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ミステリの祭典

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姑獲鳥の夏
百鬼夜行シリーズ

作家 京極夏彦
出版日1994年08月
平均点6.90点
書評数168人

No.88 9点 hiro
(2005/01/29 01:01登録)
処女作でこのレベルはすごいと思います。たしかに留吉さんの指摘は一理ありますが、その前の長々とした京極理論=伏線によって克服されていると感じます。その前提に立てば、とくにアンフェアではなく、むしろ新しいトリックを開発したとみるべきでしょう。

No.87 9点 HATT
(2004/12/11 23:05登録)
出だしの坂を上る幻想的なシーンに興奮した。内田百間の冥土に匹敵するのでは。しかし、内容は京極堂のウンチクを除去するとしょうもないモノになってしまうのでは。ミステリとしては疑問だが文学性は高いので好き嫌い分かれるところでしょう。個人的には大いに好みの作品です。

No.86 3点 留吉
(2004/11/27 18:49登録)
 文章の巧緻性、読み物としての完成度から言ったら、高い評価を受けて然るべきでしょう(十分、受けていますね)。 しかし、ミステリーとして採点した場合、厳しいアセスメントにならざるを得ないと思います。 
 その理由は、本作のトリック(?)は「理論的に誤りである」からです。(絶対に起こりえないことが一つあります) 
 ミステリーというものはリアリティーが皆無でも、その世界の中で論理の整合性が通されていればいいと思います。 例えば綾辻さんや島田荘司さん等の著名な奇想トリックの多くは「実際にはあり得ないが、紙上での理屈は成り立っている」し、西澤保彦氏や山口雅也などの、一部の特異なシチュエーションを擁する作品も、そのミステリー・ワールド内でのロジックは矛盾なく帰結していると言えるでしょう。 対して、本作は(憑き物や妖呪物の話の関わりが多いが、明らかに)現実世界の設定の中で、科学的、医学的に成立不能な現象・・・(「見える、見えない」に関しては否定しません。少し違うけれどブラウン神父の「見えない男」も秀作だと思います)・・・に基づいて主要なネタが構成されている点で、推理小説としては、名作の称号に相応しいとは言い難いのではないでしょうか。
 勿論、本作が(京極堂の認識観念論や民俗学の薀蓄なども含めて)人間ドラマとして、味わい深い物語であることに異論はなく、ミステリーとして評価すること自体、新体操を十種競技として採点するようなものかもしれません。

No.85 8点 マチャモ
(2004/11/14 20:14登録)
京極堂が車に乗り込む場面など、だんだんクライマックスに近づいていくあたりの描写が良かったです。トリックは???でしたが、すごく楽しめました。

No.84 8点 Platonic Pimp
(2004/10/15 13:36登録)
冒頭の京極堂の語りで人生観がひっくり返りました。
殺人事態はまあ、こんな結末もたまにはありかなあって
感じです。関口じゃなかったら誰でもすぐ分かっちゃう
だろうなあ。ミステリー云々じゃなく普通に楽しめた

No.83 9点 河童
(2004/10/05 17:34登録)
読み終えてかなりびっくり。っていうかこれ推理小説じゃないし。ただ当たり前の事実を人の心が歪めて受け取るのを京極堂が気づかせるみたいな。たぶんこんな文章誰も真似できないんだろうなあ

No.82 8点 Ryu
(2004/09/11 18:34登録)
やべっ…京極はまった。

No.81 6点 SD
(2004/09/11 07:03登録)
自分ではずっと手がつけられなかった京極作品の初読。ぐっと引き込まれる世界観ではまる人ははまるんだろうなぁ。既に色々な方の意見がかかれてますがこの作品自体はミステリとして考えない方がいいですね。

No.80 7点 ココ
(2004/09/04 11:58登録)
NO78さんのいうように、ドグラマグラによく似ている。精神世界を書いている所もそうだし、京極堂と正木博士の知識と饒舌さ、呉一郎と関口の挙動不審もなんか似てる。わかりやすくしたドグラマグラという感じ

No.79 7点 バファックス
(2004/07/03 03:21登録)
ホラーや水木ではないことは確かです。ハリウッド的ショッカーでもありません。明治なひとにもお勧めできません。陰惨な感じは現代のほうがより強調されると思うので、そっち関係でもありません。文学でないことは、めちゃくちゃエンターテインしてくれるので、確実です。じゃあ、何かと問われたら、ヒーロー・アニメが一番近しいんじゃないでしょうか。なんせ、変身しますし。異形のものが倒れて、人が帰ってきますし。とりあえず読んでみて、ページを繰り貫くのが一番かと。

No.78 10点 バスタオル
(2004/07/01 09:02登録)
素晴しい。読んだあとしばらくこの世界観から抜け出せなかった。

No.77 10点 ウエストウッド
(2004/06/19 18:53登録)
大傑作

No.76 6点 モトキング
(2004/04/27 19:07登録)
 ドグラマグラと雰囲気・構成がよく似ている。特に、冒頭の京極堂が唱える「心と脳」に関する仮説、そしてそれが単にサイドストーリーで終わらず、密接に本筋に関わってくるところなんかは、そっくりである。ただ、ドグラマグラほどぶっ飛んでいないので、まあ4大奇書に入れるほど「ヘン」ではない。
 また、皆のコメントほど、トリックはアンフェアではない、と感じた。アンフェアとは、やはり著者から提示されるヒントだけでは、読者には真相が全くと言っていいほどわからない状況を指すのだと思う。しかし、今作に至っては、真相を説くために必要な、この世界のルール、手掛かりが、これでもかと言うほどの分量で語られているので、真相の看破は容易である。
 トリックに関して、常識的でない、とか、現実的でない、というのは、あくまで皆が同じルールの上に生きている(と思っている)現実世界の事件に限ってのみ、投げかけるべき言葉だ。しかしながら、一度、その小説という世界に入り込んだならば、その小説世界のルールに従うべきである。それでもあくまで、そのルールに従わず、どの小説にも自分の生きている世界と同じようなルールを押しつけるのであれば、それを読書とは恐らく言えないだろう。
 但し、一方で、そのルールがあまりに我々の思う現実からかけ離れている場合、そのルールの説明が曖昧だと、これはアンフェアとの評価を避け得ないだろう。
 結論として、本作はアンフェアではない、と思う。

 それと、個人的な感想として、これは「新本格」ではないと思う。所謂「旧本格」の類だろう。
 構成するパーツ、その一つ一つは、あくまで古き良き本格をそのままの形で受け継ぐモノであり、単に時代背景だけではなく、謎、登場人物のその相関は完全に「旧本格」のプロットそのままだ。
 それが悪いとは、勿論思わない。時代は巡り、人の記憶が一巡する頃、かつて使い古された流行も、少し形を変えて、全く新しい流行として、我々の目の前に現れるのは時代の常だ。
 なので、純粋に作品として考えることになるが、歴史的にはそれほど斬新ではなく、単に、「今だから」新しかったいのだろうと思う。キャラ的な魅力も、本作一つではいかにも判断しがたい。
 よって、こんな点数。
 ただ、この蘊蓄・理論(特に「心と脳」)は凄い。一人の成長過程の作家として、凄い新人が現れたと思った。

No.75 10点 kou
(2004/03/15 00:44登録)
純文学や幻想小説を好む僕にとっては座右の書といってもいい。ミステリーはトリックが主役というが、この作品は概念が主役なので、純然たるミステリーではないのだろう。トリックのみを頭で追えば破綻も不条理も出るが、その破綻さえも概念の構築によって破壊されてしまう。
もうひとつ引きつけられる点は、やはり言葉の選択である。計算され、洗練された文章は読んでいて心地がよい。
素直に読めばこれほど五感を快楽の淵にいざなってくれる本はない。

No.74 10点
(2004/02/14 15:12登録)
これはミステリではありません。
拝み屋が憑き物落しをするお話です。
憑き物落しとはつまり世界を一度破壊し再構築すること。
京極堂こと作者の放つ言霊を受け止めなければ、読者の憑き物は落ちないのです。
そういうこと。

No.73 10点 馨子
(2004/02/14 01:14登録)
この作品の魅力を上手く言葉にできないのがもどかしいです。

トリックが納得いかないという人の気持ちも分かる。
キャラクターは魅力的だけど、この時点では「キャラクター小説」の要素は薄い。
ストーリーだけを抜き出すと全然好みじゃない。むしろ女としては不快。
それでも私がこの作品に惹かれたのは、京極夏彦という人の、世界の捕らえ方がものすごく新鮮で、読んでいると現実の世界の見え方までも変わってしまいそうな感覚に陥ったから。
その作者の「世界の捉え方」というのは「妖怪」と密接に関係しているので、妖怪の部分を削ってしまったら魅力半減です。
(他の京極作品では薀蓄が多すぎるように感じたことはあったけど)
なので無理やりジャンル分けするなら、ミステリとかオカルトとかというより「妖怪小説」でしょう。

他にも「薀蓄たくさん」とか「博覧強記の探偵」とか「妖怪」とかが出てくる小説を読みましたが、これほど感動も感心もしたことはありません。それは京極堂の言葉が、”小説書くために資料読みました”という付け焼刃的な薀蓄ではなく、作者の血肉となっている知識からのものだからだと思います。

デビュー作であるこの作品には、京極氏の「世界の捉え方」が一番ストレートに表れている気がします。

ハマる人とそうでない人がいるのは当然の作品だと思いますが、長すぎるという意見があるのは残念です。
本筋だけではなく、妖怪の部分があってこそこの作品は魅力的なのです。
欠点もあるかもしれませんが、10点以外考えられません。

No.72 6点 884
(2004/02/13 23:14登録)
 トリックについてですが、ミステリとしてはどうかと思いますけど、話としては再三前振りを繰り返し、読んでてわかるように作ってあるので問題ないでしょう。取り違えは話として他にしようがない気がします。
 オカルトはただの小道具で本筋にはほとんど絡みません。だったら表紙もオカルトっぽくしなけりゃいいのに。小道具を心理学関連に替えればたやすくそういう話になるでしょう。その程度のはなしです。
 話的には普通におもしろかったです。ただ正直分厚さがめんどい。

No.71 8点 Dain
(2004/02/12 00:50登録)
ミステリとして評価するにはトリックがぶっ飛んでるような気がしますが、他には無い感じで俺は大好きです。ラストが非常に綺麗でいいですね。

No.70 8点 ai
(2004/02/03 00:43登録)
独特の世界をたのしめた。
長い妖怪話しも苦じゃない。
なによりも登場人物が魅力的★
大好きです!

No.69 8点 やろ
(2004/01/29 16:15登録)
トリックに怒る人もいるみたいだけど、この本は雰囲気や物語を楽しむエンタメとしたら面白いんじゃないかな?

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