皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
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zusoさん |
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| 平均点: 6.15点 | 書評数: 300件 |
| No.220 | 10点 | 時計館の殺人- 綾辻行人 | 2024/09/26 21:37 |
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| 106個の時計のコレクションに彩られた館内で、交霊会を開くために滞在中の人々が仮面の人物に襲われる。
シリーズ第5作目であり、質量ともに前期の集大成と言える完成度を誇る。なんといっても、本格ミステリ史上に残る一大トリックが炸裂するラストは圧巻。 |
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| No.219 | 7点 | インシテミル- 米澤穂信 | 2024/09/15 22:17 |
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| ある施設の中に閉じ込められた人々が推理によって脱出する物語。
論理的な説得や物証を突き付けても理解しない人が重要な鍵を握っており、ミステリにおける「論理」や「証拠」の無力さそのものというテーマにまで踏み込んだところに、この作品の良さがある。 |
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| No.218 | 7点 | 八つ墓村- 横溝正史 | 2024/09/15 22:14 |
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| 寺田辰弥は、田治見家の跡取りとして村に呼ばれる。すると彼のもとに不気味な手紙が届き、迎えに来た母方の祖父が毒殺される。美貌の未亡人・美也子に連れられ、八つ墓村を訪れた辰弥の近辺で惨劇が起こる。
歴史と絡めた時代背景や、鍾乳洞といった舞台の特殊性と猟奇連続殺人事件の組み合わせが醸し出す雰囲気が抜群。 |
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| No.217 | 6点 | ハートフル・ラブ- 乾くるみ | 2024/09/01 22:48 |
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| 恋愛にまつわる事件を扱った短編が7編収められている。
主人公への思い込みの隙を突く仕掛けが多く、物語の性格がガラリと変わる瞬間に、愛欲のままならさがまろび出る。 白眉は「数学科の女」。大学の講座で班分けされた五人組のうち、紅一点は美女だった。牽制し合う理系男子たち。予想以上のシニカルな展開が用意されており、作者らしさを感じる。 |
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| No.216 | 6点 | 名探偵のままでいて- 小西マサテル | 2024/09/01 22:40 |
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| 孫娘の楓が次々と持ち込む謎を、レビー小体型認知症を患う祖父が華麗に解決する。
楓の出生も絡み、謎解きだけでは終わらない驚きの展開になる。二人の絆に涙が浮かぶことも。古典ミステリへのオマージュも散りばめられ、古典マニアにはたまらない描写もある。 |
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| No.215 | 8点 | 造花の蜜- 連城三紀彦 | 2024/08/19 22:22 |
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| 誘拐される男児とその母親がスーパーで買い物をしている出だしからして尋常ならざる緊張感を漂わせている。
やがて不可解な誘拐劇、スクランブル交差点を舞台にした異様な身代金渡しにつながり、息もつかせぬサスペンスのみならず、どんでん返しに畳みかける騙りのサプライズに驚かされた。 |
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| No.214 | 5点 | 看守の信念- 城山真一 | 2024/08/19 22:11 |
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| 5編からなる連作短編集で、最後に大きなどんでん返しが炸裂する。
警務官と囚人の息詰まる葛藤劇が並ぶが、その一方で心温まる着地があり、感涙にむせぶ人生讃歌もある。 |
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| No.213 | 5点 | 裂けた明日- 佐々木譲 | 2024/08/05 23:00 |
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| 十数年後と思しき近未来、朝鮮統一、南海大地震、とある戦争などを経て、日本は内戦状態に陥っている。旧政府の後継を称する盛岡政府の支配地域に住む主人公は、治安を乱したとして追われる母娘を逃すため、平和維持軍が駐屯する東京へと向かうが。
このサスペンスフルな逃避行に寄り添いながら、作中の日本がたどった道のりが徐々に明らかになってゆく。現代日本への問題意識が色濃く表れている。 |
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| No.212 | 5点 | 終末少女 AXIA girls- 古野まほろ | 2024/08/05 22:55 |
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| 世界が無数の巨大な「口」に食い荒らされ、虚無に侵食される中、何とか難を逃れた彼らが漂着した島。裸もしくは制服姿の少女が、一人また一人と漂着するその島で、新たな事件が勃発。少女に化けたバケモノが侵入したらしいのだ。
バケモノを特定すべく、嘘をつけないという特性の彼らは必死に知恵を絞る。その論理構成は、まさに本格ミステリである。読者への挑戦状もついている。 |
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| No.211 | 6点 | 浮遊封館- 門前典之 | 2024/07/25 22:15 |
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| 飛行機事故の現場から百三十体もの遺体が消失するという魅力的なプロローグに始まり、雪密室の真ん中で口中に剣を刺されて死んだ男、新興宗教の私設内で繰り返される人間消失といった謎が満載。そして結末に至ってそれからの謎が一点に収斂され、最後に浮かび上がる「異形の論理」には正に戦慄を禁じ得なかった。 | |||
| No.210 | 6点 | 終着駅殺人事件- 西村京太郎 | 2024/07/25 22:11 |
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| 招待状によって集められたメンバーが絢に殺されるという、クリスティーの「そして誰もいなくなった」を想起させる連続殺人。それぞれにアリバイ、密室、偽装などのトリックが仕掛けられる。
青森から都会に出てきた若者たちの孤独が、そのまま物語の持つ寂寥感につながっている。最後に判明する事件の引き金となったある事実は、戦慄するしかない。 |
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| No.209 | 5点 | 贄の夜会- 香納諒一 | 2024/07/13 22:24 |
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| 謎のサイコキラー、プロの殺し屋、そして捜査一課の刑事。様々な過去を持ち、心に闇を抱えた三者の物語が別々に進み、最後にまとまっていく。それでいて最大の謎である猟奇殺人の黒幕については結末近くまで隠し通しており、ミステリとしての魅力が高い。
展開が広がるため、冒頭こそ多数散漫な印象を受けるが、ボリュームの割に登場人物が厳選され、じっくり書き込まれた造形に深みがある。特に中盤以降の大河内刑事と目取真渉の内心の葛藤や人生への覚悟などは強く印象に残る。 |
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| No.208 | 6点 | キャプテンサンダーボルト- 阿部和重 伊坂幸太郎 | 2024/07/13 22:18 |
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| 伊坂幸太郎特有の荒唐無稽なテイストは主要キャラには顕著だが、彼らが動き回る社会の状況や世情は、いつもよりシリアスに描かれている。阿部和重の持ち味が反映されていると思われる。
二人が執筆を開始したのは、東日本大震災の後らしいが、コロナ禍や露ウ戦争を観た二人が、時を遡って書いたのではないかと思えるぐらいリアルな世界観に興奮。 |
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| No.207 | 5点 | そこに無い家に呼ばれる- 三津田信三 | 2024/06/30 22:20 |
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| 作者と同名の小説家の三津田信三が語り手となる実話風怪談シリーズ。
旧家の蔵から見つかった新社会人の報告、自分宛の私信、精神科医の記録の三つのテキストには、ある共通した怪異体験が書かれていた。 実話風の語り口を巧みに使い、読み手と物語との距離感を誘導していく手法は見事。 |
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| No.206 | 7点 | 録音された誘拐- 阿津川辰海 | 2024/06/30 22:15 |
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| 探偵事務所の所長・大野が誘拐された。助手の美緒は、自慢の耳の良さで犯人との通話から相手の様子を探ろうとする。誘拐された大野も、わずかな機会を活かして情報を伝えようとするが。
現在進行形の誘拐と並行して、大野の一家が巻き込まれた15年前の事件が掘り起こされる。分断された二人の探偵がどのように連携して犯人との駆け引きを繰り広げ、真相に辿り着くのかの緻密な展開の頭脳戦を堪能できる。 |
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| No.205 | 9点 | 向日葵の咲かない夏- 道尾秀介 | 2024/06/18 22:16 |
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| 子供特有の残酷さ、悲しみを詩情性豊かに描き出し、結末では主人公の少年が背負う物語の重さに抑えがたい哀切の念を湧き起こさせる。
オカルティックな設定を本格ミステリの骨法と融合してみせた傑作。 |
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| No.204 | 9点 | 十戒- 夕木春央 | 2024/06/18 22:12 |
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| 殺人犯を見つけてはならない。それが犯人から課された戒律。破られた場合、離島内の起爆装置が作動、全員の命が失われる。
戒律が課せられることにより、これまで無かったようなクローズドサークル化させている。 ラストの衝撃度は前作の「方舟」に譲るが、舞台設定はこちらの方が好み。また「方舟」との繋がりも隠されていて、作者のサービス精神も感じた。 |
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| No.203 | 10点 | 名探偵のいけにえ 人民教会殺人事件- 白井智之 | 2024/06/04 22:03 |
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| 消息を絶った助手を探すため、ある教団に潜入した私立探偵。だが次々と奇怪な殺人事件が。
カルトへの深い洞察と実際の事件の衝撃を上回る独創的な展開に魅力を感じた。登場人物の世界観に応じて反転する多重解決というアクロバティックな構造、最後の最後に明かされるタイトルの意味など、隅々まで考え抜かれた多重解決もののひとつの到達点と言っても過言ではないでしょう。 |
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| No.202 | 7点 | #真相をお話しします- 結城真一郎 | 2024/06/04 21:59 |
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| 第74回日本推理作家協会賞を受賞した「#拡散希望」を筆頭に、現代日本の闇を反映させた短編集。
捻りをきかせた構成、張り巡らされた巧みな罠と最後まで目が離せない。どんでん返しを堪能できる作品集で満足。 |
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| No.201 | 9点 | 地雷グリコ- 青崎有吾 | 2024/05/22 21:24 |
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| 都立頬白高校に通う女子高生の射守矢真兎が活躍する5編からなる連作短編集。
誰もが知っているゲームのルールにひと手間加えることで、複雑かつ先が読めない対戦を演出している。その上で心理戦を仕掛ける駆け引きの描写が読ませる。 ゲームの行方もさることながら、青春学園ドラマとしても読み応えがあるし、読後感も爽やか。 年末の各種ランキングで上位になることが確実と思えた一冊。 |
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