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29971. | RE:人並由真さんへ 『殺人計画』の件~おっさん様 早速のご教示、ありがとうございます 人並由真 2021/02/26 14:25 [雑談/足跡] |
おっさん様 おはようございます。人並由真です。 今回は、当方のコールス作『殺人計画』 (と同じ作者の『昨日への乾杯』)への疑問に際して とても明快で実にくわしく、さらにあまりにも素早い ご回答、情報のご教示、ありがとうございます! さすがはおっさん様です! 今回はまた改めて、 深く敬服しました。 邦訳本の根幹の部分からそういう種々の問題があったとは……。 > 結論から述べます。 > 『殺人計画』の奥付にある原題の記載は、誤りです。これはトミー・ハンブルドン・シリーズ2作め Pray Silence(A Toast for Tomorrow)のほうの翻訳です。 > この『殺人計画』から5年後に訳された、1作目『昨日への乾杯』の奥付の原題は、ちゃんと Drink to Yesterday になっています(しかし、「昨日」の訳者あとがきを見ても、そのへんのポカに対する、フォローは何も無し)。 > にしても、です。 あー……。最初にその事実というか祖語にお気づきになられた際の おっさん様のご当惑と苦笑ぶりが、お察しされます……。 もしかしたら当時の新潮文庫の編集者は、主人公トミー・ハンブルドンの 素性入れ替わり、虚偽の身上という大前提の文芸を鑑みて、 邦訳の作品単位でそういう趣向を採用し、<実は入れ替わってる> 翻訳ミステリ本を出したのではないかと……。 (いや、絶対にそんなことはナイ。) さらに実はこちらがシリーズ(というか姉妹編?)の二冊目だったという 事実にも驚嘆しました。察するに、第一次世界大戦時のハンブルドンの 活躍の記録が『昨日への乾杯』なのですね? なんか本作『殺人計画』も、 <15年間記憶を失ってドイツに溶け込んでいたという、 記憶を回復した時点でのハンブルドンの昔日の軌跡が 潜入スパイ的には大いに意味をもつ>話なので こっちはこっちで「昨日への乾杯」という邦題・原題も 似合う感じでアリなのかな、と勝手に解釈したりしていました(笑)。 もうこの辺りの半世紀以上前の翻訳ミステリ史上の混乱ぶりは 21世紀の印刷媒体などでは(webなどでも)、なかなか 見えませんね? それを思うと、いつぞやのロードの『プレード街』の件もそうですが おっさん様の芳醇なミステリ読書歴に基づいた、深い知見には 感銘させていただくばかりです。 いや、今回も浅学の徒として、本当に勉強になり、 同時にとても面白い翻訳ミステリ史の逸話をおうかがいしました。 重ねて、本当にありがとうございました。 当方のレビューの方は、今後、拙文を覗いてくださる 奇特な方の視座を意識しながら、おっさん様から いただいた情報を加えて、適宜に改修しておきます。 改めまして、このたびはありがとうございます。 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 人並由真 拝 > [ おっさんさんのコメント ] > 人並由真様 > > 本日付けの、マニング・コールス『殺人計画』のご書評を拝読し、あまりの懐かしさに、ついパソコンのキーを叩いている、おっさんです。 > > >ちなみにコールスはあと2冊翻訳が出ており、そのうちの片方『ある大使の死』は、ミステリファンの感想サイトなどで大雑把な内容がわかるが、もう一冊の『昨日への乾杯』の中身が気になっている。 > >というのは今回読んだ本作『殺人計画』の原題は奥付を見るとズバリ「Drink to Yesterday」だから、直訳すると『昨日への乾杯』まんまだよね? つまり『殺人計画』と『昨日への乾杯』って別の邦題の同一作品なの? 同じ版元で訳者は違うんだから、ふつうなら別の作品だろうとは思うのだけれど。もし両方すでに読んでいる人がいるのなら、教えてください。TwitterをふくめてWebを見回しても、実際のところはいまひとつよくわからないので。 > > 昔、熱心に古本漁りをしていた頃、新潮文庫の絶版ミステリということだけでコールスの2作を買って読み――呆れ果てた記憶が鮮明に甦りました。 > 結論から述べます。 > 『殺人計画』の奥付にある原題の記載は、誤りです。これはトミー・ハンブルドン・シリーズ2作め Pray Silence(A Toast for Tomorrow)のほうの翻訳です。 > この『殺人計画』から5年後に訳された、1作目『昨日への乾杯』の奥付の原題は、ちゃんと Drink to Yesterday になっています(しかし、「昨日」の訳者あとがきを見ても、そのへんのポカに対する、フォローは何も無し)。 > にしても、です。 > この2作は、連作といっていい内容なのですが、その続き具合を考えると、2作めを先に出したのは愚挙としかいいようがありません。たとえるなら、『黄色い部屋の謎』より前に『黒衣婦人の香り』を翻訳したようなものです。 > 責任者、出てこい、と思いましたね。 > いやあ、最近のことはすぐ忘れてしまうのに、昔の話となると、まるで昨日のことのようだ(^_^;) > > こんな昔話でも、いくらかお役に立つようであれば幸いです。 > それでは、ますますのご健筆を祈しております。 > > おっさん拝 |
29968. | 人並由真さんへ 『殺人計画』の件 おっさん 2021/02/26 11:25 [雑談/足跡] |
人並由真様 本日付けの、マニング・コールス『殺人計画』のご書評を拝読し、あまりの懐かしさに、ついパソコンのキーを叩いている、おっさんです。 >ちなみにコールスはあと2冊翻訳が出ており、そのうちの片方『ある大使の死』は、ミステリファンの感想サイトなどで大雑把な内容がわかるが、もう一冊の『昨日への乾杯』の中身が気になっている。 >というのは今回読んだ本作『殺人計画』の原題は奥付を見るとズバリ「Drink to Yesterday」だから、直訳すると『昨日への乾杯』まんまだよね? つまり『殺人計画』と『昨日への乾杯』って別の邦題の同一作品なの? 同じ版元で訳者は違うんだから、ふつうなら別の作品だろうとは思うのだけれど。もし両方すでに読んでいる人がいるのなら、教えてください。TwitterをふくめてWebを見回しても、実際のところはいまひとつよくわからないので。 昔、熱心に古本漁りをしていた頃、新潮文庫の絶版ミステリということだけでコールスの2作を買って読み――呆れ果てた記憶が鮮明に甦りました。 結論から述べます。 『殺人計画』の奥付にある原題の記載は、誤りです。これはトミー・ハンブルドン・シリーズ2作め Pray Silence(A Toast to Tomorrow)のほうの翻訳です。 この『殺人計画』から5年後に訳された、1作目『昨日への乾杯』の奥付の原題は、ちゃんと Drink to Yesterday になっています(しかし、「昨日」の訳者あとがきを見ても、そのへんのポカに対する、フォローは何も無し)。 にしても、です。 この2作は、連作といっていい内容なのですが、その続き具合を考えると、2作めを先に出したのは愚挙としかいいようがありません。たとえるなら、『黄色い部屋の謎』より前に『黒衣婦人の香り』を翻訳したようなものです。 責任者、出てこい、と思いましたね。 いやあ、最近のことはすぐ忘れてしまうのに、昔の話となると、まるで昨日のことのようだ(^_^;) こんな昔話でも、いくらかお役に立つようであれば幸いです。 それでは、ますますのご健筆を祈しております。 おっさん拝 |