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ミステリの祭典

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東亰異聞

作家 小野不由美
出版日1994年04月
平均点5.56点
書評数9人

No.9 6点 TON2
(2013/01/03 20:45登録)
新潮文庫
(ネタバレ)
 江戸のまちならいざ知らず、文明開化の帝都で火炎摩人や闇御前と名づけられた妖怪とも物の怪とも思えるものたちの跳梁は、実は高貴な公家の相続争いのために人間によって仕組まれたものであったというのが一応のストーリーです。
 しかし、明治29年に明治大帝が崩御するというラストによって、この物語はパラレルワールドを舞台としたものであったことが分かり、東京ではなく「とうけい」であったことが腑に落ちます。
 伝奇ミステリーといて楽しめました。

No.8 4点 蟷螂の斧
(2012/04/10 14:15登録)
ミステリーとして、家督相続に関する動機は楽しめましたが、それ以外(伝奇)は全く肌に合いませんでした。

No.7 5点 Tetchy
(2007/11/19 18:21登録)
最後の最後であの展開がなかったら、この作品に対する評価はもっと低かったでしょう。
せっかくパラレルワールドの「東亰」という魅力的な世界を設定したのに、語られる時代背景は現実の日本で起きた事ばかりでしっくり来ませんでした。
しかし、後々の京極氏の妖怪小説の隆盛を考えるとこれはその走りだったのではないかと思います。
そういう歴史的価値を評価しました。

No.6 5点 iti
(2004/09/28 04:38登録)
ミステリーとホラーが乖離してしまっている。というか怪異を肯定してしまっている段階でミステリーなど作れる筈もない。そのうえ最終章になるまでミステリーなのかどうかさえ不明だし。

No.5 2点 ごんべ
(2003/10/25 20:14登録)
はっきり言って期待はずれの作品であった。
異世界・パラレルワールドとして東亰を作り上げたのならもう少しおどろおどろしさというか、異世界感があっても良いのではないか。
家督争いのお家騒動というのはこの時代設定ならではの動機であるのに、そこにホラー系を何故もう少しうまく絡ませられないのか?
小道具・狂言回しとしての「火炎魔人」「闇御前」等も消化不足だし、ラスト近くになって漸く登場の「輔(たすく)」もあの処理の仕方じゃ単なるご都合主義のヒーロー見参になってしまう。
もっと魑魅魍魎が跋扈しても良いのではないの?少なくとも京極モノよりも設定的にはそうしやすいはずなのに…
「屍鬼」はあんなに面白かったのに…同じ作者とは思えない。

No.4 9点 梨杏
(2003/08/18 23:59登録)
はっきり言って歴史は嫌いで、近代が最も苦手でした。ですから最初は読むのをためらいましたが、この話自体が歴史小説ではなく、若干歴史を基盤にしたミステリーと聞き、読む決意をしました。
少し展開の読める話かも知れませんが、最後の最後で私の予想を遥かに超えてしまい、驚きのあまりにまたすぐに読み返してしまいました。1度読むのと読み直すのとでは違うストーリーに感じてしまいます。これは最低でも2度は読むべき本だと思います。

No.3 7点 yuya
(2002/12/01 15:44登録)
小野不由美さんを好きになったきっかけの本です。
周りの人で小野不由美さんをとても進める人がいました。その人に、何を読めばいいか?と尋ねたら、東京異聞を読んでみたら。と言われました。実際に読んでみて、僕の心の中では大ヒットでした。
ホラー・ミステリー・歴史が織り交ざって、ひとつのものにうまくなっちるところに感心しました。本当にこの人の作品は面白いです。

No.2 6点 みっくん
(2002/08/19 00:22登録)
 歴史小説がどちらかというと苦手な僕としては思っていたより楽しませてもらったという意味で評価が高いです。
 小野不由美さんの作品で読んだのはまだこの作品だけなので他の作品と比べての評価は出来ませんが・・・。

No.1 6点 テツロー
(2002/04/24 00:42登録)
 ミステリの約束事で落とす部分と、ホラーの約束事で落とす部分があって、混然となってはいるが、ミステリとホラーは干渉してはいない。
 ミステリ部分の見所は動機でしょう。家督相続などはよくあるネタだが、そこから派生したこの動機はよく練られたものだと思う。犯人の扮装も、時代と合ってるし、ケレン味たっぷりで良いと思う。
 ホラー部分で良かったのは黒子と人形で、秋波を発する人形の描写は、何かエロチシズムを感じてドキドキしてしまった。しかし文句もある。ホラー部分の善玉キャラたる輔(たすく)が全然活躍しないのはどうした訳か?それがため、カタルシスには至らないと感じた。ラストの変貌した東亰の描写も、唐突だなと感じただけ。これ、素直にミステリだけでまとめても、作品としては充分だと思うのだが、何故この人は、こういう作風なんだろうか?

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