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ミステリの祭典

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妖奇切断譜
明詞シリーズ

作家 貫井徳郎
出版日1999年12月
平均点6.70点
書評数10人

No.10 4点 nukkam
(2020/03/25 20:48登録)
(ネタバレなしです) 1999年発表の本書は明治ならぬ明詞という架空の時代を舞台にした本格派推理小説の「鬼流殺生祭」(1998年)の続編にあたります。「鬼流殺生祭」のネタバレはありませんし、あちらを読んでいなくても大きな問題はありません。錦絵のモデルになった女性ばかりが次々と猟奇的殺人の犠牲となります。しかも身体の一部を持ち去られるという設定が島田荘司の「占星術殺人事件」(1981年)を髣髴させますが、「読者への挑戦状」まで挿入したガチガチの本格派推理小説の島田作品と比べると本書はスリラー、いやホラー傾向が強い作品です。特に中盤あたりの描写のきつさは個人的には合いませんでした。探偵役の朱芳が容疑者を個人的に知っていたというのは(そして読者は知りようもない)推理でも何でもなく、最後に明かされる真相も説明不十分で本格派の謎解きとしては残念レベルです。中盤まではグロテスクな直接描写で、終盤では人間の醜い内面を強調とあの手この手で読者を不快な気分にさせます。

No.9 6点 レッドキング
(2019/03/02 21:05登録)
明治初期を舞台にした連続バラバラ殺人事件。全ての屍体の一部、それもそれぞれ別の一部が持ち去られていたとくれば、どうしたって「あの名作」連想する。しかもホワイダニットも結果「アレ」だし。「アレ」ほどトリッキーじゃないが、そのかわり「妖異金瓶梅:赤い靴」「魍魎の匣」の味付けもあって、「グロ」越えて「ヘド」に至るほどのスパイス効いてて好きな人にはたまらんだろう。

No.8 7点 E-BANKER
(2011/11/05 21:38登録)
「鬼流殺生祭」に続く、朱芳=九条シリーズの2作目。
戊辰戦争に続く、明治維新期の江戸(東京)を舞台に発生した美女の連続バラバラ殺人事件が今回の謎。

~戊辰戦争の傷跡癒えぬ東京で、美女ばかりを描いた錦絵が評判を呼んでいた。だが描かれた女がバラバラ死体で、それもなぜか稲荷で発見される事件が続発、町に恐怖が広がる。元公家の九条は、捜査に乗り出すが、非道の犯行は止まらない。困惑した九条は病床の友人・朱芳の頭脳に望みを託す。驚愕の結末が待つ傑作推理!~

これはなかなかの問題作。
『被害者は美女ばかり』、そして『体の一部分が欠けている連続バラバラ死体』というと、どうしても連想してしまいますよねぇ。
あの名作、そう「占星術殺人事件」を!
当然ながら、作者もそれを意識しているでしょうから、もちろん同じ仕掛け・トリックを使うわけはないと思いつつ読み進めましたが・・・
真相にはちょっとビックリ。(ただ、プロットの骨格としてはやや被ってる感はある)
キーワードとなった「○○」については、「何だかなぁ・・・」という感想でしたし、「動機」もちょっと納得しがたい。
「真の」犯人は、「まぁそうだろうなぁ」と思っていた人物であり、想定内。
ただ、鬼気迫る異様な姿は相当に印象的で、何とも言えない読後感のある作品だと思う。

カニバリズム的な描写を含め、割とエゲツない箇所もあるので、そういうのが苦手な方はご注意を。
(でも、喜八郎のパートはこんなに長々とページを割くほどの意味はないんじゃない?)

No.7 9点 メルカトル
(2010/04/15 00:37登録)
最高です。
もっと評価されて然るべき作品だと思う。
グロいけど、この雰囲気はとても素晴らしい。
早く続編を望みます。

No.6 7点 いけお
(2008/07/23 21:39登録)
かなり夢中になって読めた。ロジカルな部分とそうでない部分のバランスが良く、楽しめた。

No.5 7点 りおりお
(2004/01/28 00:07登録)
貫井さんの作品の中でも一番好きです。

No.4 6点 バーチャルスター
(2003/09/08 20:33登録)
主役の「家に居場所がない・・・」みたいな描写を
見てると今後はこの人はどうなっていくんだろうって
思う。

No.3 7点 ごんべ
(2003/07/02 18:08登録)
早く続編を…
こう云うパラレル時代設定モノにしなくても良かったのではないかい?って思うのは私だけ?

No.2 6点 智迅
(2001/05/29 23:46登録)
パラレル明治らしいが、現代物のが重厚な印象を受けるのはなぜだろう。

No.1 8点 水母
(2001/05/23 14:18登録)
『うわぁ・・・』と思う描写多数登場。読んでいるときにしかめっ面になってました。でも、好き。

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