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ミステリの祭典

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十八の夏

作家 光原百合
出版日2002年08月
平均点6.17点
書評数6人

No.6 5点 E-BANKER
(2013/11/26 21:58登録)
2002年発表。
第55回の日本推理作家協会賞受賞作(短篇部門)「十八の夏」を含む作品集。
瑞々しい青春時代が蘇る・・・かな?

①「十八の夏」=甘くてちょっぴり苦い、年上の女性に対する青春時代の恋愛・・・って書くと本当に恋愛小説(?)と思ってしまうが、さすがにミステリー作品としての受賞作だけあって、ラストにはミステリーっぽい仕掛けが用意されている。でも、確かにこういうオッサンってモテるのかもしれないなぁ・・・羨ましい。
②「ささやかな奇跡」=これは・・・いい話だ! ほのぼのしたホームドラマのような一篇。子供を持つ父親としては、「もしこういう境遇になったら?」っていう仮定で読んでしまった。
③「兄貴の純情」=才能もないくせに芝居の世界に打ち込むバカな兄貴。そんな兄貴がひとりの女性に惚れたのだが、その女性は実は・・・という展開。まぁよくある話と言ってしまえばそのとおりなのだが。
④「イノセント・デイズ」=作者によれば一番ミステリーっぽい作品とのことなのだが、個人的にはそれほど良いとは思わなかった。女性目線では納得できるのかもしれないが・・・

以上4編。
前々から読もう読もうと思っていた本作だけど、期待したほどではなかったというのが正直な感想。
もともとミステリー的な部分は付け足し程度かなという予備知識はあったけど、「ミステリー+恋愛小説」としては、どちらにも中途半端な感が拭えない印象が残った。
でもまぁ、やっぱり「十八の夏」が中では一番いい作品だと思う。
上品でライトなミステリーが好みという方なら、一読して損はないだろう。

①以外はあまりピンとこなかったな。
(いずれにしても30超えたオッサンが読むのは若干キツイ気がした・・・)

No.5 6点 makomako
(2013/06/19 17:03登録)
 日本推理作家協会賞の作品なのだが、あまり推理的要素はない。かといって帯にあるように恋愛小説部門第1位というほどのものでもないように思います。悪くはないのですが、そんなにもてはやされるほど良くもない。女性が読めばよいのかもしれない。
 わたしには女性が若いころを描くものはどうも感情移入ができにくいところがあります。若い男からみると素敵な女性はいつも神秘でした。ところが女性が女性を描くとそういった神秘性は全くなく(当然ですが)、美人の描写があっても男をひきつける性的魅力が表現されていないことが多い。まあ同姓が描くのですからやむをえないのですが、女性主人公はどうも魅力に乏しくさらに男にはかけない鈍感さが目立ってしまうのです。
 そういった感じがこの作品にもあり、主人公にさほど魅力を感じなかったので読んでいてさほど感銘を受けませんでした。

No.4 7点 メルカトル
(2013/05/14 22:31登録)
日本推理作家協会賞受賞作の『十八の夏』を含めた、4編からなる連作短編集。
とは言っても、それぞれ独立した物語であり、共通するのは花をモチーフにしているということだけ。
それも、特に花にこだわりを持って描かれているわけでもないので、まあ普通の短編集と言っても良いだろう。
しかし、それぞれの作品の出来はすこぶる良く、とても丁寧に描かれているし、特に各登場人物が性格や容姿に至るまで、かなり丹念に描かれているのも評価が高い。
私のイチオシはなんといっても表題作である。途中まではなんだかドライな恋愛小説だなとの印象だったが、突如としてその様相を変化させ、それまでのストーリーの裏側を読者をあざ笑うように晒していく。
見事な切り返し技である。これでは協会賞の受賞も納得せざるを得ないではないか。
他の短編は、私の見る限りでは恋愛小説が二編、ミステリが一編といった具合である。
どちらに強く傾くこともなく、うまく均衡を保っている。
ミステリも恋愛小説も両方読みたい人にはお薦めである。

No.3 7点 まさむね
(2012/08/18 20:19登録)
 すべて恋愛をからめた短編で構成されています。個人的にはかなりの好印象。
1 十八の夏
 推理作家協会賞(短編部門)受賞作らしく,纏まった作品。青春小説としても読ませます。
2 ささやかな奇跡
 ミステリ的には弱いのですが,ストーリーそのものは相当楽しめました。弱いんですよねぇ,こういうの。
3 兄貴の純情
 これもミステリ的にはパンチが足りないのですが,兄貴の愛すべきキャラは楽しめます。
4 イノセント・デイズ
 最もミステリ要素が強いですね。ともすると救いようのないネタを,読後感よく締めているのは素晴らしい。

No.2 7点 kanamori
(2010/06/07 22:55登録)
ミステリ短編集。
協会賞受賞の表題作を含め4編収録されていて、瑞々しい文章で綴られた好短編集でした。
いずれも青春小説・恋愛小説として完成度が高い上に、最後にサプライズを自然な形で仕込んでいる。個人的ベストは、「ささやかな奇蹟」で、ネタがある程度分かっても物語そのものを面白く読めました。

No.1 5点 bage
(2010/01/08 11:25登録)
連作ミステリー?ってな感じ。
確かに各短編が「花」をモチーフとしたもので、そういった意味では共通点があるけれども、ミステリーの連作とは言えない気がする。
恩田陸氏の作品に似た雰囲気を味わえるが、今一歩何かが足りない。

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