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zusoさん
平均点: 6.11点 書評数: 316件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.316 6点 慟哭- 貫井徳郎 2026/06/26 21:35
幼女連続殺人を追う捜査陣の苦闘を、犯人らしき男の行状と交互に描いていくサイコスリラー風味の警察捜査活動小説。
物語性と各エピソードのキャラクター造形が見事にシンクロしており、新興宗教という素材の活かし方に筆力を感じる。惜しむらくは、真相に今ひとつ説得力がないところ。

No.315 6点 罪深き緑の夏- 服部まゆみ 2026/06/26 21:30
蔦屋敷と呼ばれる森の古びた洋館を舞台に繰り広げられる白昼夢のような犯罪、それを彩る美しい兄と妹、ジル・ド・レ、近親相姦、同性愛とこれまた絢爛豪華な道具立てではあるが、その根底にあるのは天才の兄と凡人の弟との確執である。
ある一点をきっかけに、それまで見えていたものとは全く別の絵が浮かび上がってくるところが素晴らしい。

No.314 4点 凍える島- 近藤史恵 2026/06/11 22:00
喫茶店を営む娘とその常連客一同が慰安旅行に瀬戸内海の孤島に行き、そこで連続殺人事件が起きる。
トリックはともかく、このオチからすると各キャラクターの造形と、それに基づく心理ドラマの演出が物足りなさを感じる。

No.313 4点 二の悲劇- 法月綸太郎 2026/06/11 21:57
高校時代の同級生が再会し、恋が芽生えるところから始まるが、東京で彼女と同居していたOLが惨殺され、彼女も失踪してしまう。
物語では技巧と力業を駆使した「二」の仕掛けには感嘆したが、殺人の動機やその心の動きが今一つ納得できるものではなかった。

No.312 5点 校庭の迷える大人たち- 大石大 2026/05/28 21:29
学校は、子供だけではなく教職員や保護者など大人も人間として成長していく場所である。
本書は教員、校長、事務職員、保護者、PTA委員と、それぞれの立場で学校に関わる五人の大人たちが、学校内で起こる奇妙な現象に巻き込まれる短編集。ストーリーの行方を追いつつ、彼ら大人たちが成長していく姿を味わえる子供の知らない学校の奇談。

No.311 5点 聖乳歯の迷宮- 本岡類 2026/05/28 21:23
古代史・考古学サークル「昔ものがたり探究会」に属していた人々の視点から描かれる群像劇で、現生人類と異なるDNAを有する聖乳歯の正体や、青ヶ島で事故死した友人の死の真相に迫るサスペンス。
聖乳歯の発見により宗教が台頭した作中世界は、我々の社会を極めて近い位相に置かれ、不気味なリアリティーを投げかけている。

No.310 6点 カディスの赤い星- 逢坂剛 2026/05/15 20:55
幻のギターを巡り、生き馬の目を抜く広告とPR業界の確執を描くハードボイルドタッチの前半と、独裁政権が支配するスペインでの官憲やテロリストとの凌ぎ合いを描く冒険小説風味の後半と両方の要素を融合させた作品。
プロットよし、キャラクターよし、会話よしとデビュー作とは思えない出来栄え。

No.309 7点 帆船軍艦の殺人- 岡本好貴 2026/05/15 20:51
英国海軍は帆船軍艦ハルバート号の水夫不足を補うため、強制徴募隊を陸に派遣。靴職人のネビルは、同僚のジョージと共に連行されてしまう。
すると新月の晩、甲板で水平の一人が何者かに殺害されてしまう。さらに不可解な事件が。
ディテールに優れ、海洋冒険小説として読み応えがある。そこに本格ミステリも奇を衒ったものではなく、作り込まれた正統的な内容で好感を覚えた。

No.308 5点 透明カメレオン- 道尾秀介 2026/05/03 20:58
冒頭から中盤までは、愉快な雰囲気で展開していくが、ある事件が起こり物語は加速する。
そして最後の数十ページで見える世界がガラリと変わる、泣ける作品。

No.307 7点 ずっとあなたが好きでした- 歌野晶午 2026/05/03 20:56
様々な恋愛模様にトリックが仕掛けられた連作集。
連城三紀彦を想起させる雰囲気もあり、ラストで明かされる真相も素晴らしい。ストリーテラーとしての実力と、トリックのセンスが集約された一冊。

No.306 6点 誰彼- 法月綸太郎 2026/04/19 21:18
新興宗教の教祖の死を巡って、首のない死体というテーマに挑んだ作品。
さまざまな意匠を組み入れながら、同テーマの極みといえる双生児の入れ替えを巡ったパラノイアックな推理で読者を混乱の渦中に陥れるパズラーとして優れている。

No.305 5点 失踪者- 折原一 2026/04/19 21:14
少年Aと呼ばれる少年犯罪たちの行く末を見つめた、少年法にも問題を投げかけているサイコサスペンス。
本作でのどんでん返しは、単なる読者への挑戦ではなく、作者の少年犯罪に対する見解を示す役割を担っているように思える。

No.304 4点 ハーモニー- 伊藤計劃 2026/04/04 21:18
生命主義が行き着いた末の未来社会を描いている。
人々は健康管理に熱心であり、体内にWatch Meと呼ばれる医療機器を埋め込んで、ネットワークで管理されている。この作品では、人間の脳や意識も管理する段階に進むべきか否かを巡る動乱を描いている。
しかし難しすぎてついていけない部分が多い。

No.303 5点 帝都探偵大戦- 芦辺拓 2026/04/04 21:15
幕末、戦前、終戦直後の三つの時代を舞台にして、そこに日本のミステリに登場した数々の名探偵たちが協力して事件に挑む。
さすがに総勢50人という大量の名探偵たちが行き交うだけに物語の展開は複雑だが、それでもきれいに謎を解いて着地してみせる。なお巻末には名探偵名鑑がついていて一種のブックガイドにもなっている。

No.302 4点 思い通りにエンドマーク- 斎藤肇 2026/03/20 21:44
洞窟の中に半分めり込んで建てられた奇館を舞台に起きる連続殺人事件を描いた本格謎解きもの。
設定やトリックは凝っていると思うが、事件そのものに膨らみがなかったのは致命的。キャラクターも魅力に乏しい。

No.301 6点 薔薇の女- 笠井潔 2026/03/20 21:41
パリで連続猟奇殺人事件が発生する。犯人のアンドロギュヌスは、各死体の一部を持ち去るという異常ぶり。
犯人を巡ってたたかわされる犯罪心理学や普遍経済学のペダンチックな講義も楽しいが、本格パズラーとしてのトリックもしっかり用意されている。

No.300 5点 ブラックバード- 安東能明 2026/03/05 21:17
朝鮮戦争を背景に、国籍マークのない軽爆撃機で秘密任務に従事する元日本軍飛行士の物語。
不利な戦局を迎え共産国家を滅ぼすため原爆使用容認に傾くマッカーサー。爆心地の長崎で地獄を見た主人公が取る行動が胸を打つ。起こり得たかもしれない現実を描いた歴史サスペンス。

No.299 7点 不夜城- 馳星周 2026/03/05 21:11
主人公の劉健一は、歌舞伎町の中国マフィア社会に生きる、日台混血の故買屋。思いがけないトラブルから上海のマフィアと北京のマフィア、そして夏美と名乗る正体不明の女の狭間を彷徨うことになる。
全編を通して危険な空気、裏切りに次ぐ裏切り、幾重にも絡み合う駆け引きの緊迫感、火を噴くような銃撃戦と楽しめる要素が多いノワール小説。

No.298 5点 女優- 春口裕子 2026/02/13 21:19
人もうらやむキャリアを持つ平川佳乃は、突然の人事異動で運命が大きく狂い始める。
完璧を期する女性の心に生まれる隙間、嫉妬や虚栄が生み出す人間模様。女心の嫌らしさ全開で、女同士の見栄の張り合いが事件へと繋がっていく。見えない悪意によって追い詰められていく破滅の物語。

No.297 5点 骨灰- 冲方丁 2026/02/13 21:12
渋谷の再開発を背景に、東京という都市の「地下水脈」を描き出す。駅再開発事業を手掛ける大手デベロッパーの危機管理チームに属する松永は、不穏な噂に対処するため潜った地下の現場で不気味な祭祀場に鎖でつながれた男を発見する。
伝奇的なテーマを、ミニマムな実話系怪談的心理描写によって鬱々と描き出す奇妙な作品。

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