皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
◇・・さん |
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平均点: 6.02点 | 書評数: 185件 |
No.7 | 7点 | 靴に棲む老婆- エラリイ・クイーン | 2023/11/12 21:26 |
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ポッツの靴はアメリカの靴という宣伝で、巨万の富を築いた老婆には六人の子供があった。その子供たちのうち、三人は精神異常者で三人は正常。ところが、まともな方の三人の子供が次々と殺されるという事件が持ち上がり、エラリーは捜査に乗り出す。
全編、マザーグースの不気味な童話とともに事件が進行し、正気と狂気とが交錯した謎が深まってゆく。奇想天外な「靴」の宮殿にマザーグースと、お伽話のような道具立てが、ファンタスティックな雰囲気を醸し出している異色作。 |
No.6 | 8点 | 災厄の町- エラリイ・クイーン | 2023/11/12 21:21 |
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ニューイングランドの典型的な田舎町であるライツヴィルで彼を待っていたものは、ある悲劇的な事件だった。町の創立者ジェズリール・ライトの血を引くライト家の次女ノーラが、何者かによって砒素を盛られたのだ。しかも、その容疑者として彼女の夫が注目を浴びることになり、ライツヴィルの町は騒然となる。
クイーンの作風転換のきっかけとなった中期の代表作。謎解きよりも、架空都市ライツヴィルの風俗や、そこに住む人々の生活に筆を費やし、家庭悲劇を鮮やかに浮かび上がらせている。 |
No.5 | 6点 | 間違いの悲劇- エラリイ・クイーン | 2022/09/23 18:28 |
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短い中にも二転三転、プロットは目まぐるしくどんでん返しをし、万華鏡さながらの様相を呈する。
物語の主題は現代的だが、普遍的な人間性に裏打ちされている。神聖さと俗っぽそが混じった独特の手触りがある。 |
No.4 | 7点 | 中途の家- エラリイ・クイーン | 2020/08/01 16:38 |
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探偵エラリイの推理によって正体を暴露された犯人が男性なのか女性なのか判明する瞬間をギリギリまで引き延ばしてみせる。日本語と比較して男言葉と女言葉に差がない英語の特性を利用したギミックだけに、その部分を邦訳で読むといかにも不自然だが、むしろその不自然さこそが図らずも、クイーンの執念が尋常の域ではないことを逆照射する。事件の真相を限りなく読者の目から遠ざけようとする執念には恐れ入る。 |
No.3 | 10点 | Xの悲劇- エラリイ・クイーン | 2020/06/06 20:16 |
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第一の犯行現場も、続いて起こる惨劇の舞台もすべて公共交通機関という乗り物尽くしで、いったんは不特定多数の人間が容疑者となる。そこからたった一人の人物を突き止めるというスタイルをクイーンは完成させた。
またダイイング・メッセージはクイーンの十八番である。判じ物みたいなものだから、ロジカルに解読できるものではないし、間違っても犯人指摘の決め手にしてはならない。よってスマートで節度ある使い方が求められるのだが、本作においては上々の出来上がりだろう。 またこの作品で展開されるレーンの推理は、溜息が出るほどで、「こうだったとも考えられるではないか」という反論の余地がなく真相の意外性も十分。 |
No.2 | 8点 | エジプト十字架の秘密- エラリイ・クイーン | 2020/04/05 17:48 |
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「首の無い死体」が出てくれば、被害者と犯人が入れ替わっていると、疑ってみるのがミステリの鉄則だが、その「死体」が四つもあるとなると...。
最後の最後の第四の殺人にいたり、たった一つの証拠物件をもとに、エラリイが明晰な論理で解決する。この真相には唖然とするだろう。本格ミステリの真髄がここにある。 |
No.1 | 7点 | Yの悲劇- エラリイ・クイーン | 2020/02/29 10:55 |
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ドルリー・レーンという探偵の造形が古臭い。一番特徴的なのは、ラスト少し前に変装して、犯人をおびき出す場面。
確かに、純粋な謎解き脳内ゲームとしては良く出来ているし、面白い。ただクイーンの代表作と言われていることには違和感がある。 この作品は、中学生くらいの時に読むべき作品だと考えれば、最高の作品。その年代なら文句なく、語りで読者をミスリードしていくスタイルの面白さに驚くと思う。 |