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ミステリの祭典

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法廷占拠 爆弾2
爆弾

作家 呉勝浩
出版日2024年07月
平均点7.33点
書評数3人

No.3 7点 メルカトル
(2024/10/06 22:00登録)
未曾有の連続爆破事件から一年。
スズキタゴサクの裁判の最中、遺族席から拳銃を持った青年が立ち上がり法廷を制圧した。
「みなさんには、これからしばらくぼくのゲームに付き合ってもらいます」
生配信で全国民が見守るなか、警察は法廷に囚われた100人を救い出せるのか。
籠城犯vs.警察vs.スズキタゴサクが、三つ巴の騙し合い!
Amazon内容紹介より。

『爆弾』の続編。これまたかなりの力作です。前作は警察対犯人の真正面からの対決で、ストレートな人間同士の頭脳戦がウリだったのに対し、今回は多方面からの描写とスピード感で勝負する感じで、サスペンス小説としては毛色が違います。それぞれの良さがあり、それは読む人の感性で評価が分かれそうです。

それにしてもスズキタゴサクの存在感は相変わらずで、一方迎え撃つ警察陣の顔ぶれにも懐かしさを覚えます。下手をすれば煩雑になりそうなストーリーを上手くコントロールして、読み易いエンタメ小説として仕上げており、作者の力量が伺えます。出来れば二作連続で読むのがベストだと思います。そうすれば面白さ倍増は請け合いですね。

No.2 7点 文生
(2024/08/17 16:46登録)
最初から最後までサスペンスに満ちた展開が続く物語は文句なしの面白さです。ただ、1作目におけるスズキタゴサクというキャラのインパクトやどんでん返しの衝撃と比べてしまうとどうしても見劣りがしてしまいます。とはいえ、今後も続いていきそうな気配があるのでシリーズものの2作目と考えれば十分すぎる出来ではあります。

No.1 8点 HORNET
(2024/08/13 19:53登録)
 史上最悪の爆弾魔スズキタゴサクの裁判中、爆弾被害者遺族として裁判を傍聴していた柴咲奏多が突如暴挙に出て、銃を片手に法廷を占拠した。「ただちに死刑囚の死刑を執行せよ。ひとりの処刑につき、ひとりの人質を解放します」。被害者遺族であり、スズキタゴサクを憎む立場であるはずの柴咲の目的は何なのか?90人以上の人質をたてに、警察と犯人たちの息詰まる攻防が始まる―

 物語冒頭に、前作「爆弾」の事件で被害者となった柴咲奏多の現況が描かれるが、それがその後の展開に直で結び付かないことで、俄然ミステリとしての魅力が高まる。生活に困窮し、一発逆転の金策を狙うような言いぶりだった柴咲が、なぜ法廷を占拠し、顔も名前も晒し、死刑囚の死刑執行などを要求しているのか?それがスズキタゴサクの裁判で行われているのには何の意図があるのか?どれほどの仕組みと作者の企みがこのあと展開されるのか、と思うと、ページを繰る手が止まらなかった。
<ネタバレ>
 目的の異なるもの同士が手を組むという仕掛けと、その成り立ち方に非現実的な感じは否めなかったものの、類家とスズキタゴサクの手の読み合いや、最終的な犯人の動機解明部分などは、読み応えがあって非常に面白かった。ある意味前作とまったく違う舞台に切り替えながらも、「続編」とするにふさわしい内容になっており、期待に背かない出来栄えだと感じた。

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