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[ SF/ファンタジー ]
われはロボット
別題「わたしはロボット」「アイ・ロボット」
アイザック・アシモフ 出版月: 1963年01月 平均: 6.00点 書評数: 3件

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早川書房
1963年01月

東京創元社
1976年04月

早川書房
1983年11月

角川書店
2004年08月

早川書房
2004年08月

No.3 6点 斎藤警部 2021/01/19 11:31
超虚数キタア。。 回顧録インタビュー相手の肩書が何しろ「ロボット”心理”学者」!

クリスティ再読さんのおっしゃる「デバッグの面白さ」「パズルのよう」等々、本当にその通りと思います。 かの『ロボット三原則』その前提というか枠組みの中で展開されるミステリ興味であったり冒険であったり、問題解決であったり議論であったり、闘争であったり。 プログラマー的立場で、自ら提唱した三原則に穴が無いか再検証するため様々なテストケースを作って小説の形で実験してみたら(それにしてはファンタジー性が強く緻密さは敢えて避けてる感じだが)想定以上に穴だらけで、こりゃ小説として滅法面白いという事が判明したぞ、みたいな? ロボット進化史の大河小説的側面もぶつけて来てることを考えると、その大胆な構成は益々知的興味を唆ってくれますね。 SFならではの割り切ってしっくりはまる論理パズル、という性格もあるかも。

以下、創元の表記になりますが  「証拠」。。熱い! 「避けられた抗争」。。深い。。 「堂々めぐり」の数学的面白さ! 「嘘つき!」「迷子の小さなロボット」のロジックも面白い(それぞれ性質は違うが)。 「理性」「逃避!」の危険なドタバタクレイジーっぷり。 やさしい「ロビー」に、滑稽な「あの兎をつかまえろ」。 バッサリした全体エンディングも印象的です。 人間及び人間社会のダメなところを、三原則を高次元で遵守した上で巧みに補完してくれる存在、それは。。。。

しかし令和三年現在から見てもしばらく未来の話なのに、所々昭和三十年代を彷彿とさせるワードが出て来るとは。。青写真(比喩じゃない方)とか。。

No.2 7点 クリスティ再読 2020/12/15 20:54
いわゆる「ロボット工学三原則」で有名な作品...なんだけども、実のところこの三原則を巡る思考実験みたいな作品集である。ロボットが示す奇妙な振る舞いを、この三原則を使って説明する筋立てが、実にミステリ的だ。原則+具体的な場面の状況で、抽象的な「原則」から実に多彩な局面が導かれる。中には大変奇妙なものもあるわけで、そういう「奇妙なケース」を小説にした短編が続く。

というか「デバッグの面白さ」みたいなものを強く感じるのだ。プログラムがうまく動かないときに、その挙動を観察し、推測に基づいて仕込んだデータを与えて、推測の通りの挙動をするか確認し...というようなプロセスの面白さを、実に体感できる作品集なのである。本作の例題は、というと、

・セレニウムを取りに行かせたロボットが、貯蔵庫の回りをぐるぐる回るだけで、一向に戻ってこない「堂々めぐり」
・人間が監視していると正常なのに、目を離すと無意味な行進をしだす「あの兎をつかまえろ」
・第一原則Ⅱ「人間に危害が加えられるのを座視しない」がオミットされた実験体を、正常なロボットと区別するにはどうしたらいいか「迷子の小さなロボット」
・完全無欠な理想的な立候補者に、政敵が「ロボットではないか?」という疑惑を投げかけた...「証拠」

というような問題。これらを「三原則だけ」を使って解決するのが、あたかもパズルのようである。そして、この連作を通じて、最初は不細工で能力も低かったのだが、どんどん人間に近づき、さらに人間の知性を超えるようなものへと進化していき...という大きな時代背景が語られるのも、また別の魅力的がある。

本作は「抽象性」が高いせいか、古びない印象がある。「鋼鉄都市」よりいいと思う。

No.1 5点 虫暮部 2018/07/06 09:38
 ミステリも物するSF作家の筆頭アシモフ。“このロボットは何故そんな行動をとるのか?”というミステリ的な短編も幾つか含む本書は、ロボット工学の三原則が初登場した記念碑的連作集。ではあるけれど、今読んで物凄く面白いわけではない。“ロボット”“知性”“感情”と言った物事の捉えかたが変化しているせいもあるし、小説としてのマナーがちょっと古い気もするし、要は“昔のSF”と言う感じ。中では「証拠」が良かった。


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