皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
みりんさん |
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平均点: 6.66点 | 書評数: 389件 |
No.10 | 5点 | パニック・パーティ- アントニイ・バークリー | 2024/04/28 01:37 |
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シリーズ最終作!ロジャー・シェリンガム最後の事件!!感動のラスト!!!…とはならずにヌルッと終わってしまいました笑 ドライですねぇバークリーさん…
評点の低さに身構えてしまいましたが、サスペンス小説としてまあまあ面白いですよ。孤島に集められた15人のうち1人だけいなくなると、そこからはパニック小説が始まります。食糧の調達とか住処の確保とかサバイバル要素もあればもっと面白かったかもなあ… テーマはおそらく極限状態に垣間見える人間の本性という(よくある)ヤツなんだろうな ※自分にはそれくらいしか読み取れず(´-ω-`) 推理できる要素がほぼありませんでしたが、「主催者の目的」についてはわりと納得のいく良いサプライズでしたね。3人ほど血の通ったキャラがいてそこも良し。 シリーズを読み終えて、バークリーの印象は逆張りおもしろおじさんって感じだ。一気読みするには勿体無い作家だったな。王道探偵小説×10→バークリー×1 くらいの配分で読み進めるのが正解だった気がする。なんにせよ黄金期英米ミステリは未読作ばかりなのでこれからが楽しみです。 んーところで、1作目と2作目にだけ登場したワトソン役のアレックって何だったんだろうなアイツ。 |
No.9 | 9点 | ジャンピング・ジェニイ- アントニイ・バークリー | 2024/04/26 16:25 |
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久々の倒叙ミステリですねぇ
シェリンガムが殺人の証拠をなんとか揉み消そうとあれこれ奔走する作品。序盤は登場人物+扮装姿を覚えるのが辛く、30ページ進めるのに1時間かかりましたが、それを乗り越えると一気読みできるほど面白かったです。今作はシェリンガムが窮地に立たされる!?という展開もあり、検死審問では「こいつヘマすんなよぉ…」と願うほど、ハラハラさせられました。 全体を通してバークリー節が炸裂しており、オチだけでなく過程も全てアイロニカルです。これがロジャー・シェリンガムシリーズの最高作ではないかな? 次でラストか…『パニック・パーティ』の評点を心配しつつ(笑)、シリーズのラストをこの目で見届けることにします。 |
No.8 | 7点 | 地下室の殺人- アントニイ・バークリー | 2024/04/24 03:07 |
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モーズビー警部視点による警察捜査小説のような感じで新鮮でした。これまたなかなか楽しい(^^)
そしてついに、シェリンガムの小説家としての実力が第二部「ロジャー・シェリンガムの草稿」にて発揮されます。「シェリンガムさん、これで終わりですか。残念だな。ちょうどおもしろくなってきたところなのに」とモーズビー警部が嘆いてますが、大変共感です。私もローズランドハウス校ストーリーをもっと読みたかったですね。 【以下結末を仄めかすような記述あり】 警察捜査小説という新たな趣向意外で今作1番の見どころは、犯罪心理の追求>>>物的証拠の追求 というシリーズ共通(?)のテーマを長編第八作目にしてようやく達成できたところではないでしょうか。シェリンガムの心理探偵っぷりがやっと実を結んだのではないかと思います。今回は被害者がそこまで悪者とは思えず(描写不足か?)、結末にもやもやした感情が残ります。 解説は『最上階の殺人』に引き続き真田啓介氏。ちょうど同氏のバークリーについてのブログで↓の弾十六さんが紹介されたことでタイムリーな方!30ページほどあり、バークリーへの愛が溢れています。 バークリー作品では"ストレートが逆に変化球" 良解説でした。 |
No.7 | 7点 | 最上階の殺人- アントニイ・バークリー | 2024/04/22 03:23 |
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くぅ〜毎度毎度よくもまあ真面目な探偵小説読者をコケにするようなプロットが思いつくねぇ(褒めてます)。まさに笑劇の結末!!まあシリーズを通してワンパターンではあるんですが、演出の勝利です。今回もロジャー・シェリンガムがド派手にやってくれます。モーズビーとの勝負は今のところ大目に見て引き分けということで
今年の2月に刊行された創元推理文庫の方で読みましたが、『第二の銃声』と同様にフォントサイズが小さすぎて発狂しかけました(怒) 解説の「バークリーvsヴァン・ダイン」では2人の作家の両極性について述べられてて、非常に興味深かったです。この2人はバリバリ同年代の作家みたいです。ヴァン・ダインってE.Qに影響与えてるくらいだから、もっと古い作家(ポー・ドイルの次くらい)だと勘違いしてたよ…笑 |
No.6 | 7点 | 第二の銃声- アントニイ・バークリー | 2024/04/21 17:01 |
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う…すこし期待しすぎたか?
【色々ネタバレ注意】 草稿なんていくらでもひっくり返せるからなあ。 先にやったのは向こうみたいだが、フェアさや犯罪心理を掘り下げるエピローグなども含めてこちらの方が圧倒的に好みではある。その作品とはまた別の有名なアレとかアレとかが思い浮かんだが、この頃の英米ミステリでは夜神ライト的思考が流行していたんですかね? 大ネタに隠れて、名探偵へのアンチテーゼ部分もあり。また、今後の探偵小説では数学的進化が廃れ、心理学的な要素、すなわち人間性の謎について焦点が当たるという将来的展望もあり。このままバークリーを読み進めていくと、パズラーにハッキリと見切りをつける瞬間が訪れるのでしょうか。楽しみです。 ※まあ、少なくとも国内の本格は21世紀を迎えても未だ数学的進化を遂げているようで安心ですよ笑 |
No.5 | 7点 | 絹靴下殺人事件- アントニイ・バークリー | 2024/04/20 19:53 |
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ロジャー・シェリンガムという探偵の性格上、いまひとつ緊張感に欠けるこのシリーズですが、今作は比較的シリアスな雰囲気が漂っていました。アレックもアントニイも不在なのが一つの要因だと思います。しかしラストのユーモア溢れる仕返し!!待っていました(+1点) 前作『ロジャー・シェリンガムとヴェインの謎』を読んでからのほうが確実に楽しめるでしょう。
ロジャー・アレックコンビが恋しいなあ…戻ってきてくれい! ※ん、そういえば本作(シリーズ4作目)の次が『毒入りチョコレート事件』なのか。てっきり「犯罪研究会」とやらがシリーズを通じて徐々に結成されていくもんだと思ってたな・・・ちと残念。てかそれなら『毒チョコ』に出てくるあの6人目の探偵は一体誰?? フランス警察とイギリス警察の違いなどもなかなか興味深く… つーかシェリンガム完全レイシストだなこれ。ドイツになんの恨みが…あ、第一次世界大戦か |
No.4 | 7点 | ロジャー・シェリンガムとヴェインの謎- アントニイ・バークリー | 2024/04/19 09:56 |
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いやあ痛快、痛快!
現代ではありふれていますが、ロジャー・シェリンガムがたどり着いた○○○○トリックは、本作が探偵小説史上初の試みなのでしょうか?? そうだとすればバークリーの発明であり、もし私がコレを世界で初めて考案できたならば、膝をついて歓喜し、堂々と世に出すことでしょう。 【以下未読の方は読まないことを推奨】 しかし、バークリーは易々とソレに飛びつくほど、甘くはありません。発明とも言える○○○○トリックを惜しげもなく犠牲にして、メタ・ミステリに昇華させます。あぁ…なんてアイロニックな作家なのでしょう… ますます好きになってしまいます。しかし、『ロジャー・シェリンガムとヴェインの謎』などという微妙なタイトルよりも『○○○○』にした方が良かったのではないでしょうか。nukkamさんもおっしゃっているように名を残せたかもしれないのに… |
No.3 | 6点 | ウィッチフォード毒殺事件- アントニイ・バークリー | 2024/04/17 21:04 |
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突然ですが問題を出しましょう。
クリスティ(17) クロフツ(12) ヴァン・ダイン(4) クイーン(5) カー(0)とするとバークリー(?)←このカッコの中に入る数字は何でしょう。(国書刊行会『レイトン・コートの謎』の巻末解説より引用・改題) 「77」と正解できた方、バケモノです。尊敬します。()の中の数字は長編第一作が邦訳されるまでに要した年数とのことです(カーはや!)。 なんでこんな問題を出したかというと、このシリーズのレビュー数がこんなに少ないのが不思議だったからですが、ようやく分かりました。このシリーズを日本語で追えるようになったのはつい最近のことだったんですね。その幸せを噛みしめながら、これからも続きを拝読いたします。 ロジャー・シェリンガムは私にとって大変魅力的な探偵です。読者に隠し事をしないのもそうですが、ロジックや物的証拠より人間の心理を重視する探偵ってのも珍しいです。決め手は結局証言なんかいってツッコミは置いておきます。2転3転した先の真相は脱力系ではありましたが、言われてみるとたしかに盲点でした。あと、他の方も触れておられますが、本筋以外の最大の注目点はシェリンガムの尖りすぎた女性観でしょう。エクスキューズも用意して保険バッチリです笑 珍しく誤植っぽいを見つけたので指摘(初版なので、版によっては治ってるかも) 晶文社(ハードカバー) p293の最後の行 × アレンは暖炉のそばで〜 ○ アレックは暖炉のそばで〜 |
No.2 | 7点 | レイトン・コートの謎- アントニイ・バークリー | 2024/04/15 16:59 |
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こちらも面白かった。やや拍子抜けの密室をバチっと決めてくれていたら8点以上でした。
ロジャーとアレックの軽快な会話がずっと楽しいです。ホームズ、ポアロ、レーン(くらいしか知らない笑)の推理のもったいぶり具合にイラっとする私のような読者におすすめです(国内だとこういう系の探偵代表は御手洗か京極堂?) 最後に全て明かされた方がカタルシスは増大するので一長一短ではあります… 本作は最後の推理が最も衝撃的だったので、一長の方でしたね。 あと、単行本182ページあたりの『少なくともあの女は兄さんだって言ってたね』ってユーモア部分がよく分からなかった。 【ここからネタバレ】 誰も不幸にならないラストは素晴らしいですが、今後もこの2人のホームズワトソンコンビは継続してくれるのでしょうか。それを祈るばかりです。 |
No.1 | 8点 | 毒入りチョコレート事件- アントニイ・バークリー | 2024/04/10 02:33 |
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300ページまるまる解決編!! "推理"小説としてあまりの無駄のなさに感動を覚えるレベルでした笑
推理合戦+アンチミステリって感じで、『虚無への供物』とは皮肉る部分は異なっているけれども、通ずるところがありますね。 めっちゃ楽しめたけど、あえて不満点【以下ネタバレを含みます】 あらかじめ推理に使われる材料が揃ってから、6通りの解決を示されれば「おぉ…すげぇ…」ってなるのですが、隠された情報を後出しされて推論を立てられると、「ほーん、なるほど」程度になっちゃいます(これなんで?) うーんでも作者がアンチミステリの部分を主張したいからこそ、あえて情報を後出しにしたと思われるので、これに関しては不満を言ってもしゃーないか… ちなみに私はシェリンガムの推理が1番好き!! 特にユースタス卿に届いたチョコレートは○○○○○で、後に犯人が○○○○○という工夫の部分は、非常に感心しました。 ※あとこれ多重解決の元祖なんですね。はじめて刀城言耶シリーズを読んだ時は「この探偵すげぇ…斬新すぎんだろ…」となったけども、アントニイ・バークリーの功績だったのか。じゃあ10点満点付けないとダメな気がしてきたな。 好きになる作家が三津田信三、白井智之、方丈貴恵となぜか多重解決作家ばかりなので、元祖を読めて良かった。とりあえず、ロジャー・シェリンガムシリーズは追いかけます。 |