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ミステリの祭典

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雷鳴の中でも
ギデオン・フェル博士シリーズ

作家 ジョン・ディクスン・カー
出版日1960年01月
平均点4.33点
書評数6人

No.6 4点 レッドキング
(2021/08/25 19:20登録)
かつて「ヒトラー山荘」に招かれた程の伝説の女優。時を経て容色衰え、なお益々盛んな男への情欲。山荘でのかつての容疑者が自屋敷では被害者として謎の死を遂げて・・。見どころはただ一つ、殺人トリック・・「薔薇の名前」の「舌」以前に、この作品では「鼻」がポイント・・で、殺人現場に「いた」事が無罪のアリバイになる、という画期的な殺人トリック。※奇しくも皆川博子と同じく「薔薇とナチス」が物語の背景を彩っている。

No.5 3点 クリスティ再読
(2019/02/17 22:01登録)
初期の「絞首台の謎」とか「髑髏城」は、パズラーとしては駄作でも、ビザールなロマンとしては雰囲気があって中々いいものなのだが、一口に「駄作」と言っても、本作みたい後期の駄作はその「駄作さ」に大きな違いがあるように思うよ...本当にメリハリがなくて、読んでいてすぐ眠くなる。評者でも読むのにやたらと難渋した。
まあ何というかね、ヒロインのオードリーがやたらと自分勝手に動きたがって迷惑なくらいだし、ハサウェイは妙に傲慢な態度で他人をバカ扱いするし、デズモンドはええカッコシイだし...と、嫌なやつばっかりというのも困ったものだ。でしかもフェル博士の推理だって、こういう腹にイチモツな人々の行動の意味や狙いを、深読みして話を組み立てているものなので、「そうとも見えるけど、それが正しいかどうかは、実のところ疑問」というくらいの説得力しかないように感じるよ。まあトリックというかミスディレクションというか、そういうものはあるけど、全然魅力的じゃない。ふう、単に疲れた。
カバーに大っきくハーケンクロイツ出してるんだから、ヒトラーくらいちゃんと出してよ....と思うのだが、カーって社会や時事に全然関心がないんだな。クリスティですらテディボーイや若者風俗を出してる作品があるのに、人間観が戦前で固定しちゃってるのかね。
(作中に登場するナイトクラブのデザインソースになった悪魔派の画家ジャン・ジャンビエ(Jan Janvierか?)を検索してみたけど、それらしい画家は見つからないや。カーの創作かねえ)

No.4 5点 ボナンザ
(2016/11/23 22:27登録)
カーらしく凝った舞台設定とトリックは一読の価値有り。
最大の難点は登場人物がことごとく意味不明な行動をすること。

No.3 6点 nukkam
(2015/06/22 00:14登録)
(ネタバレなしです) 1960年発表のフェル博士シリーズ第20作の本格派推理小説です。この作者としては地味な部類ですがすっきりしたストーリー展開で読みやすく、推理合戦的な趣向もあって十分楽しめました。不可能犯罪風に仕立てるのに苦心した感がありますがトリックも印象的です。

No.2 4点 kanamori
(2011/01/14 17:43登録)
ジュネーブ近郊の山荘を舞台にしたゴシック・ロマン風の設定のミステリ。
作者定番の雷鳴を背景音にするとか、ナチス・ヒトラーの挿話をいれるなど、雰囲気つくりは悪くないと思います。
ただ、肝心の物語が退屈。犯行のトリックもあまり面白いものではありませんでした。

No.1 4点 Tetchy
(2008/11/30 17:38登録)
シンプルな内容に17年前の事件を絡め、さらにナチスの影も絡ませてと、ガジェットに今回も凝っているが、内容的にはなんともメリハリがなく、退屈この上なかった。
読むのに疲れた上に、カタルシスもなく、正にコレクターズ・アイテム。

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