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ミステリの祭典

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六月はイニシャルトークDE連続誘拐
私立霧舎学園ミステリ白書シリーズ

作家 霧舎巧
出版日2002年12月
平均点6.00点
書評数6人

No.6 7点 人並由真
(2021/10/01 13:36登録)
(ネタバレなし)
 六月下旬の私立霧舎学園。高校二年生の羽月琴葉とその彼氏の小日向棚彦は、校内図書館で奇妙な二冊の本を目にする。それは彼らが四月と五月にこの学園で遭遇した、ふたつの怪事件を語った内容だった。さらにその本には続巻があり、そこには誘拐を題材にした六月の事件が描かれていた。そんなとき、まさにその本に呼応するように誘拐事件が発生。しかもその被害者のなかには琴葉たちも含まれていた。

 シリーズ第三弾。
 相変わらずの読みやすさでスラスラ頁がめくれるが、中身の方の仕込みはかなり入り組んでおり、現状まで評者が読んだシリーズ初期3冊の中では一番の手ごたえを感じた。
(なお誠に恐縮ながら、本サイトの先行のレビューのうち、505さんと江守森江さんの投稿はそれぞれいささかネタバレなので、注意されたし~汗~。)

 それで自分もまた、これから本作を楽しまれる方のネタバレを気にかけながら書くが、本作は作者の著作の別路線で、世界観を共有する「あかずの扉研究会シリーズ」の某作品と相応にリンク。
 本作単品でも読めるように一応以上の配慮はされているが、それでも興趣を満喫するなら、絶対にそちらのシリーズも嗜んでからの方がよい(これ以上は詳しいことは言わない方がいい)。

 しかし技巧派の新本格ミステリ作家としてこういう趣向(自分の別作品とのリンク)をやりたかった気持ちはなんとなくよくわかるし、前述のように本作単独でも楽しめる用意はされているのだが、一方である意味、読者を選ぶ作品ともいえる。この辺はまったく痛し痒しだ(ここまで、本作の犯人やメイントリックなどの興味には、まったく触れてないハズ)。

 とはいえそれでも終盤で明かされる本作独自のぶっとんだ大技には、拍手喝采であった。いや前二作に引き続き、本シリーズらしいギミックなんだけれど、ある意味で(中略)的といえる発想には爆笑した。昭和30年代の某国産ミステリの、あの仕掛けも連想する。

 シリーズの残りは9冊。まだまだ先は長いが、かなり楽しめそうである。

No.5 6点 505
(2015/10/18 00:18登録)
前作の『五月はピンクと水色の恋のアリバイ崩し 私立霧舎学園ミステリ白書』への未解決部分のアンサーをオマケとしつつも、純粋に一捻りした誘拐モノが本作。相変わらず、メタな仕掛けにも驚かされる。このシリーズはどうやら本自体にも仕掛けを用意するのが一つの約束事になっているようで、〝本文中ではないところにも〟ヒントが巧妙に隠されているのが心憎い演出だと言えるだろう。

肝心の誘拐トリックに関しては、作中で一応〝陽動〟的な意味合いを含んだ事件であることを解決前に明かされているので、誘拐そのものがフェイクというのはフェアであり、当然の着地だと感じた。誘拐事件自体を誤認させ、上手く錯覚させた遊びは技巧的であり、実に倒錯感溢れる演出となっている。

本作では、『誘拐された側の視点』と『誘拐事件を追う側の視点』を交互に描くことで、事件の複雑さをスムーズに運ぶことに成功している。誘拐モノにありがちなパターンから逸脱しているという点にも奏功している。そして、その視点の切り替わりが〝とある矛盾〟を孕んでいたことも作中で簡潔に開示されるので、とても良心的な設計だと言える。その矛盾からの怒涛の展開は、お約束とも取れるが、本シリーズの〝2人の探偵〟を巧みに操った結果であり、そこに新キャラを交えることで一種のミスリードを誘うエンタメもある。

作中で何度も提示されるイニシャルの使い方も、本作のトリックには必要不可欠であり、予めにイニシャルでの〝遊び方〟を披露し、伏線として張るところに執念を感じることもしばしば。単なる稚気では収まらず、それすらも鮮やかに遊び倒す様に清々しさを覚えるほどである。トリック自体のスケールとそこから生まれるべくして生まれた錯誤。今のところ、本シリーズの中では突出したクオリティだと言えるのではないだろうか。

しかし、シリーズものだからこその人間模様に傾倒した事件である故に、単独として本書が成り立つかと言うと疑問ではある。特に本書ほど事件の性質上として〝内輪感〟が強いところが欠点。主人公たちを『誘拐される側』に置いた視点は面白かったのだが、ラブコメ部分の描写不足は否めず。

No.4 4点 ボナンザ
(2014/11/25 16:16登録)
まずまず。
後半明らかに書き間違えがあるのは減点対象。

No.3 7点 測量ボ-イ
(2013/03/16 12:42登録)
ワンパタ-ンになりがちな誘拐がテ-マですが、それなりに
オリジナリティがあり、良い出来の部類だと思います。
でも真犯人はこのサイトをご覧の方々ならわかり易いかも。

No.2 6点 isurrender
(2011/10/01 00:24登録)
トリック自体は前作、前々作よりもずば抜けて良いと思う。

No.1 6点 江守森江
(2009/05/24 07:47登録)
タイトルの誘拐がメインテーマではなく今回は頑張った。
それでも水準レベルだが。

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