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ミステリの祭典

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建築屍材
蜘蛛手啓司シリーズ

作家 門前典之
出版日2001年09月
平均点5.00点
書評数6人

No.6 5点 ぷちレコード
(2022/03/24 23:09登録)
建築途中のビルという舞台をいかしたトリックがなかなか面白い。
ビルの建築過程を説明した前半部分が煩わしいと思う人もいるでしょうが、個人的には興味深く読めた。
謎解きはハウダニットとしては良く出来ているが、フーダニットは今ひとつスッキリしない。

No.5 6点 HORNET
(2019/06/29 14:36登録)
 建築中の建物という舞台を活かした、というかそれゆえのミステリになっていて、アイデア自体はかなり面白いと思った。
 しかしここまでの書評でも見られるように、その仕組みが専門的で素人には分かり難かったり、「建築物」という立体空間の様子や出来事を言葉で説明するためどうしてもイメージが難しかったりした。それを補えるように各所で図が付加されたり、巻頭に4階分を重ねて見ることができる、半透明紙の建物の平面図があったり(これはスゴいと思った)して、それらはかなり理解の助けになった。
 「トリック」に特化した作品と言えるので、そういう趣向の人には好まれるのではないかと思う。

No.4 3点 レッドキング
(2018/05/20 19:28登録)
「死の命題」につられて読んでしまったがつまらん

No.3 5点 いいちこ
(2016/02/08 20:22登録)
(あらかじめ承知しているものの)拙劣な叙述、淡泊な人物造形は減点材料。
そのうえで、プロットの大宗を占める物理トリックの乱打については、全般にトリックの内容が非常にわかりづらく、犯行のフィージビリティにも問題が散見される点が残念。
ただし、死体消失にかかるメイントリックは、特殊な舞台設定を活かし切り、かつ死体切断の理由に納得感がある点で鮮やかであり、主人公のパンツの傷の手がかりも見事

No.2 5点 nukkam
(2016/01/21 09:19登録)
(ネタバレなしです) デビュー作の「屍の命題」(発表当時は「死の命題」)(1997年)が自費出版でのスタートだったので2001年発表の蜘蛛手啓司シリーズ第2作の本書が出世作と言えます。建築士でもある作者の本領を十全に発揮しており、建設中の建物という変わった舞台で起こった不可解な事件を描いています。建築に関わる様々な専門知識が丁寧に説明されていてそれは謎解きにも重要な役割を果たしており、膨大な知識披露が謎解きとはほとんど関係なかったヴァン・ダインの作品とは一線を画しているのは長所です。ただ読者が知識をある程度「勉強」しないと推理説明になるほどと納得しづらいし、謎自体もその知識がないとどうして謎なのかが読者に伝わりにくいのは短所とも言えそうです。勉強嫌いの私には少々敷居が高かった本格派推理小説でした(笑)。

No.1 6点
(2013/10/09 22:14登録)
第11回鮎川哲也賞受賞作。
選考委員の笠井潔・島田荘司両氏は「地味」だと言っていますが、どうでしょう。建設中のビルの一室で3人のバラバラ死体を浮浪者が目撃する、というプロローグに続いて、その数時間後には謎の人物がその建物の密閉された別の1室から消失し、しかもバラバラ死体も消えていたという展開で、さらに殺人は続くのですから、事件自体は派手です。またトリックやその理由を議論するところなど、知的なおもしろさは持続します。ただ、建築の専門用語を並べ立てる最初の方は、わかりにくくて固い感じがしますが。
専門的でわかりにくいのは、足跡トリックもそうです。一方バラバラ死体処理の方はかなり早い段階で見当がついてしまいました。それより事故に見せかけられるのに殺人であることを誇示した理由とか、秘書の殺害動機(これはバカミス系)といった論理がおもしろくできています。

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