皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
mediocrityさん |
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平均点: 6.23点 | 書評数: 286件 |
No.21 | 7点 | 館島- 東川篤哉 | 2020/07/24 21:35 |
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創元社だしタイトルも地味だし、普段と全く違うテイストの作品なんだろうと予想して読み始めましたが、1文目からいつもと同じノリでした。
ただ中身はかなり普段と違っていて新鮮でした。 <ネタバレあり> まず建物自体の仕掛け。どこかが動くのだろうとは思っていましたが、なるほどそう来ましたか、予想外でした。これは高得点。瀬戸大橋との関連性も良かったですね。 マイナス点は建物の動きと人間の動きのシンクロがあまりにも都合が良すぎることですかね。あれだけ動いてれば1度や2度「階段から廊下に出ようと思ったら自動ドアの前に壁が!」とう状況が発生するでしょう。 |
No.20 | 5点 | 魔法使いと刑事たちの夏- 東川篤哉 | 2020/06/06 06:53 |
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シリーズ2作目。今回も倒叙短編集。
前作はよほどつまらなかったみたいで3点なんて付けてしまっていますが(正直全く内容を覚えていない)今作は普通に楽しめました。 とはいえ、各作品にコメントを付けるほどのトリックも驚きもなかったので5点で。 |
No.19 | 3点 | 魔法使いは完全犯罪の夢を見るか?- 東川篤哉 | 2020/03/05 05:02 |
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設定の特殊さゆえに楽しめはしたが、ミステリとしては4作ともつまらなかった。
『魔法使いと逆さまの部屋』 このトリックは100人中99人が見破ると思う。 『魔法使いと失くしたボタン』 これは逆に、読者が推理するには情報不足でしょう。 『魔法使いと二つの署名』 1時間ドラマでよくあるパターンの中でも最もつまらないと思うやつ。 『魔法使いと代打男のアリバイ』 このネタは1時間ドラマというより2時間ドラマぽい。十津川警部辺りがアリバイ崩しの過程で指摘しそうだ。 |
No.18 | 7点 | 探偵さえいなければ- 東川篤哉 | 2020/01/17 05:39 |
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①『倉持和哉の二つのアリバイ』
倒叙物。ギャグ全開だがストーリーに大きく関わってくるのは良い。 ②『ゆるキャラはなぜ殺される』 ゆるキャラが全員語尾にキャラ名を付けてしゃべるのは、ちょっとくどいのではあるマイカ。 ③『博士とロボットの不在証明』 倒叙物。最後は笑った。 ④『とある密室の始まりと終わり』 絵を想像するとなんだか色々とすごい。かなりグロい。 ⑤『被害者によく似た男』 倒叙物。うまくいったと思ったら意外な結末だった。 この本に関しては、トリックを考えていた時間よりギャグを考えていた時間の方が絶対に長いと思う。にもかかわらず全体的に安定している。傑作はないが全て6~7点という感じ。 |
No.17 | 5点 | 謎解きはディナーのあとで 3- 東川篤哉 | 2019/12/14 17:29 |
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①犯人に毒を与えないでください
猫とペットボトルの共通点ですか、なるほど。これがベストだと思います。 ②この川で溺れないでください 犯人は、警察がその日の内に家に来ることを想定してあの行動を取ったことになる。そこまでやるだろうか? ③怪盗からの挑戦状でございます ドタバタしているだけで、それほどでもなかった。 ④殺人には自転車をご利用ください あのアリバイ工作は、事件に関わりがあるということを自白しているようなものだと思うんだけど。 ⑤彼女は何を奪われたのでございますか このネタ2巻にもあったような。 ⑥さよならはディナーのあとで 最後の事件にしてはずいぶん地味です。 <おまけ>探偵たちの饗宴 一発ギャグとしてはなかなか。 確かにネタ切れぽいけど、人気シリーズをあっさり終わらせるのはすごいですね。 |
No.16 | 5点 | 謎解きはディナーのあとで 2- 東川篤哉 | 2019/11/15 05:44 |
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大ヒット作の第2弾。短編6つ+ショートショ-ト。
①『アリバイをご所望でございますか』 相変わらずギャグを交えながらのストーリー進行だが、それらが事件と全く無関係というわけでないのが良い。内容もなかなか練られていると思った。 ②『殺しの際は帽子をお忘れ無く』 一番最後の推理が気に入らない。自分が犯人なら、あんな妙なことをすせず、アレがなくても意地でも帰る。 ③『殺意のパーティにようこそ』 宝石トリビア以上のものを感じられない。 ④『聖なる夜に密室はいかが』 よくある雪上の足跡ネタ。特に目新しいものはない。 ⑤『髪は殺人犯の命でございます』 パッと見不要そうな行動や描写が、実は推理に関わってくるのが良い。 ⑥『完全な密室などございません』 まあ楽しめたが、犯人当てはちょっと無理だ。読み終わってから話の最初に戻ると、なるほど警部が仰天したのもよくわかる。 ⑦『忠犬バトラーの推理』 東川先生は動物ミステリを書こうと思えば書けそうだと感じた。 全体としては1作目を上回ってるとは思えないから、1作目の採点が5点以下の方はスルーでよさそう。 |
No.15 | 7点 | はやく名探偵になりたい- 東川篤哉 | 2019/08/16 06:13 |
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烏賊川市シリーズの短編集第1弾。鵜飼と流平がメインで、砂川警部と大家の女性(名前忘れた)は登場しない。
①『藤枝邸の完全なる密室』 謎解きと言えるようなレベルの作品ではないがオチはいい。 ②『時速四十キロの密室』 長編で使ったら袋叩きにされそうなトリック。 ③『七つのビールケースの問題』 ドタバタしすぎだが、アイデア自体は面白い。 ④『雀の森の異常探偵な夜』 流平の探偵にあるまじき注意力の無さはちょっと無理があるが、それを除けばすばらしい出来だ。これはトリックよりロジックの作品。 ⑤『宝石泥棒と母の悲しみ』 愛らしくて楽しい作品です。 ①が食前酒、②が前菜(珍味)、③が創作料理、④がメインデッシュ、⑤がデザートみたいな感じで全て雰囲気が違う、コース料理みたいな短編集だと感じました。本全体としては好みです。 |
No.14 | 5点 | 私の嫌いな探偵- 東川篤哉 | 2019/08/08 06:59 |
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烏賊川市シリーズの短編集第2弾。作者は『謎解きはディナーのあと』ヒット以降は短編ばかり書いているようだが、このシリーズも短編化してしまっていたのか。前作は現時点で未読。
①『死に至る全力疾走の謎』 謎も解決もいかにもこのシリーズらしくて良い。ユーモアが上滑りしていない。ただ、準備段階の所で具体的にどうやったのかが今一つわかりにくい。文字で説明しにくいから省略したでしょ、東川先生。 ②『探偵が撮ってしまった画』 これはいまいち。作中で使い古されたトリックみたいなことを言ってるが、まさにその通り。犯人を数人の中から絞る所が見どころか。 ③『烏賊神家の一族の殺人』 イカのユルキャラ登場。内容も相当に緩いか。トリックはなんとなくわかるがそれをできた理由がわからなかった。読み進めると・・・そんなのわかるか!となること必定。 ④『死者は溜め息を漏らさない』 鵜飼が珍しく文句なしの名探偵である。男子中学生がいい味を出している。 ⑤『二○四号室は燃えているか?』 これも古典的なトリックぽいですがどうなんでしょうか。 ドラマ化されてたんですねこれ。全然知らなかった。原作を読む限り朱美はヤリ手の美女で、鵜飼と流平はパッとしないイメージを持ってたんだけど、ドラマは剛力彩芽、玉木宏、白石隼也か。うーん。いやなんでもないです。 |
No.13 | 6点 | ここに死体を捨てないでください!- 東川篤哉 | 2019/08/03 15:03 |
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ギャグはいつも通りですが、ちょっとドタバタが度を超えていると感じました。『 完全犯罪に猫は何匹必要か?』などはストーリーのコミカルさとレギュラーメンツのドタバタ劇が融合して、全体としてきれいにまとまっていたと思います。好き嫌いはともかくとして、この人にしか書けないタイプの作品とでも言いましょうか。
しかしながら本作の事件は、冗談など全く言わなそうな堅物な作家が書いてもおかしくないような代物。それゆえこの作家のユーモアな部分が上滑りしているように思えました。 色々とシリーズを作っては終了させている東川先生ですが、1つくらいはユーモアを排除したシリーズがあってもいい気がします。 <以下ネタバレあり> さてストーリーですが、こういうトリックは初めて読むので新鮮でした。最初はこんなにうまくいくものなのかと感じたけど、むしろ確実性が高いのかもしれません。水の勢いは思っているよりはるかに恐ろしいですから。私も川で溺れかけたことがあるからよくわかります。ほんの少し川の内側に寄ったら突然流れが速くなって一気に数十メートル流されました。通常時でもそうですからこの作品のようなことをしたらひとたまりもないでしょう。 ただし、徒歩数分圏内で音が聞こえなかったのか、鉄砲水の跡がもっとわかりやすい形で残らないのか、という疑問は残ります。 もう1つ、車の移動の部分は都合が良すぎます。これは話を面白くしようとしたための弊害でしょう。ドタバタ抜きで普通に書けば、あの部分はもっと現実的な形にするはずです。 |
No.12 | 8点 | 中途半端な密室- 東川篤哉 | 2019/07/24 06:00 |
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東川氏のデビュー前からデビュー間もない時期にかけて書かれた短編5つ。
『謎解きはディナーのあとで』とそれ以後の短編集より、出来も面白さも上だと思った。 一番好きなのは、いかにもこの作家らしい作品の2作目『南の島の殺人』でしょうか。他の作品も建物消失トリックなど、なかなか魅せます。『有馬記念の冒険』だけはそれほどでもないか。 2作目以降の大学生コンビ、いやトリオはかなりいいキャラだと思う。この短編集以外に出ていないのならちょっともったいない。 |
No.11 | 6点 | 交換殺人には向かない夜- 東川篤哉 | 2019/07/16 06:07 |
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烏賊川市シリーズ第4弾。過去3作を読んでいた方が楽しめるだろう。
確かに設定とか章立ては凝っているし、細かい所のつじつま合わせまでよくできていると思う。ただ、こういう作品は他にいくらでもありそうで(実際あるでしょう、多分)、わざわざ東川さんが書かなくてもいいのではと思ってしまった。 前作のネコの話なんて今思い出しても情景が目に浮かぶくらい楽しかったのに、この作品はユーモア含めてあまり楽しくなかった。 |
No.10 | 5点 | 純喫茶「一服堂」の四季- 東川篤哉 | 2019/06/19 22:17 |
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安楽椅子探偵が活躍する短編4話。なんと東川氏お得意の野球ネタが皆無である。この人は短編で売れっ子になったとのことだが、長編の方がかなり出来が良いと思う。5点にしたけど4.5点四捨五入の5点。
第一話 文字で書くのは簡単だけど、実際にあの場所であんなにうまくやるのは難しいトリックではないかと感じた。村崎が寝たからよかったものの相当な物音が出そうだし。 第二話 トリックらしいトリックは1つだけだけど、この作者らしくて満足。 第三話 話を面白くするために死亡推定時刻に言及しなかったのはかなり問題かと思う。トリックもミエミエだし。 第四話 本全体の仕掛け、というかオチは面白い。しかしながらこのトリックは勘弁してください。考えた人はいるだろうけど、普通は書かないよなあ。 |
No.9 | 7点 | 完全犯罪に猫は何匹必要か?- 東川篤哉 | 2019/05/13 01:41 |
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烏賊川市シリーズ3作目。相変わらずユーモアを交えて話が進行するが、謎解きは安定している。ただし450ページはちょっと長いか。トリックより動機の方が驚いた。 |
No.8 | 7点 | 密室に向かって撃て!- 東川篤哉 | 2019/04/21 23:51 |
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密室というよりも、誰がいつどこでどう銃を撃ったのかの謎解きがメイン。地味だが実に論理的だ。科学捜査を初期段階でもう少しきっちりやればいいのにという批判はしたくない。
海岸に落ちていたアレはもう少しばれないように処分すべきとは思ったが、あくまで読者へのヒントであって、存在しなくても謎は解けるのでそれほど問題ではないか。 ストーリーとかはデビュー作の方が好みだったが、出来は2作目のこちらの方がいいと思う。 |
No.7 | 6点 | もう誘拐なんてしない- 東川篤哉 | 2019/04/06 00:10 |
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狂言誘拐と2つの殺人事件をうまく絡ませたストーリーです。あ、1つ目の殺人事件放りっぱなしじゃないか・・・
トリックは意外にもアリバイ物。どうでもよさそうな記述がヒントだったり、細かい所まで結構こだわっています。 問題点は終盤あそこまでドタバタさせる必要があったのかということ、犯人と動機が分かりやすすぎること、そして1つ目の殺人事件を放置したこと。 |
No.6 | 4点 | 探偵部への挑戦状 放課後はミステリーとともに2- 東川篤哉 | 2019/04/05 01:50 |
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鯉ヶ窪学園シリーズ第4弾。読むなら、前作を読んでからの方が良い。
ただし前作よりかなり落ちるから、正直このシリーズのファン以外にはお薦めしない。個人的には5点(まぁ楽しめた)だが一般的には3点くらいの出来。間取って4点にします。霧ヶ峰涼シリーズのベストは前作の2作目『霧ヶ峰涼の逆襲』で間違いない。 ①『霧ヶ峰涼と渡り廊下の怪人』 体育祭前というのを利用したネタ。ばからしいが絵を想像すると笑う。 ②『霧ヶ峰涼と瓢箪池の怪事件』 三馬鹿の2人が登場、霧ヶ峰と初顔合わせ。アレが棍棒に見えるか疑問。 ③『霧ヶ峰涼への挑戦』 三馬鹿の残り1人が登場。若干アンフェアだが面白い。 ④『霧ヶ峰涼と十二月のUFO』 前作のUFO騒動と比べるとかなり落ちる。 ⑤『霧ヶ峰涼と映画部の密室』 ネタ切れか・・・ ⑥『霧ヶ峰涼への二度目の挑戦』 赤坂君のキャラがいい。ストーリーはドタバタ。 ⑦『霧ヶ峰涼とお礼参りの謎』 3年生卒業。トリックは・・・もうどうでもいいや。 短編はネタ切れぽいけど、4作で終わらせるのは惜しいシリーズ。 時間さかのぼって三馬鹿で長編を書いてほしい。 |
No.5 | 6点 | 謎解きはディナーのあとで- 東川篤哉 | 2019/04/03 02:58 |
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東川氏の本は過去に4冊読んでいるが、この本が今までで一番癖がなかった。野球ネタもそれほどマニアックじゃないし、特定の人にしかわからないギャグも少ない。
①『殺人現場では靴をお脱ぎください』 これが一番良かった。このトリックは盲点だった。 ②『殺しのワインはいかがでしょう』 ワイン好きならすぐわかるトリック。逆に飲まない人は聞いてもわかりにくいかも。 ③『綺麗な薔薇には殺意がございます』 猫が重要な役目なのはおもしろい。 ④『花嫁は密室の中でございます』 これが次点。活字ならわかるかもしれないが、聞いただけで謎を解明した影山はすごい。 ⑤『二股にはお気をつけください』 野球ネタが笑えたくらいでいまひとつ。 ⑥『死者からの伝言をどうぞ』 これもそれほどではないか。 |
No.4 | 6点 | 密室の鍵貸します- 東川篤哉 | 2019/03/30 18:13 |
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デビュー作ということで、ギャグは控えめ、お得意の野球ギャグはなし。軽い雰囲気にもかかわらず、ちゃんと本格しているのは後年の作品同様でした。飛び降り現場で茂呂が志木を見て驚いた理由はなるほどと思わされました。殺人の動機にはたまげたなあ、と反応するのが正しいのでしょう。 |
No.3 | 6点 | 放課後はミステリーとともに- 東川篤哉 | 2019/03/27 18:52 |
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鯉ヶ窪学園探偵部副部長、霧ヶ峰涼が主人公の短編集。なぜか長編の馬鹿トリオは出演しない。初めの2編の出来がいい。途中から野球ネタが減るが、それに比例して作品自体の出来も下降。魔法を封じられた魔法使いのようだ。東川氏はとことん野球が好きなのであろう。
①霧ヶ峰涼の屈辱 日本人の10%にしか分からないような野球ネタを連発する。長編より更にネタがマニアック化してる気がする。 ただし、わからなくても読める。名作だと思う。 ②霧ヶ峰涼の逆襲 短編の割に話が二転三転して面白い。これがベストか。 |
No.2 | 9点 | 殺意は必ず三度ある- 東川篤哉 | 2019/03/25 00:03 |
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探偵部の「馬鹿トリオ」(作者の命名)が主人公のシリーズ第2弾。前回はやたらと野球ネタが随所に挿入される密室物でしたが、今回は野球そのものがミステリになってしまいました。
相変わらず、いや前作以上の緩さとギャグ満載で進みますが、第5章に入ると突然本格推理の世界に早変わり。油断していた所に突然大きなトリックがガツンと来たのでそれは驚きました。 後から考えると、球場の外野が芝生でないとか、必要最小限の設備しかないとかの細かい描写も伏線として機能しており、細部の配慮も抜群です。2つ目、3つ目の事件があまり面白くないという欠点はありますが、全体としてみれば非常によくできた作品だと思いました。 ただし野球のルールが一通りわかるくらいの予備知識は必要ですので、野球に全く興味のない人にはお薦めできません。というか、ギャグも野球がらみネタが多いので、とことん楽しめるのは野球好きだけのような気がします。 東川さんは他のシリーズが大売れしてしまったらしく、このシリーズの長編はこれを最後に出ていないとのことで残念。このトリオ大好きなので採点は甘いです。 |