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ミステリの祭典

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眠りの牢獄

作家 浦賀和宏
出版日2001年05月
平均点6.56点
書評数9人

No.9 6点 ミステリ初心者
(2020/12/05 00:29登録)
ネタバレをしています。

 非常に読みやすい文章で、すぐに読了しました。割とページ数が少ないですが内容は薄くなく、楽しめました。

 物語中の事件は、過去の転落事件と、主人公を含めた3人がシェルターに閉じ込められた際の事件、交換殺人の3つあります。それが、浦賀によって小説化され、作中作のような感じで進んでいきます。
 過去の転落事件は、あまり考えることができないので、シェルター内の事件と交換殺人との関連を考えながら読み進めることになります。
 シェルター内での事件は、中に3人しかおらず、作中作を信じるならば犯人は明らかです。しかし、首をカニバった理由や、北澤の遺書を偽装した方法などは面白かったです。
 交換殺人との絡め方もよかったですが、匿名でのメールのやり取りや、小説内での名前の表記(名字だけや名前だけの人物や、"お兄さん"などの表記の人物)がいるため、ある程度展開が予想できてしまうのがマイナスでした。
 大きなどんでん返しとして、浦賀が女性であるということがありますが、○○シーンから予想できました(笑)。

 全体的に"彼女は存在しない"よりも好みですが、過去の推理小説の要素を少しずつ入れたような感じであり、もう一押し欲しい作品でした。

No.8 5点 蟷螂の斧
(2015/02/11 07:18登録)
①突き落とし事件・フーダニットとその動機➁首切りの理由③外部での出来事との関連④地下室に閉じ込められた真の理由は?と盛りだくさんの謎の提示があり、プロットも凝っており高評価です。しかし以下の理由(特に①)で大幅減点。①見せ方が駄目(数例あり)、ほかの表現方法があるのに・・・。まったく面白くない。大きな、かつ有効な伏線を3か所も設定してあったのに非常にもったいない結果。②その動機事体の前例あるも、首切りはお初。ただし、その状況にいたる水道の止まった理由が不明(読み落としか?)③これは見え見えでしたね。④物語を構成する上で欠かせないのですが、やや動機が弱かった(強い動機にすることは可能なのに、これも勿体ない・・・)。ラストはブラックユーモア的で好みでした。

No.7 6点 メルカトル
(2014/07/13 22:23登録)
二つのまったく関連性のないごときストーリーが並走する構成は、好きな部類だし、面白いと思う。それらが一体どうつながっていくのか、興味深く最後まで読める。そして、いくつも驚愕ポイントが用意されているが、いちいちテンションが上がらない理由が、淡々とした文章にあるのではないかと思う。それが残念でならない。この作品は料理の仕方によっては、大傑作になった可能性が高いはずである。もっとこう、ねちっこい文体で書かれていたなら、或いはもっと上手い作家の手になったとしたら、それこそミステリマニアも大絶賛のヒット作となっていたかもしれないのだ。
だがまあ、そんなことを言っても詮無いことなので、諦めるしかあるまい。どこか既視感のあるメインストーリーではあるし、そして正直またかと思わざるを得ないトリックが用いられているが、全体として実に緻密に練られたプロットであり、隅々まで整合性が取れている点は評価されるべきであろう。
個人的には繰り返しになるが、もう少しこってりと描き込んでほしかったし、もっとボリュームがあってもよかったと思う。氏にしては小さくまとまり過ぎていたのではないだろうか。

No.6 8点 kowai
(2014/05/05 17:30登録)
「彼女は・・」を読んで続けて買いました。構成もオチもよかったと思います。自分の中ではカチっとした結論がでませんでしたが、まぁ、そんなもので良いかとも。。

No.5 6点 シーマスター
(2013/09/11 20:48登録)
この作者は相当なコワレ系の作家らしいが、本作はまごうかたなき本格ミステリーである。ただし端整さと異様性を併せ持った本格であり、その骨子となるネタは
①交互に進む二つのストーリーの関連と殺人のカラクリ
②カバーにも書かれている「...の理由」
③対オンリー読者トリック
の三つと思われ、本格としては①がメインになるが、本作品としてのメインは何と言っても③だろう。
このネタ自体は最早辟易モノだが、ミスリードのしかたがかなりエグい。何しろ小説の作風、そして「本」(ノベルス)そのものを利用した手法であり、これを早々に看破した読者がいるとすれば、その方(々)はこの作者以上にヤんでいるに違いない。(褒め言葉のつもり)

何はともあれリーダビリティも非常に高く、私的には時間潰しに最適の一冊だった。(もちろん褒め言葉)

ところで「読書メーター」という読書サイトの感想投稿欄は結構コワいね。前置きなしのネタばらしが少なくないもんね。

No.4 8点 深夜
(2008/02/02 02:32登録)
古本屋で105円で売っていたので買ってみたが、何気にすごいぞ。驚きの連続。いかにもメフィスト賞作家って感じはするけれど・・・

No.3 4点 天昇
(2003/09/08 20:11登録)
切なくなる感じだ。

No.2 9点 しゃん
(2002/06/21 18:01登録)
最初と最後の1ページが好き。
唖然とした。
トリックは犯人がそんあことをする必然性はないのだけども…納得させるだけの何かがある

No.1 7点 NAO
(2002/05/26 16:06登録)
去年読んだ作品のなかで、私の中ではベスト5に入ります。

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