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ミステリの祭典

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八二一さんの登録情報
平均点:5.75点 書評数:411件

プロフィール| 書評

No.191 5点 ナンバー9ドリーム
デイヴィッド・ミッチェル
(2021/09/02 20:03登録)
ハードボイルドに通底する父親捜しの物語だけれど、章ごとにスタイルを変えて行く自在な小説作法が、ポップでオシャレ。


No.190 5点 蜘蛛の巣
ピーター・トレメイン
(2021/08/16 20:44登録)
七世紀のアイルランドが舞台。ほとんど知識が無いまま読み始めたが、裁判官兼弁護士の修道女フィデルマの価値観が現代的なこともあってすんなりと世界に入り込めた。
また、権威にしがみついた鼻持ちならない連中を、彼女が論破していくさまは爽快だった。


No.189 9点 長いお別れ
レイモンド・チャンドラー
(2021/08/16 20:41登録)
新訳ということで賛否両論があった作品。個人的には何の違和感もなく、孤独、死、愛、友情、そして何よりも私立探偵マーロウの生き様が良く描かれていると感じた。村上春樹訳を特別意識することなく探偵小説の新しい裾野を広げられたことの方が大切では。


No.188 5点 キューバ・コネクション
アルナルド・コレア
(2021/08/16 20:38登録)
読み行くほどに面白さが出てくる典型的な作品。
キューバという国で情報工作員をしているカルロスという男の非常なまでの誇りと真っ直ぐさ。ラストは身につまされました。


No.187 4点 ガラスのなかの少女
ジェフリー・フォード
(2021/07/30 20:22登録)
アメリカ的な徒弟制度成長ハードボイルドの系譜に連なる作品。冷静に考えるとドンデモ小説なのだが、語り口と人物造形が上手いので、ほとんど気にならない。


No.186 5点 異人館
レジナルド・ヒル
(2021/07/30 20:20登録)
自分のルーツを探る娘と、十六世紀のカトリック教徒迫害史を調べる青年が、それぞれ入り組んだ過去の頁を開いていくうちに、現実と過去が重なり合い、入り乱れ、錯綜する。不思議キャラと先の読めない展開が魅力。


No.185 7点 復讐はお好き?
カール・ハイアセン
(2021/07/30 20:17登録)
相変わらずとんでもないキャラクター達がドタバタ劇を繰り広げる。環境破壊への警告がブラックユーモアたっぷりに触れられるのだが、今回はまとまりが良かった。


No.184 5点 眼を閉じて
ジャンリーコ・カロフィーリオ
(2021/07/17 20:22登録)
中年の弁護士が主人公のイタリアの作品。ミステリの味は薄いが、文章として優れている。心の琴線にひたひたと触れてくる、不思議な魅力の作品。


No.183 5点 壁抜け男(早川書房版)
マルセル・エイメ
(2021/07/17 20:17登録)
この作品集ほど古き良き時代のパリをしみじみ味あわせてくれる読み物はない。パリはモンマルトルの庶民の喜怒哀楽がほのぼのと描かれている。


No.182 7点 デス・コレクターズ
ジャック・カーリイ
(2021/07/17 20:14登録)
快調な語り口で飽きさせない。食傷気味のサイコ・キラーものかと思ったら、眼から鱗の新機軸だった。テンポの良さと会話の楽しさで、凄惨な場面を描いても、妙にどこか爽やか。登場するいささか狂った方々の描写も面白い。意外な真相が明らかになるエンディングは、思わず感動してしまった。


No.181 5点 極東細菌テロを爆砕せよ
クライブ・カッスラー
(2021/07/05 20:19登録)
旧日本海軍の潜水艦に搭載されていた細菌兵器が作品の面白さを左右する重要な鍵となって登場する。 軽快さと重厚さが織りなす海洋冒険小説。


No.180 4点 名探偵のコーヒーのいれ方
クレオ・コイル
(2021/07/05 20:15登録)
ミステリの味わいは、物足りないと感じる人が多いと思うが、ロマンス、事件、老舗の舞台、そして何といっても味わい深いコーヒーが続編も楽しみにさせてくれる。


No.179 5点 強盗こそ、われらが宿命
チャック・ホーガン
(2021/07/05 20:13登録)
プロの銀行強盗とFBI捜査官との虚々実々の駆け引きを描いた犯罪小説であると同時に、ひりつくほど切ない恋愛小説でもある。


No.178 8点 路上の事件
ジョー・ゴアズ
(2021/06/21 20:28登録)
淡々とした筆致で五十年代アメリカの様々な顔を描き出す。出だしはヘミングウェイ的であり、途中はケッペル的であり、終盤はゴアズならではの世界。
才人の意欲的な作品に出会う喜びを満喫した。


No.177 5点 私刑連鎖犯
ジャン・バーク
(2021/06/21 20:25登録)
様々な要素をぶち込んで飽きさせないが、同時に「罪と倫理」について考えさせられた。しかしこれ、無理に邦題をつけなくても良かったんじゃなかろうか。


No.176 7点 夜の来訪者
プリーストリー
(2021/06/21 20:21登録)
登場人物たちがどこでどう関係しあっているのか、警部の問いにより謎が少しずつクリアになっていく面白さと、明かされていく過程のスリリングさが堪らなかった。戯曲はほとんど読んだことが無かったが、一気読みした。


No.175 4点 荒涼の町
ジム・トンプスン
(2021/06/09 20:30登録)
小説としては破綻しているのかもしれないが、なんといってもこの猥雑なパワー。それだけで読まされる。寄り添いにくいはずの作者の視点に忠実に沿っているのであろう訳者の力量にも感服。


No.174 5点 ジブラルタルの女王
アルトゥーロ・ペレス・レべルテ
(2021/06/09 20:24登録)
話の進め方が時に主人公だったり、時に作者だったりして、立体的な展開になり、ノヴェルというよりドキュメンタリーを読んでいる気にさせられるところが見事。


No.173 6点 リヴァイアサン号殺人事件
ボリス・アクーニン
(2021/06/09 20:20登録)
大型客船に乗り込んだ客の中に大量殺人犯がいるという本格グランド・ミステリ。それぞれの国の歴史を背負う登場人物たちがよく描き込まれている。文学的香り高い作品。


No.172 7点 夜愁
サラ・ウォーターズ
(2021/05/26 20:39登録)
殺人が起こるわけでもないし、犯罪が出てくるわけでもないが、語りの手法を「ミステリ」と呼ぶほかない小説。ヒロイン三人が現在なぜこのような境遇に陥っているか、という過去に向かう謎解きの語り口、人物造形、プロット、文章の全てにコクがある。

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