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シーマスターさん
平均点: 5.94点 書評数: 278件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.16 5点 春から夏、やがて冬- 歌野晶午 2015/02/15 21:32
寄り添えども寂しく、想えども切なく、美しくも哀しく愚かしい喜劇にも似た悲劇。

No.15 6点 絶望ノート- 歌野晶午 2012/08/21 23:41
文庫で優に600ページを超える作品だが、さほど長さを感じることもなく読め且つ読みごたえもある内容だったように思う。

歌野を読み慣れている身としては本当に驚いたと言えるネタは1つ(あるいは2つかな?)ぐらいだが、作者らしいアクと仕掛けに溢れた楽しいミステリーだった。
主要な登場人物達のキャラクターの掘り下げ方にも歌野らしい味わいを感じたし。

また3年前の作品だが、「いじめ」の描写は最近の「いじめ」報道から感じられる構図とフォーカスのずれがなかった。

No.14 5点 魔王城殺人事件- 歌野晶午 2012/06/06 22:16
喜ばしいことにミステリーランドも続々とノベルス化されてきているようです。

このシリーズって、大人と子供の両者向けを謳っているようだけど(数冊しか読んでないので見当外れかもしれないが)明らかにジュブナイルなどとは一線を画し小学3,4年の子供が楽しんで読める代物とは思えないし、基本大人の読み物(ホンモノの子供に解かるとは思えないジョークも多いしね)・・・っていうか、子供だった頃の読書の楽しみを大人になった今、もう一度味わえるノスタルジックなエンターテインメントが主眼では・・・・・・・まぁどっちでもいいけど。

本作もたわいないトリックを程よく味付けしてコンパクトに纏まった作品に仕上がっているが、種明かしはちょっとくどい。一目で解かることをアレコレ理屈を絡めて説明されるのは少々興ざめする。

「あとがき」もなかなか楽しめるが、これはもちろん「作文」だよね。

No.13 4点 密室殺人ゲーム・マニアックス- 歌野晶午 2011/09/13 20:27
(おっと、既に登録されていたとは)


密室殺人ゲームシリーズの第3弾だが、これはないでしょう。
少なくとも本格ミステリーとしての意義はほぼゼロだろう。

まぁネット、IT、現代機器で、どこまでミステリーゲームができるかをネットオタクの作者が、若干のネット社会論も交えて書いた確信犯的な「お遊び作品」というところか。(それでも第2話の後半はふざけすぎ)

このシリーズ、これで終わりではなさそうだね。

No.12 5点 舞田ひとみ14歳、放課後ときどき探偵- 歌野晶午 2010/11/02 22:52
舞田ひとみシリーズ第2弾。

前作から少し大人になったひとみちゃんが今回はしっかり探偵役だし、言動と年齢のギャップを大きく感じさせるものでもなくなっている。(と思う)

ただミステリ的には概して歌野らしいアクに欠ける印象でしたね。もっともこのシリーズは作者自ら公言しているように「ゆるミス」だからね・・・
だけど前作は各短編のリンクがなかなか巧妙で面白かったのに今回はそれも申し訳程度でしたね。

3年後には「17歳」を予定しているそうです。
歌野さん、もしかしてひとみちゃんくらいの娘さんがいるのかな?本作に限ったことではないがティーンの女の子の実態やファッショントレンドの詳細さとか尋常じゃないところもあるからね。

No.11 6点 ハッピーエンドにさよならを- 歌野晶午 2010/10/16 22:18
落穂拾い的な短編集のようだが、タイトルどおり全てバッドエンドで、皆さん仰るように「正月~」に比べれば薄味だけと歌野のダークサイドが味わえる作品がズラッと並んでいる。
ただしネタやオチは首を傾げたくなるほど旧型なものが少なくないので、そちらへの期待度は控えめにして読まないと落胆も少なくないだろう。

歌野君は、最近はチャットモの殺人ゲームシリーズに気を注いでいるようだが個人的にはコッチ系の方がいいなあ

No.10 6点 密室殺人ゲーム2.0- 歌野晶午 2010/02/22 22:40
殺人ゲームシリーズ第二弾。

第1話・・・アイデアはとてもユニーク(この「ルール」読めた人いる?)だが、こんなにたくさん無関係に見える殺人事件が起きて、それぞれにそれなりのシチュエーションがあるのだから読み疲れるよなァ。まァこのネタを十分生かすためにはしょうがないか。
2・・・こういうのは5ページくらいですませてくれ。
3・・・これは凄まじいトリックだ。
4・・・時刻表まみれの推理合戦は読み疲れるよなァ。まァこのシリーズならではのトリックには驚きがあるといえばある。
5・・・プロローグで前作(王手飛車取り)の事後が明らかにされるが、本編は古典的な不可能殺人モノ。
6・・・大したことないネタを「凝らせすぎ」。長すぎ。

全体的にミステリの質は前作より高いと思うが、他の方も仰るように、このシリーズはもういいんじゃないかな。
AVチャットの擦れた会話での推理合戦は一、二編なら許せるけど全部だとさすがにゲンナリズムすよね。でもまだ引っ張りそうな気配あるね。
以前のような淡々と陰鬱さを描出する短編の方が好きなんだけどなー

たのむよ晶ちゃん。 (何様?)

No.9 6点 密室殺人ゲーム王手飛車取り- 歌野晶午 2009/11/30 23:55
単品では短編ミステリとしての体も成しえない雑魚ネタを寄せ合わせて一冊の本に仕上げた、という感もなくはないが、形式において作者の独創性を買ってもいい作品だとも思う。

歌野らしい、いくつかの叙述系の仕掛けには全く驚けなかったわけではないが、(恐らく)一番ネタになるのであろう仕掛けは、かなり早い段階で想定内に入っちゃった。
しかし、これほど恐ろしさを覚えながら読んだミステリも個人的には例が少ない。
(トリックは別として)全くのゲーム感覚で次々と人を殺す・・・それが現実にありえるかもしれない、と感じさせるストーリーメイクのため読中背筋からうすら寒いものがとれませんでしたよ。

最終章は(初っ端のサプライズを除いて)意味不明にも思えるが、歌野自身のある作品でも見られた彼特有の世界観というか感性が映し出されたエンディングのようでもあるようですね。あまり好みではないが、わからなくもない。

No.8 6点 舞田ひとみ11歳、ダンスときどき探偵- 歌野晶午 2009/11/14 23:27
歌野らしからぬ軽めのタッチの短編集。

タイトルから「生意気なガキンチョが大人顔負けの推理で難事件の真相をズバズバ言い当てる話」が並んでいるのかと予想していたが、ぜーんぜんそんなことはありません。
ひとみちゃんの些細な言動がヒントになって、その叔父さんの刑事が(もちろん地道な捜査の上)事件を解決していく全うなパズラー集です。
まぁ少々コジツケっぽい推論が多いのはこの手の短編集としては止むを得ないところでしょうが、みなさん言われているとおり、それぞれの話が少しずつ関連しているのはいい感じです。

しかし自分もabc1さんが仰るとおり、11歳の女の子は普通もう少し大人っぽい話し方をするのではないかと思うが・・

No.7 6点 女王様と私- 歌野晶午 2009/10/13 23:45
序盤の叙述ジャブ2、3発は、コレ系に慣れていれば何てことはないが、それでもこの調子なら「驚愕のドンデン返し」が仕組まれているかも・・・と期待を抱かされもする。(ていうかカバーや帯の文句が煽りすぎ)

しかし、結局メイン(?)のネタは作者自身の「ある作品」のネタのリユースだし、(それでも使い方が巧ければ、自分は可とする派だが)その作品を未読の読者でも恐らく「あっと驚く」というより「何それ・・」という反応の方が遥かに多いだろうと推測される程度の出来にしかなってない、と思うのだが如何だろうか。
一発を狙って空振り、というより半端なスイングで凡フライ、といった感じのどっちつかずの「使い方」になってしまっているのは再利用の負い目がなせる業か。
その後の「設定」やミステリとしての妙に細かいプロットにも特筆すべきものはないように思う。

要するに作者がこの作品で「何をしたかったのか」が見えなかったわけだが、変貌前の「あの人」の「語り」なんかは結構笑えたので、「つまらない本」ではなかった。

No.6 6点 正月十一日、鏡殺し- 歌野晶午 2009/01/11 20:51
読みやすくて(第1話を除き)読後感の宜しくない作品が、[暗鬱度]弱→強の順に並んでいる「裏本格」短編集。

いくつかコメントすると・・・
『記憶の囚人』(第4話)は運命に打ちのめされた人々の心の闇と狂気がもたらすトラジディをミステリに仕上げた話。韻文詩調の地文で霧深いスコットランドを鬱々と演出した面白い構成になっている。
続く『美神崩壊』でのグロテスクなフィジカルダメージと陰惨なカタストロフィは底知れぬどす黒さ(or赤黒さ)以外の何物も残さない。
そして表題作での、〈彼女〉の精神を粉砕する壮絶な悲愴劇は何に例えんや・・・・・・・・Kyrie,eleison
                            
歌野氏は決してミゼラブルな話ばかり書く作家ではないが、彼らしい「読む者を引っ張る巧さ」が出てきたのは本作辺りからではないかな?

No.5 6点 ジェシカが駆け抜けた七年間について- 歌野晶午 2008/12/27 22:38
いやー、確かにトリックについて評すれば「ンなもん知るか」の一言で終わりだよね。

マラソン観戦は割りと好きなので内情話(正直リアリティに疑問を感じるが)は興味深かったし、超絶な運動生理学に唖然とし、本作の仕掛けに驚けたことは間違いないので読み物としては「楽しめた」と言わざるを得ない。(もちろん作者のストーリーメイクの巧さがあるからこそ、ではある)

ただ、やはりこのようなネタは長編としてよりは短編集の中の一編としてサラっと読ませ「ほぅ、面白いことを思いついたね」とフレドリック・ブラウンのショートショートのような「ちょいピリ感」を味わわせる小作品として使われる方が似つかわしいかな・・・・・とは思う。

No.4 6点 家守- 歌野晶午 2008/06/17 21:08
作者が好きな、「家」をモチーフにした短編作品集。

・「人形師の家で」・・・ギリシャ神話の絡ませ方が巧い。
・「家守」・・・このトリックは成功せんだろう。 プロローグは・・なるほど。
・「埴生の宿」・・・人を小バカにしたような仕掛けが面白い。
・「鄙」・・・最近こういう雰囲気も割りと好きになってしまったが、あのトリックはチョットふざけてるよね。  隠蔽の動機も受け入れ難い。(が羨ましい)
・「転居先不明」・・・凝った構成なのにオチはありきたり。

全編に渡り、歌野氏らしさがそこそこ出ていてハズレではない短編集だと思う。

No.3 7点 安達ヶ原の鬼密室- 歌野晶午 2007/10/01 23:47
一見何の関係もないように見えて、実はある共通点を有する3つ(or4つ)の話が山本山のように並んでいる(実質上)中短編集。

この構成には賛否あると思うが、あるネタで(全く別設定の)3つくらいのストーリーを思いついてしまった際に「一本に絞って他を捨てるのはもったいないが、別々の作品にしたら明らかに二番、三番煎じ」というジレンマを止揚する作者の巧さがなせる業・・・というのは穿ち過ぎか。

表題作の事件編は何とも読みづらかったが、カラクリの大胆さは島荘作品を彷彿させるものがある。(構成によりインパクトは薄められてしまっているが)
またripperのキーワードにも立派に騙された。

ナノレンジャーはいかがなものかとも思うが、これはともすればミステリ作品がメイントリックだけでサマライズされたり、一言のネタバレで読む価値が消滅する(確かにそういう本も多いが)かのように扱われることに対する作者一流のアイロニーではないだろうか。

No.2 6点 ブードゥー・チャイルド- 歌野晶午 2007/09/21 22:30
全体的にはよくできている話だと思う。

が、紋章はちょっといただけない・・・・・ミエ過ぎ。
「あの日」も普通わかるでしょう。

「葉桜」ほどではないにせよ展開のしかたによっては(黒白反転するような)あっと驚くストーリーになり得ただろうが、あえて少しずつ真相が見えてくる流れにしたのは、作者がこの作品ではドンデンよりも「不可思議な話を合理的に解明する」ことにウェイトを置きたかったからなのだろう。

ただ、それにしても全編に渡り(もちろんジュリアンの話を最たるものとして)まわりくどい言い回しが多すぎる感は否めない。
(どうでもいいけどジュリアンの住居って、うちの・・)

No.1 6点 世界の終わり、あるいは始まり- 歌野晶午 2007/05/23 00:58
これは評価が分かれるでしょう・・・・
(と思ったら、このサイトではそれほどでもないか)

前半、主人公が苦悩しながらじわじわと、どうしようもなく追い込まれていく様は生々しく、息苦しささえ覚えるほどである。

そして・・・・・・・・・・・・・・・・チェンジ

「そりゃないよ」と普通はまず感じるだろう。
だがそこまでの、子供の犯罪とそれが露呈していく過程や
「家族に殺人犯が出るとどうなるのか」の展開が実にリアルに実感できるストーリーになっていて一息に読めてしまい、決して悪い印象ではなかった。

後半は、「別バージョンをいくつかどうぞ」といったところか。

「小説って結末がどうであろうと読んでいる間入れ込めたなら、それはそれでいいんじゃないかな」と感じさせられた一作。

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シーマスターさん
ひとこと
再開おめでとうございます。
たくさんの方がたくさんの書評を寄せられることを期待しています。
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クリスティ  チェスタトン  恩田陸
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平均点: 5.94点   採点数: 278件
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