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ミステリの祭典

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異人館

作家 レジナルド・ヒル
出版日2007年01月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 ことは
(2022/10/05 01:41登録)
「秘密」というと大げさだが、「誰にも言わずにいること」といえば誰しも持っているだろう。本作の登場人物の多くは「秘密」をかかえていて、もちろんそれは簡単には話さない。話すとしても、駆け引きを行う。「ここまで知られたのなら、ここまで話そう……」。
ダルジールものでもそうだが、ヒルはこの駆け引きの描き方が、実にうまい。物語の後半、駆け引きの中で、それが少しずつ明かされていくところは、パーツがひとつひとつ組み上がっていくような構築感があって面白い。
それでも、ダルジールものと比べると、キャラクターがいまひとつ弱いかな。未読のダルジールものがあるならば、そちらをすすめます。
本作は、カソリックの歴史が背景にあって、イギリスの歴史の知識があれば、より楽しめそうなのだが、私にはそこまでの知識はなかったなぁ。直近の日本では、ちょうど「黒牢城」で荒木村重と黒田官兵衛のエピソードを取り込んでいるが、それと同程度にはメジャーな話なのかな?
あと、女性主人公が何度も父親の金言を思い起こすが、それがまるでダルジールの言葉のようで面白い。例えば「蹴られたら蹴り返せ、むこうが蹴ってくるのをやめるまで蹴り続けろ」(208ページ)。うん、やっぱりこれはヒルの味だな。

No.1 5点 八二一
(2021/07/30 20:20登録)
自分のルーツを探る娘と、十六世紀のカトリック教徒迫害史を調べる青年が、それぞれ入り組んだ過去の頁を開いていくうちに、現実と過去が重なり合い、入り乱れ、錯綜する。不思議キャラと先の読めない展開が魅力。

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