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ミステリの祭典

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天帝のつかわせる御矢
天帝シリーズ

作家 古野まほろ
出版日2007年06月
平均点5.17点
書評数6人

No.6 8点 いいちこ
(2015/08/27 18:07登録)
いい意味で大きく裏切られた作品。
デビュー2作目で下振れするケースは枚挙に暇がないが、これほど上振れするケースは初めて。
まず、物語として、本格ミステリとして、(一旦)しっかりと着地している点が大きい。
ルビ塗れの異様な文体は、慣れてしまえば却って立体的に感じるとさえ言えなくもない。
衒学趣味を1作目よりセーブし、その中に真相の伏線を巧妙に散りばめることで、プロットとの連動性を高めた。
推理合戦はその網羅性といい、緊迫感といい、読み応え十分。
最終盤の伝奇SF的展開によるプロットの破壊は、もったいないとは思うものの、一旦構築したうえでの破壊であるため、1作目とは異なり致命的な減点にはならない。
この荒唐無稽な展開をシリーズものとしてどのように収斂させるのかは、今後の展開を待ちたい。
主人公の人物像とか、随所に散見される文学的な表現等、肌にあわない点は感じるが、それは好き嫌いの問題であり、本作の評価を引き下げる理由にはならない。
作品全体を俯瞰して言うなら、一部の熱狂的ファンが称する「本格の申し子」とまでの評価には抵抗があるものの、「黒死舘殺人事件」にはじまる暗い水脈をバックボーンとして継承しつつ、そのうえに堅固な本格ミステリを建築し、流行りのライトノベル的センスでインテリアを施すことで、一個の新たな世界を作り上げた構築力・オリジナリティは瞠目すべきものと評価

No.5 2点 abc1
(2011/12/17 03:28登録)
まほろ三作目。がんばって読んでみたけど評価は上がらなかった。この作者を「本格の申し子」と呼んでいる信者たちがあることは知っているが、詰め込まれている本格のガジェットに誤魔化されているだけで、トリックやロジックはどこかで目にしたものばかり。あまり独創性はないと思う。

No.4 4点 touko
(2011/04/01 22:39登録)
キモイって前作でわかっているのに、面白いと評判の推理合戦への期待に負けて、またも挑戦してしまいました。

あー前よか文体はマシだけど、やっぱりキモイよ~(鳥肌)。
イケメンなのに終始、鼻くそほじっては舐めている人を見ているくらいキモイ!?

自己憐憫と自己愛に満ちた主人公は、ありがちな人物像なのに、作者と距離が感じられないと、ここまでキモくなるものなのですね……そのへんのメンヘル女子のアタシの内面垂れ流し・現実逃避の異世界構築系ブログとかよりはるかに破壊力あって、またもぐったり。

ミステリ(イケメン)部分は面白かったですが、トータルするとキモかった分、損した気分になる、毎度、変な作品。

No.3 8点 江守森江
(2009/05/22 07:44登録)
前作を我慢してよめたなら少しは楽に読める(気がする)
クリスティー「オリエント急行」風な舞台設定で読者挑戦物を試みている。
推理合戦部分はパワーアップして楽しさ倍増。

No.2 2点 雨場毒太
(2008/10/19 02:40登録)
飾りつけ(舞台・背景設定、キャラクター、ルビ、台詞エトセトラ)が過剰すぎてミステリとしての風味を殺いでいる。

謎解きそのものに関しては8点つけてもいい。

No.1 7点 猫こねこね
(2008/07/17 15:32登録)
独特の文体と豪華な小道具さえぬかせば、とてもすっきりした列車の密室&トラベルミステリー。本当に架空の時代の満州から日本を豪華列車で旅しているような感じがします。
前作ほど凝っていないのが残念ですが、それでも十分楽しめます。(最後にあのお方のご降臨もあるし…)

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