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ミステリの祭典

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ネズミとキリンの金字塔
蜘蛛手啓司シリーズ

作家 門前典之
出版日2025年09月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 nukkam
(2025/10/30 23:10登録)
(ネタバレなしです) 2025年発表の蜘蛛手啓司シリーズ第8作です。シリーズ前作の「友が消えた夏」(2023年)の締め括りの後日談はどうなったんだろうと気になっていましたが、まるで何事もなかったかのように蜘蛛手たちが振舞っています(こちらは消化不良の気分になりました)。さて配置図、平面図、断面図、俯瞰図と豊富な資料を揃えているのはこの作者らしいですが(論創ノベルス版の字が小さくてじじい読者の私はルーペが必要でした)、印象的だったのは精神医療問題をとりあげた社会派推理小説要素があったことで、新たな試みとして評価してもいいかも。しかしながら解決編ではページをめくる手が一瞬止まってしまうほどのとてつもない秘密が明かされ、奇想の本格派推理小説らしさ爆発です。とても沢山の謎解き伏線を回収しての推理説明が披露されるのですが、某国内作家の1980年代前半の本格派をもっと非現実的にしたような真相は毛嫌いしてしまう読者もいるかもしれません。「屍の命題」(別題「死の命題」)(1997年)に並ぶ怪作と思います。

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