その中で章割りして6つの事件)で終わらせて良かったかもしれない(万が一、自分が知らない、更なるシリーズ展開がもしあったらアレだが~汗~)。 残念なのは、各作品の初出誌の書誌データがまったく記載されていないこと。こういう種類の短編集の作品群こそ、それぞれどういう出版社のどういう読者を対象にした雑誌に載ったのか、ソコが気になるのだが。 |