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ミステリの祭典

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θは遊んでくれたよ
Gシリーズ

作家 森博嗣
出版日2005年05月
平均点5.78点
書評数9人

No.9 5点 E-BANKER
(2022/12/17 14:22登録)
Gシリーズの二作目。Φの次はθか・・・。
本シリーズになってますます混沌としてきた印象なのだが実際はどうなのか?
2005年の発表。

~25歳の誕生日にマンションから転落死した男性の額には、「θ」という文字が書かれていた。半月後、今度は手のひらに赤い「θ」が書かれた女性の死体が。その後も「θ」がマーキングされた事件が続く。N大の旧友・反町愛から事件について聞き及んだ西之園萌絵は、山吹ら学生三人組、探偵の赤柳らと推理を展開する~

今回は・・・なんともフワフワした事件と展開。
飛び降り自殺にしか見えない事件が連続して起こるのだが、死者の体(靴の中の場合もあったけど)のどこかに必ず「θ」の文字が残されている。
つまりは「ミッシング・リンク」が本作のメインテーマになると思われる。
のだが、そこは森ミステリー。当然一筋縄ではいかない。

ロジックの核となるのは「同じ口紅」(→これで「θ」が書かれた)。
今回も一応探偵役は海月(くらげ)が務めるのだが、海月の推理に関して、犀川はとっくに気付いていた模様。(犀川を通じて萌絵も分かっていたという流れ)
それにしても、前作でも感じたことだが、読者をまるで突き放したように見えるのは勘違いなのだろうか?
前作の密室といい、本作の不可解な連続自殺といい、提示される謎は魅力的なのだが、実に静か~に進行していく。そして、真犯人も恐らくコイツという程度だし、動機なんか「多分・・・」で終わってしまう。

本作一番のサプライズは、「保呂草」と「真賀田四季」の名前が登場したこと!やはり本シリーズも森サーガの中にガッチリ組み込まれていることが分かったことで次作以降の展開に注目。

No.8 7点 Tetchy
(2021/06/01 23:33登録)
Gシリーズ2作目で今度のギリシア文字はθ。
θといえばサイン、コサイン、タンジェントでお馴染み三角関数で使われる変数θと、英語の“th”の発音記号を想起させるなど、色々想像を巡らして読んでみた。

このθ。時にカタカナでシータと評される今回のギリシア文字は作中それぞれの犠牲者で様々な意味合いを以って示される。

やはり森ミステリには色んな疑問がどうしても残ってしまう。
例えば第2、3の自殺者の動機が不明だ。なぜ彼女そして彼は自殺したのか?そのような節もなく、唐突に。
そして第1の自殺者も引っ越したばかりのマンションから飛び降りているのも腑に落ちない。但し彼の場合はシータというサイトのAIとの対話によって自殺を促されたような節がある。

そして犀川の存在は更に神格化されつつある。犀川は海月が気付く前に事件について彼と同様の結論に達していた。どうも森氏は犀川を御手洗潔張りの超天才に仕立て上げようとしているようだ。

御手洗潔と云えば本書刊行の約11年後に同じく連続飛び降り自殺事件を扱った『屋上の道化たち』―その後『屋上』と改題―を上梓している。そして連続自殺事件と云えばジョン・ディクスン・カーの『連続殺人事件』を想起させ―実はこの作品の原題は『連続自殺事件』が正しい―、その作品も高所からの落下がメインの謎であった。
しかしなぜかこの飛び降り事件物は傑作が生まれていない。どれも真相には微妙な感じが残ってしまう。その呪縛からは本書も逃れられなかった。

しかし第1作に続き、本書もまたその真相にはモヤモヤとしたものが残る結末となった。いや、海月の事件に関する推理の内容は第1作に比べれば格段に納得できるものではあるのだが、上に書いたようにその他諸々については説明もないため、モヤモヤ感を抱いてしまうのだ。

また正直加部谷、山吹、海月らメインキャラクターの個性もまだ感じられず、キャラ小説としての妙味を感じないでいる。加部谷は森作品にありがちな、とにかく口を出したがる女性キャラ、狂言回し的な役割に過ぎない。個人的にはVシリーズの登場人物たち同等の愛着を感じたいのだが。
また西之園萌絵に続き、本書では彼女の友人でもあった金子の恋人反町愛も登場し、S&Mシリーズ後日譚めいてきた。ただそんな趣向では私は騙されない。過去は過去として新たなキャラクター達がキャラ立ちしてこその新シリーズなのだ。

No.7 6点 まさむね
(2017/09/30 19:38登録)
 Gシリーズ第二弾。
 シンプルな設定なのだけれども、むしろそれが心地よかった(=丁度よかった)かな。キャラも結構イイ感じです。まだこのシリーズは2作品しか読んでいないのですが(つまり順番通り読んでいるということですが)、S&MシリーズやVシリーズよりも気楽に楽しめそうなので、今後も気が向いたときに読み進めてみようかな。

No.6 5点 虫暮部
(2017/01/11 14:22登録)
 こんな時間、こんな場所に、二人だけで立ったとき、相手が自分を殺そうとしてるか、それとも、そんな気持ちはこれっぽっちもないか、それくらい、わかるんじゃないか?
 というラヴちゃんの意見は、あまり論理的ではないが、非常に説得力を感じた。しかし(あくまで仮説とはいえ)事件の真相でほぼその通りのことが行われているんだよなぁ。なにそれ。
 思わせ振りなだけで回収する気のない伏線の存在感が大き過ぎて、相対的に事件の核がしょぼく見える。

No.5 3点 ムラ
(2011/08/29 13:11登録)
ラブちゃんって僕っこだっけ? と思ってS&Mシリーズ見直したけど、そもそも一人称で自分の事言ってるシーンを見つけられなかった(たぶん気がつかなかっただけ)
φよりも面白かったしつまらなくもないんだけど未完ってことでこの点数。S&Mもそうだけど、シリーズ物は最後にまとめた点数をつけたい。
なにわともあれ真賀田博士の影が見え隠れしていてよかった。

No.4 7点 シレン
(2011/08/21 09:05登録)
φは壊れたね より好きです。
今回は前作よりS&Mの登場が多いですし。

No.3 6点 yoneppi
(2010/09/07 22:03登録)
基本トリックはありがちだけど前作よりも楽しめた。ちらっと四季と保呂草も出てきたりして。海月が頑張ったのに犀川は空気が読めないな。

No.2 6点 VOLKS
(2007/12/24 11:54登録)
相変わらずポツポツと喋る海月がいい味出している。
これに似たものが古畑任三郎であったような気がするのだが・・・

No.1 7点 ばやし
(2005/05/16 17:19登録)
「θは遊んでくれたね」を読みました^^前回の「φは壊れたね」よりも面白かったです!!犀川先生がいっぱい出て来て本当嬉しかった〜(笑)しかもラブちゃんこと反町愛も出て来たし近藤刑事や国枝先生も出て来て幸せでした??

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