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ミステリの祭典

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江守森江さんの登録情報
平均点:5.00点 書評数:1256件

プロフィール| 書評

No.536 7点 四神金赤館銀青館不可能殺人
倉阪鬼一郎
(2009/11/18 05:43登録)
全編が騙しの為の伏線で、作者が主人公(モデルは作者自身)に「袋小路と笑わば笑え。これも新本格だ!」と宣わらせた作品。
タイトル通りの“館”ミステリで読んで唸って下さい(笑)
途中まではガチな本格と思わせるが、作者の騙しのベクトルが完全に脱力&笑い方向を向いている。
ここまでバカミスに徹すれば清々しいし、一部ファンの大絶賛も納得出来る。
それでも、この作品で“抱腹絶倒”出来ない私は作者と波長が合っていないのだろう(←「三崎黒鳥館~」を読んで誤解だと認識した)
ミステリ云々より笑いの波長が評価を分ける辺りも正真正銘なバカミスと云える。
最後に明かされる手間を掛けた泡坂的仕掛けはバカミスに似合わず無駄に惜しい・・・。
※追記
上記の無駄に情熱を傾けるのが作者の真骨頂だと認識して+1点した。


No.535 5点 燃えた花嫁
山村美紗
(2009/11/15 00:46登録)
どんなに素晴らしいトリックや作品でもテレビ局と探偵役を変えて何度もドラマ化されれば鼻につく。
二時間ドラマ御用達作家で未だに各局でシリーズがあり、再放送もよく観るので何度このトリックを目にした事だろう。
作品云々より、現在でも娘の山村紅葉が影の二時間ドラマ女王に君臨し続けているのが嘆かわしい。
偶には山村紅葉が意外な犯人だったら驚けるのに!


No.534 3点 日本ダービー殺人事件
西村京太郎
(2009/11/15 00:06登録)
12連勝でダービーを向かえる大本命馬の陣営に脅迫状が届き、騎手が殺され乗替で挑んだダービーで4着に沈む。
トラベルミステリー以前の西村作品では、色々な謎や不正の捜査を十津川警部がしていて楽しい。
しかし、作品としては当時国民的人気だったハイセイコーと八百長疑惑を書きたかっただけの様でミステリーとしてはお粗末なので現在のトラベルミステリーに通ずるものがある。


No.533 2点 ひかりの剣
海堂尊
(2009/11/14 23:32登録)
この作品は完全に青春スポ根物で本来ならこのサイトで書評すべき作品ではない。
しかし、海堂ワールドが薄味でもミステリーの範疇にあり全作品がリンクし、本作の主要登場人物が他作ではミステリーしているので例外的に記載する。
剣道を題材に全盛期のスポ根漫画を海堂ワールドで小説にした作品。
素質・努力・才能の開花などスポ根らしく啓蒙している。
作者と同世代で、全盛期のスポ根(特に梶原一騎)に多大な影響を受けたので楽しく読めた。
※ドタバタ青春スポ根物としてなら7点くらいだろう。


No.532 2点 パパママムスメの10日間
五十嵐貴久
(2009/11/14 23:03登録)
「パパとムスメ~」の続編で、今作はママまで組み込む設定になった。
続編を書くにはこの設定しかないかもしれないがドタバタの楽しさが薄れてしまった。
ドラマ化が前提にあるのかもしれないがガッキーが小梅を演じられる内にドラマ化されるのだろうか?
※ドタバタ喜劇としても5点レベルになってしまった。


No.531 2点 パパとムスメの7日間
五十嵐貴久
(2009/11/14 22:53登録)
父親と娘の心と身体が入れ替わる作品。
昔から結構よくある設定で、私的にはミステリーではないと思っている。
しかし、同様な設定の東野圭吾「秘密」もこのサイトで書評されているし、此方の方がドタバタ喜劇で遙かに楽しいので記載したくなった。
父娘の断絶に悩む前に父親は読むべきで、ついでにドラマも観ておきたい。
それでも断絶が回避できる保証はない。
※採点はミステリーではない扱いでしているがドタバタ喜劇としてなら7点くらいだろう。


No.530 7点 非常階段
梶山季之
(2009/11/14 22:25登録)
「夜の配当」の続編にあたり、仕事の規模が大きくなった。
偽装倒産に乗っ取りを裏から操作する。
昭和の高度経済成長期には実際に行われていたのではないかと思えるリアリティがある。
現在でも経済犯罪の手口や本質は変わらないので作者の先見性には驚嘆する。


No.529 7点 夜の配当
梶山季之
(2009/11/14 22:10登録)
平凡なサラリーマンからトラブル・コンサルタントに転じた男の悪漢小説。
法の抜け道を利用して社会を生き抜く作品群の先駆けと云える。
痛快で非常に面白いが現在では法整備も進み通用しない手口になっている(当時は悪用されない為に嘘を混ぜていた)
本質は現在の知能犯罪に通じていて勉強にもなる。


No.528 7点 悪人志願
梶山季之
(2009/11/14 21:59登録)
ピカレスク・ロマンで戦後のドサクサを勝ち抜いた悪党一代記。
悪党の側からコミカルかつスケベに描いている。
このネタで松本清張が書いたら悪党を刑事が追い詰める重い社会派作品になると思える。
作者はシリアスからスケベでコミカルな作品まで幅広くベストセラーを連発した作家でネタの鮮度は群を抜いていた。


No.527 6点 謎のギャラリー特別室1
アンソロジー(国内編集者)
(2009/11/14 21:24登録)
北村薫が選ぶミステリー色の薄いアンソロジーシリーズ。
やたらとシリーズが多く“どれ”を読んだら良いか迷う。
本来なら読まないし書評もしないでスルーするのだが“この本”には他では(多分)読めない傑作・都井邦彦「遊びの時間は終わらない」が収録されているので敢えて採点する。
如何にもな地方の警察署の銀行強盗対策演習で巻き起こるドタバタ喜劇でミステリー色は極めて薄い。
しかし、ドラマ・映画化もされ映像で観ても非常に楽しめた。
※他の収録作品は読み飛ばしたので採点は上記作品単独でしている。
単なるドタバタ喜劇で採点するなら満点。


No.526 6点 首なし雪だるまの謎
新庄節美
(2009/11/09 22:32登録)
児童向けながら本格スピリット溢れるシリーズ。
取り分けこの作品は本格色が濃い。
ホテルのケーキコンクールで起きた密室の謎で「読者への挑戦」が付される。
児童向けなので大人には分かり易いが「島荘ばり」な大技トリックが楽しめる。
本格ミステリの将来を子供達に託す為に書かれた素晴らしいシリーズと絶賛する。
小学校の図書室に是非とも置いてもらいたい。
※児童向けな採点をすれば満点(8点)+1点(思い入れ)で傑作群の一角に食い込む作品。
これは、息子に向けた私からのメッセージでもある。


No.525 5点 泣き虫せんたく屋の謎
新庄節美
(2009/11/09 22:13登録)
親子でミステリに勤しみたい方にお薦めなシリーズ。
あくまで児童対象なシリーズだが、小学生の子供を本格ミステリに引き込むなら漫画「名探偵コナン」かこのシリーズが良い(我が家で実証済み)
シリーズ設定が動物の擬人化で児童向き、更に本格ミステリを分かり易く説明しながら「読者への挑戦」まで付される。
この作品はスパイ冒険活劇風味まであり楽しい。
子供が読者挑戦を正解し親が外すと面目丸つぶれになるから覚悟は必要(笑)
※大人対象な採点にしたが、児童向け採点なら子供達にミステリの将来を託して満点。


No.524 3点 聖夜(ノエル)は黒いドレス
新庄節美
(2009/11/09 21:59登録)
児童向けなのに創元推理文庫なシリーズ第二弾。
タイトルに色を絡めていて次もありそうだが、流石に創元ではなく講談社青い鳥文庫辺りに移籍するのだろうか?(詳細不明)
泥棒競技会の設定はベタベタだが楽しかった(+1点)
でもそれだけで子供にも薦めなかった。


No.523 2点 はじまりは青い月(ブルームーン)
新庄節美
(2009/11/09 21:49登録)
児童向けな作品なのに創元推理文庫で復刊した為に手にしてしまった。
美少女怪盗物のシリーズ第一弾。
推理要素がないわけではないがサスペンス&アクション物で復刊時に現状に合わせた加筆で違和感が生じている。
これを子供達に読ませるより、古くても乱歩の「少年探偵団」シリーズの方が良いと思う。
※児童対象な採点をしても、さして評価は変わらない。


No.522 7点 ハナシがはずむ!
田中啓文
(2009/11/09 17:26登録)
前作より謎解き色が濃くなり落語ミステリーとしては一作目に近い。
大名跡の継承問題を絡めたドタバタの内で上手く謎を作り出し処理している。
シリーズタイトルから「笑酔亭梅寿」が名探偵と思わせるが、まったく推理なんかしないし謎も解かないのはご愛嬌。
さて、このシリーズはどこまで続くのだろう(梅寿が大往生するまでの大河シリーズなのか?)
それが一番の謎かも。


No.521 6点 ハナシにならん!
田中啓文
(2009/11/09 17:02登録)
シリーズ2作目は謎解きよりドタバタ寄りにシフトしている。
連載雑誌も「小説すばる」でミステリーを売りにしていないのでやむを得ないのかもしれない。
以前は本格的に落語を扱ったミステリの一番手に挙げられていたが、愛川晶の落語物に取って代わられた感がある。
逆に落語ドタバタ物としては他の追随を許さない。
ドタバタ物もロジカルな本格と並ぶもう一方の嗜好なので採点は甘め。


No.520 3点 天岩屋戸の研究
田中啓文
(2009/11/09 16:39登録)
学園物伝奇ミステリーシリーズの3作目で完結編になる。
ギャグ作品と達観してナナメ読みすれば完結までミステリーと銘打ちながらギャグに徹した点を評価しても良いかもと思えてきた。
ミステリーとしては秘密の抜け穴が密室の解決だったり、タイムマシーンでのアリバイ工作だったりを許容できる方なら、アリかもしれない。


No.519 3点 邪馬台洞の研究
田中啓文
(2009/11/09 16:25登録)
学園物伝奇ミステリーシリーズの2作目。
このシリーズについては前作で批評した通りで、何ら変わりはない。
しかし、前作を読んで達観しながらナナメ読みしたので不満は残らなかった(+1点)
ギャグな読み物としてなら楽しい。
作品紹介にミステリーと銘打たないでほしい。


No.518 2点 蓬莱洞の研究
田中啓文
(2009/11/09 16:18登録)
学園物の伝奇ミステリーシリーズ。
図書館でついフラフラとシリーズ3作をまとめて借りてしまった。
ギャグな登場人物達と提示される謎は楽しく読める。
しかし、伝奇ミステリーと銘打って、緩い設定やルールに甘えた‘ある意味最低’な解決編はバカミスとしても評価できない。
この作者のミステリーは出来・不出来の落差が激しい。


No.517 4点 ねずみ石
大崎梢
(2009/11/08 14:16登録)
東京創元社の書店・出版社シリーズ以外は一般向け作品の依頼がないのだろう。
村の祭と四年前の殺人を中学生の成長と絡めた青春ミステリ。
長編の犯人当てだが中学生のミステリー初心者向けとしか云えない。
青春小説のほろ苦さもありふれている。
残念だが、作者の本領は日常の謎系短編にあると思う。

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