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ミステリの祭典

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ジェリコ街の女
モース主任警部シリーズ

作家 コリン・デクスター
出版日1982年06月
平均点5.67点
書評数6人

No.6 5点 レッドキング
(2021/10/25 19:03登録)
デクスター第五作、かつモース(&ルイス)オックスフォードミステリサーガ第五弾。女盛り(アラフォー)いい女の首吊り自殺と目撃者殺害事件をめぐる老若男女のWhoダニット。シンプルにして巧みなアリバイ時間トリック付き。たーだ、ダミー解決の「オイディプス王」ネタの方が断然よかったなあ、あっちでもこのトリック使った展開できたじゃない。
※シリーズ主役モース警部に「夕暮れ感」出て来てなかなかよく1点オマケ。トレヴェニアン「夢果つる街」レベルにまで黄昏たら2点オマケしちゃう!

No.5 6点
(2019/12/15 16:31登録)
 パーティーの席で出会った女性アン・スコットはモース主任警部の目には魅力的に映った。間近に見ると、大きなうす茶色の目につやつやした肌をもつ女はいっそう魅力的に見え、唇はすでに笑いをたたえていた。二人は互いを意識し合うが、ルイス部長刑事からの急報でかれらのささやかな会話は終わりを告げる。別れ際に彼女はモースに手ずから住所を渡した。オックスフォードのジェリコ街、キャナル・リーチ九号。
 それからまるまる六ヵ月後、彼はオックスフォード読書協会のメンバーとしてジェリコ地区を訪れる。彼女の事が頭から離れないモースはアンの家の門前に立つが、ノックに応答は無い。だが人の気配はするのに、錠はかかっていなかった。彼はドアをあけて中へはいるが、やはり応答はなくそっとドアを閉めて立ち去る。ふりかえると灯っていたはずの二階のあかりが消えていた。
 その晩の読書協会での講演は大成功のうちに終わった。だが、上機嫌のモースの耳に救急車のサイレンが響く。不吉な予感を覚えたモースは会を早々に辞去し再びジェリコに向かうが、そんな彼が見たのは首つり自殺したアンの家を取り巻く警官たちの姿だった――
 「死者たちの礼拝」に続くモース主任警部シリーズ第5作。前作に続き1981年度CWAシルヴァー・ダガーを連続受賞。複雑怪奇な「死者~」と第6作「謎まで三マイル」に挟まれた作品ですが、シンプルながら出来栄えは両作よりもやや上。さらに縊死事件の謎では「キドリントンから消えた娘」のアレを上回るトンデモ仮説が炸裂します。
 アンの自殺が頭から離れず、事件担当の同僚ベル主任警部に内緒で調べを進めるモース。果ては違法に現場の合鍵を作り、コッソリ侵入したところを見つかって新米刑事にしょっぴかれる有様。人徳でなんとか彼を丸め込みますが、全てのいきさつを話さざるを得なくなってしまいます。そうこうするうちに現場向かいの十号室で第二の殺人が発生し――
 最初の事件のメインとなるトンデモと、第二の事件のアリバイ崩しの二段構え。仮説のスクラップビルドはありませんが、後半のアリバイも地味に手掛かりが敷かれています。ただ今読むと、「森を抜ける道」に代表される後期作品のボリュームには総合力で及びませんね。ドラマ部分の処理もやや消化不良気味なので、佳作とはならず6.5点。

No.4 7点 nukkam
(2015/09/06 22:34登録)
(ネタバレなしです) 1981年発表のモース主任警部シリーズ第5作の本書は前作の「死者たちの礼拝」(1979年)に続いてCWA(英国推理作家協会)のシルバー・ダガー賞を受賞しました。作家の数が飛躍的に増えた現在、同じ作家が連続して受賞できたというのは凄いですね。極めて複雑難解な「死者たちの礼拝」と同じぐらい難解な「謎まで三マイル」(1983年)に挟まれて発表された本書は比較的プロットがシンプルな本格派推理小説で、私の読解力ではこのあたりが限界でした(笑)。シンプルといってもちゃんと読者を驚かす仕掛けはあり、37章の終わりで驚かされ、38章のモースの説明で気づかされた時はもう遅い、私は完全にやられました。その38章にもさらにまた驚きがありました。ただ結末はちょっと蛇足気味、悲哀に満ちた演出をねらったのかもしれませんが、曖昧さのおかげで何を訴えたいのか私にはぴんと来ませんでした。

No.3 5点 ボナンザ
(2015/03/22 20:52登録)
最初の二作のような二転三転する推理がないのは寂しいが、それを考えなければ十分良作。

No.2 5点 E-BANKER
(2013/07/17 22:28登録)
1981年発表。モース主任警部を探偵役とする作者の第五長編。
前作に続き、英国推理協会のシルヴァー・ダガー賞を受賞した作品でもある。

~モース警部がジェリコ街に住む女性・アンに出会ったのは、あるパーティーの席上だった。すっかり意気投合した二人は再会を約束するが、数か月後、彼女は自宅で首吊り自殺を遂げた。果たして本当に自殺なのか? モースにはどうしても納得がいかなかった。やがてアンの自宅の近所で殺人事件が起こるにおよび、モースの頭脳はめまぐるしく動き始めた・・・~

う~ん。微妙だなぁー
何となく書評しにくい作品、というのが正直な感想。
他の方も書いているとおり、いわゆるモース警部シリーズの良さはあまり感じられなかった。
モースが好き勝手に仮説を立てては壊し、立てては壊し・・・という展開にはならないのだ。
これがないということが、作者のファンにとっては恐らく物足りなく映るのだろう。

確かに、終盤に入るまでは事件の構図がまるで分からず、割に淡々と捜査過程が描かれる。
いよいよ最終章(第四部)に入ってから、思いもよらぬ推理がモースの口から開陳され、「おぉ、こういう仕掛けだったのかぁ!」と唸っていると、実はこれが捨て筋と判明してガックリさせられるのだ。
でも、最終的な真相がコレなら、捨て筋の方がよっぽど魅力的な解法に見えたんだけどなぁー
(まさか、ギリシャ神話が絡んでくるとは思わなかったし・・・)
一応、本筋でもサプライズが用意されてはいるのだが、あまり納得できなかった、ということもある。

ということで、あまり高い評価はしにくい。
これまでデクスターも数作読んできたが、まだ“本当に面白い”という作品には出会えてない。
まぁでも、出す作品出す作品が、何らかの賞を受賞している大作家なのだから、未読のものにまだ面白いのがあるんだろう(と思いたい)。
(モース警部のキャラ自体は好きだしなぁ)

No.1 6点
(2012/01/14 20:55登録)
前半、ジェリコ街で死んだ女アンの事件を正式に担当するのはモースの同僚ベル主任警部で、ウォルターズという刑事がかなり活躍します。で、モースはというと、アンと面識があり(プロローグは彼等の出会いです)、気になって個人的にこっそり調査しているのです。事件のあった家に忍び込んで、ウォルターズ刑事につかまったりするところがなかなか愉快で。
向かいの家で殺人があった後、後半になって、モースに事件が引き継がれることになります。さあ、ここからが華麗なデクスター流仮説の積み重ねが始まる…と思っていると、がっかりするかもしれません。今回はほとんど普通のパズラーで、最後に鮮やかな(危なっかしい)トリックが明かされることになります。
今回最も驚かされたのは、アンの死の理由に関する推理です。ただし、その推理に対する反証に、心理的側面から再アプローチがなく、あいまいなままになってしまったのは不満でした。

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