| ノッキンオン・ロックドドア2 御殿場倒理&片無氷雨 |
|---|
| 作家 | 青崎有吾 |
|---|---|
| 出版日 | 2019年11月 |
| 平均点 | 7.00点 |
| 書評数 | 8人 |
| No.8 | 7点 | ミステリーオタク | |
|
(2026/09/29 22:56登録) 不可能専門の御殿場倒理と不可解専門のす片無氷雨のコンビ探偵の事件簿短編集第2弾。 《穴の開いた密室》 ハウダニットかと思ったらトンデモないホワイダニット。バカミスに近いかな。 《時計にまたわるいくつかの嘘》 あまり面白みは感じなかったが、ロジックは小綺麗にまとまっている。 《穿地警部補、事件です》 シリーズを通して初めて警視庁捜査一課の警部補にして倒理と氷雨のくされ縁、穿地決が語り手となる。そして彼女の身辺が少しだけ明かされる。 本作の事件は倒理と氷雨によって本編の半分弱位のところで明快に解決されたように思われ、残りのページはどうするんだと思っていたら・・・ その後、今までは冷徹一辺倒の言動しか見せてこなかった穿地が今回は語り手だけあって感情面やある種の人間性に関する考察が少し語られたりもするが・・・ しかし本件の動機はいくら何でも納得できない。勿論現実には絶対あり得ないが、フィクションミステリでもこれはないだろう。あまりにも代償が大き過ぎる。 《消える少女追う少女》 珍しく氷雨が苦悩し、更に珍しく倒理がそれを励ますシーンで始まる。 また後半ではシリーズを通して初めて倒理の敬語使いが見られる。ある人物に対しての半分だけの敬語。 本件では非常に魅力的なHowとWhyが提示される。 そしてそのトリックはある意味古典的だが面白い。 しかしその動機は・・・前作ほどではないにせよ受け入れ難い。気持ちは分からなくもないが、実際に実行するとはちょっとね・・・ 《最も間抜けな溺死体》 第1巻以来の、最強のライバル糸切美影との対決。 舞台は会員制の高級プールだが、いくら高級でもプールサイドに酒が飲めるバーはまずいだろう。それにこんな形のプールではまともに泳ぐことはできない。まさにサロンやパーティー用。 また途中で、前作で初登場した、倒理が唯一敬語を使った人物が再登場する。 しかしトリックはイマイチ分かりにくいし説明も何かスッキリしない。そもそもアレの構造がよく分からないし、そんなふうに使えることもピンと来ない。更に動機も何を言っているのか理解できない。 《ドアの鍵を開けるとき》 「5年前」氷雨、倒理、穿地、美影の4人に課せられた大学卒業前の最終課題、そしてその後に彼らに現実に起きた解決不能な事件に「5年後の今」再度4人でアプローチする。 最終話がこのシリーズの「最後の挨拶」であってほしくはないが、さて・・・ |
|||
| No.7 | 7点 | パメル | |
|
(2026/02/17 10:06登録) 不可能専門の探偵・御殿場倒理と不可解専門の探偵・片無氷雨のコンビが活躍するシリーズ第2弾で6編からなる連作短編集。 「穴の開いた密室」密室状態で死体が見つかるが、部屋の壁には大きな穴が開いているという奇妙な事件。密室だけど密室ではないという二重の謎が仕掛けられている。アイデアとしては面白いものの、構造は比較的シンプルで驚きはない。 「時計にまつわるいくつかの嘘」女性が殺害され、時計にまつわるアリバイや証拠が重要な鍵となる事件。一見確かな証拠と思えるものでも、嘘として働く可能性があるというテーマで、論理の裏返しによって真相が見えてくるのが爽快。 「穿地警部補、事件です」著名なニュースサイト代表が謎の死を遂げる。捜査の過程で、穿地警部補の家系が警察一家であるという背景が明かされる。この編は探偵コンビではなく警部補目線で描かれる。登場人物の内面や警察組織の心理も絡んでおり、シリーズ全体の人間関係が深まる点が魅力的。 「消える少女追う少女」トンネル内で忽然と女子高生が姿を消し、倒理と氷雨がその謎を追う。失踪というシリアスなテーマながら、心理と状況の交錯が巧妙。予想を裏切る結末で、心情や動機に考えさせられる印象に残る一編。 「最も間抜けな溺死体」IT企業の社長が、水の入っていないはずのプールで溺死体となって発見される。トリックの独創性が高く、軽妙だが論理的な構成で謎解きの面白さが際立つ。 「ドアの鍵を開けるとき」大学時代、密室状態のアパートで倒理が何者かに首を切られ重傷を負った事件の全貌が明かされる。倒理、氷雨、穿地、美影の4人を縛り続けてきた過去が解明され、切なさと苦味の残る結末で作者らしい青春ミステリに仕上がっている。 |
|||
| No.6 | 8点 | レッドキング | |
|
(2026/01/25 22:40登録) 不可「能」 = How専科の探偵と、不可「解」 = Why専門の探偵の、コンビ探偵シリーズ第二弾・・と思いきや、若き女警部補と謎のモリアーティ青年も併せた、同窓生青春ミステリであった・・・ 「穴の開いた密室」 ドアや窓よりも大きく、チェーンソーで開けられた壁の穴のWhyロジック。4点 「時計にまつわるいくつかの噓」 絞殺死体に嵌められた停止した腕時計、からのWhoロジック。6点 「穿地警部補、事件です」 マンション突落し殺人の密室トリック破り・・からのドンデン返し。7点 「消える少女追う少女」 高架線下トンネルから消失した女子高生のHowとWhy。8点 「最も間抜けな溺死体」 密室屋上の水のないプールでの溺死事件のHow。3点 「ドアの鍵を開けるとき」 簡明・完璧な密室Howにして、感銘・詠嘆のWhy、素晴らしい!10点 ※最終編で一気に、Greatな密室青春小説に飛翔してくれた。全体点数は平均 6.333・・・+α、えーい、8点 |
|||
| No.5 | 8点 | 虫暮部 | |
|
(2023/12/21 12:59登録) 2が付いて濃度もワンランク上昇。上手く設定を広げた上で畳んでいる。面白くて却って書くことが無いな。 唯一気になったこと:60度に設定出来るシャワーなんてあるのか。危険なだけでは? |
|||
| No.4 | 6点 | まさむね | |
|
(2023/04/17 20:24登録) シリーズ第2弾。前作は7年も前に読んだので、詳細までは思い出せないものの、連作短編としての意義は本作の方が上(のはず)。連作短編集としての評価は別として、個々の短編はなかなか面白かったですね。個人的ベストは「消える少女追う少女」。極めて基本的なネタではあるけれど、はっとさせられました。 で、連作短編の肝となる最終話「ドアの鍵を開けるとき」については、シリーズとしての驚きは確かにあったけれども、トリック自体は薄味であるし、犯人の行動に対する違和感が凄い。動機と行動が繋がらないというか…。普通そこまでやるかね?そして現在に至るまでさ…。いや、これ以上はやめておきましょう。 |
|||
| No.3 | 7点 | E-BANKER | |
|
(2023/03/26 13:12登録) シリーズ二作目となる本作。「不可能」専門の御殿場倒理と「不可解」専門の片無氷雨のコンビが、やってくる難事件を次から次へと片付けていく・・・ 2019年の発表。 ①「穴の開いた密室」=大きな穴が開いた密室って・・・、じゃあ密室じゃないじゃん、って思うんだけど、謎解きのメインは当然ながら「なぜこんなに大きな穴を開けないといけなかったか?」ということ。で、解法はいわゆる逆転の発想っていう奴。 ②「時計にまつわるいくつかの嘘」=「時計」といえば無論アリバイトリックがテーマとなるのは自明。女性が腕時計を巻くときって普通・・・てなことがロジックとして展開されていく。 ③「穿地警部補、事件です」=ふたりの探偵の旧友にして盟友?が穿地警部補。彼女の家系が代々警察官僚を務めているとの情報が開示される本編。事件は一件落着かと思いきや、意外な真相が明かされる。で、ラストの穿地のセリフがなかなかカッコいい。 ④「消える少女、追う少女」=これはなかなかの佳作だと思う。線路下を潜る形のトンネル。その中で突然神隠しにあったように消えた少女。ロジック全開の解法は作者らしく非常に良かった。動機も・・・分かる気はする。 ⑤「最もマヌケな溺死体」=準密室となった現場で見つかった溺死体。容疑者には全員アリバイあり。しかも、溺死したプールは一旦水がすべて抜かれていた・・・。ひとつ疑問。指紋認証でしか動かないエレベーターとのことだが、それなら絶対に使用履歴は残るはず。これがあれば、一発で真犯人が分かるはずでは?? ⑥「ドアの鍵を開けるとき」=ふたりの探偵の好敵手である糸切美影。穿地も加えた旧友四人が関係する過去の事件。現場は当然密室。意外過ぎる過去が明かされ、本シリーズがこんなにも奥が深かったのかと改めて気づかされた一編。ただトリックそのものは凡庸。 以上6編。 良いシリーズになった。で、良い短編集である。 長編作品のように細かく込み入ったロジックこそないものの、短編らしい切れ味勝負のトリックやロジックが効いている作品が並んでいる。主要キャラたちの関係性もかなり明確になってきて、そっちの展開も楽しみになってきた。 いずれにしても良質な短編はやぱり面白いと再認識した次第。 次作もあるかな? (マイベストは、やはり④) |
|||
| No.2 | 6点 | ボナンザ | |
|
(2023/01/27 19:43登録) 個別の話はそれぞれ結構面白く、トリックも斬新。最後の一編はあまりひねりがなくて微妙。 |
|||
| No.1 | 7点 | 名探偵ジャパン | |
|
(2021/01/08 21:12登録) 当初の予定からかなり期間を空けての刊行となってしまいました。 キャラクター小説という側面がある以上、登場人物のキャラクター像や人物関係をおさらいしてから読むべきで、そうしないと面白さが半減してしまうのでしょうけれど、面倒くさくてそのまま読んじゃいました(登場人物の名前も含めて、「探偵が二人組」ということ以外、ほとんどすべての設定を忘れていました) こういうことがあるから、キャラクター小説は読者の記憶が確かなうちに矢継ぎ早に出していかないと駄目なのです。 相変わらず手堅いミステリを量産できる器用な作家ですね。「ハズレ」のない良い短編集でした。 最後に登場人物の関係性の総決算が行われるので(少年漫画の打ち切りラストみたいな駆け足感でした)、できれば前作から続けて一気読みすることをおすすめします。 |
|||