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ミステリの祭典

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燃えた花嫁
キャサリン

作家 山村美紗
出版日1982年06月
平均点6.33点
書評数3人

No.3 6点
(2011/06/05 08:23登録)
殺人が6件も発生する派手な展開です。タイトルどおり花嫁が燃え、しかもその同じ手口は2度つづきます。ダイイング・メッセージめいた謎、死体移動、密室トリックなど仕掛けられた謎は多数あります。
新素材を巡る繊維業界の企業間競争の中での連続殺人。当時としては人気のスタイルだったのでしょう。社会派全盛時代では、こういう2時間ドラマ的お手軽本格ミステリが受けていたということの証しであるようなミステリです。
密室トリックは解けそうにないほど実現性が低いのに、キャサリンがいとも簡単に解いてしまうし、ダイイング・メッセージは謎解き容易なのに後半まで引っ張るし、とにかくメチャクチャ。キャサリンの超人的な推理は瞬間芸のようで笑えました。都筑道夫ならおそらく酷評していたでしょう。
と、マイナス要素もおおいに目立ちましたが、それ以上に派手な道具立ての芝居を堪能できたことも事実です。普段ならマイナス要素を加味して4点ぐらいを付けるところですが、これだけ楽しめれば合格点でしょう。nukkamさんの推薦に、なるほどと納得しました。

No.2 5点 江守森江
(2009/11/15 00:46登録)
どんなに素晴らしいトリックや作品でもテレビ局と探偵役を変えて何度もドラマ化されれば鼻につく。
二時間ドラマ御用達作家で未だに各局でシリーズがあり、再放送もよく観るので何度このトリックを目にした事だろう。
作品云々より、現在でも娘の山村紅葉が影の二時間ドラマ女王に君臨し続けているのが嘆かわしい。
偶には山村紅葉が意外な犯人だったら驚けるのに!

No.1 8点 nukkam
(2009/01/19 13:38登録)
(ネタバレなしです) 私は山村美紗作品をそれほど多くは読んでいないのですが、今後どれだけの作品を読んだとしても1982年発表のキャサリンシリーズ第3作の本格派推理小説である本書が最高傑作というMY評価は変わらないと思います。何といっても連続焼死の謎の魅力が素晴らしいです。被害者が火の気に細心の注意を払い、更に厳重な警備体制を敷いているにもかかわらず事件発生が止められないという、絶対的に思える不可能犯罪を実に合理的に解明しています。トリックの鮮やかな謎解きに比べて犯人当ての方が印象に残らないのがやや弱いですが、それでもこの作者の本をまず1冊というなら私は本書を推薦します。

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