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29968. | 人並由真さんへ 『殺人計画』の件 おっさん 2021/02/26 11:25 [雑談/足跡] |
人並由真様 本日付けの、マニング・コールス『殺人計画』のご書評を拝読し、あまりの懐かしさに、ついパソコンのキーを叩いている、おっさんです。 >ちなみにコールスはあと2冊翻訳が出ており、そのうちの片方『ある大使の死』は、ミステリファンの感想サイトなどで大雑把な内容がわかるが、もう一冊の『昨日への乾杯』の中身が気になっている。 >というのは今回読んだ本作『殺人計画』の原題は奥付を見るとズバリ「Drink to Yesterday」だから、直訳すると『昨日への乾杯』まんまだよね? つまり『殺人計画』と『昨日への乾杯』って別の邦題の同一作品なの? 同じ版元で訳者は違うんだから、ふつうなら別の作品だろうとは思うのだけれど。もし両方すでに読んでいる人がいるのなら、教えてください。TwitterをふくめてWebを見回しても、実際のところはいまひとつよくわからないので。 昔、熱心に古本漁りをしていた頃、新潮文庫の絶版ミステリということだけでコールスの2作を買って読み――呆れ果てた記憶が鮮明に甦りました。 結論から述べます。 『殺人計画』の奥付にある原題の記載は、誤りです。これはトミー・ハンブルドン・シリーズ2作め Pray Silence(A Toast to Tomorrow)のほうの翻訳です。 この『殺人計画』から5年後に訳された、1作目『昨日への乾杯』の奥付の原題は、ちゃんと Drink to Yesterday になっています(しかし、「昨日」の訳者あとがきを見ても、そのへんのポカに対する、フォローは何も無し)。 にしても、です。 この2作は、連作といっていい内容なのですが、その続き具合を考えると、2作めを先に出したのは愚挙としかいいようがありません。たとえるなら、『黄色い部屋の謎』より前に『黒衣婦人の香り』を翻訳したようなものです。 責任者、出てこい、と思いましたね。 いやあ、最近のことはすぐ忘れてしまうのに、昔の話となると、まるで昨日のことのようだ(^_^;) こんな昔話でも、いくらかお役に立つようであれば幸いです。 それでは、ますますのご健筆を祈しております。 おっさん拝 |