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[ 警察小説 ]
スワロウテイルの消失点
法医昆虫学捜査官
川瀬七緒 出版月: 2019年07月 平均: 7.00点 書評数: 3件

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講談社
2019年07月

講談社
2021年07月

No.3 7点 猫サーカス 2023/11/01 18:10
東京都杉並区の住宅地の一軒家から、独居老人の腐乱死体が発見された。解剖の結果、他殺であることが判明。事件現場の様子から、侵入盗が帰宅した老人と出くわした末に起きた単純な事件と思われた。だが解剖室では異様な事態が起きていた。解剖が進むうち、立ち会った者たちに発疹が起こり、やがてそれは猛烈な痒みへと移行していった。一体原因は。やがて空き巣の常習犯が逮捕された。被害者宅に盗みに入ったことは自供したが、殺害には頑強に否定する。事件現場にはもう一人の人物がいた証拠が残されていた。共犯か、空き巣と関係のない人物なのか。警察庁捜査一課の岩楯は謎の人物を追い、法医昆虫学者の赤堀涼子は、発疹の原因となった、ある昆虫の痕跡をたどっていく。法医昆虫学とは、遺体にたかる昆虫の成育状況などから死因や死亡時期を割り出す学問である。そのため蛆が湧いた腐乱死体が毎回のように登場する。虫嫌いやグロテスクな描写が苦手な人には、本書の魅力が十分に伝わらないかもしれない。無茶な行動も厭わない赤堀。そんな彼女の行動にハラハラしながらも、地道な方法で捜査を進めていく岩楯。衝突しつつも、互いに最大の理解者である二人の事件への異なったアプローチがある一点で結びつく。その意外性が最大の魅力。さらに岩楯とコンビを組む個性的な若手刑事の成長や、赤堀とある少年との交流など、主筋と巧みに絡み合う脇筋の物語も読みどころ。猪突猛進に見えて深謀遠慮、単なる学者バカではない複雑な赤堀のキャラクターが魅力的。

No.2 6点 makomako 2022/04/11 20:48
 このシリーズはまず初めに死亡した被害者の法医解剖から始まる。これがいつもグロイのだが、今回はひときわグロイ。さらにその場面で顔にウジをつけたまま顔を洗おうともしないで調査し続ける赤堀はさすがに異常です。
 その後はいつものように聞いたこともない昆虫が出てきてひどい目にあいながら最終的にはほのぼのとした解決となる。
 全く同じパターンなのです。最後が気分がよく終わるのも同様。
 これで何作も続くのはひどく異常なところをもつ赤堀が本質的には好感が持てる女性であることと、ほかの人物も変なやつが多いのに何故か良いところがあるためなのでしょう。
 それにしてもいつも初めがグロイのはあまり好みではないので、全体として好印象な割に私っとしての評価は少し低くなってしまいました。

No.1 8点 虫暮部 2019/11/01 11:49
 捜査側のキャラクターが色々語られ厚みを増す反面、加害者の特異性については単に“そういう人間がいた”というだけで片付けているのが少々物足りない。とはいえ読者の知見を広げ偏見を砕き新世界へいざなう赤堀の言動は爽快なり。『~読む本』の使い方も上手いと思った。


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