皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
レッドキングさん |
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平均点: 5.27点 | 書評数: 888件 |
No.88 | 4点 | 幻夜- 東野圭吾 | 2018/08/26 16:53 |
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「白夜行」や「火車」のネタバレ解説のような作品。「白夜行」はハウ・ホワイダニットを「チラ見せ」しつつ進行する「半ミステリ半サスペンス」で、その片鱗しか姿を見せない深水に潜む怪魚のような不気味なヒロインが魅力だったが、こう露骨に楽屋裏描写されるとミステリでなくなる。実に読みやすく大変に面白い小説だが、ミステリとしての評価部分は少なく、オマケしてもこの点数かなあ。残念だが「ミステリサイト」なんで。
※追記。再読してこれが「続白夜行」であることを95%確信。ただヒロインが「新しい身分」を乗っ取る経緯は分かったが、いかに「古い身分」を廃棄したかは不明。これは難しいなあ、整形で顔変えて済む話ではないし。これを描くのは「第三部」の課題だな。そこでヒロインのその後と並行して過去の謎も描ききったら素晴らしい傑作になるかも「白夜行 三部作」。 |
No.87 | 6点 | 九月が永遠に続けば- 沼田まほかる | 2018/08/19 11:17 |
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「彼女がその名を知らない鳥たち」よりは リアリティから離れているが 「ユリゴゴロ」ほどミステリとして造りこまれてない その分中途半端に 味が薄まってしまったかな |
No.86 | 8点 | 彼女がその名を知らない鳥たち- 沼田まほかる | 2018/08/19 11:10 |
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現実と幻想の耐えがたい分離。幻想を維持するために現実を殺す女と、女の幻想を守るために信じがたいまでの献身を尽くす男。けれども現実から引き離された幻想は、土から引き抜かれた植物の様に儚く、新たな汚れた現実に呼び寄せられてしまう。ミステリの面白さと小説的リアリティ。相反する二つの要素の見事な融和。
※この作家への個人的思い入れから点数にはオマケ加算。 |
No.85 | 1点 | 六枚のとんかつ- 蘇部健一 | 2018/08/13 12:29 |
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やっと読めた 名作の誉れ高いこの作品ずっと読みたかったんだ |
No.84 | 7点 | 黒と愛- 飛鳥部勝則 | 2018/08/12 15:39 |
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SFホラー(「孤島の鬼」オマージュの様な化物改造フリークネタ)と本格ミステリと学園ダークラノベのごった煮。で、本格ミステリとしては、新旧二つの密室殺人トリックと犯人叙述トリックを含み、評価はこの部分。新事件の方の密室トリックはベタベタの機械トリックでいただけないが、旧事件の密室錯視トリックは素晴らしい。
※作者はこの作品を最後に 以降まとまった長編を出していない。筆を折ってしまったのかな、今何してるんだろ。 その全作品を二読三読している作家は、この人と麻耶雄嵩くらいだ。傑作「殉教カテリナ車輪」以来どの作品にも魅力と同時に嫌悪を感じてきた。実は小説としてはあまり好きでない。が、ミステリ、特にトリックに対する真摯で愚直な研究と描写(模倣とも言えるが・)にはとても魅かれる。 |
No.83 | 6点 | 堕天使拷問刑- 飛鳥部勝則 | 2018/08/07 14:30 |
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閉ざされた山村なのにデパートも喫茶店もある町。血塗られた蛮習とネット、悪魔と和風憑物、携帯と怪物蛇・カニ女が同居する世界。ホラーと学園ラノベとミステリの混在。その内、ミステリとしての評価・・二つの不可能犯罪と三つのアリバイトリック・・としては5点だが、胸キュンの終章に1点のおまけ。 |
No.82 | 2点 | 鏡陥穽- 飛鳥部勝則 | 2018/07/31 16:01 |
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お話としては面白くないことはない。グロいシュールレアリスムというかホラーSF劇画というか・・ただ、ここにミステリ要素を無理に見つけても せいぜい・・・ |
No.81 | 8点 | 誰のための綾織- 飛鳥部勝則 | 2018/07/26 22:01 |
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作中作「蛭女」と、それを囲むプロローグエピローグからなり、作中作の要点は 機械トリックをダミーにした和風「密室」心理トリックで、ここで終わっていたらせいぜい5~6点止まり。面白いのはプロローグエピローグで、工夫された叙述トリックと驚愕の最後の一行に2点も加点しちゃう。
※以上 二段階に語るべき観点のある作品だが、本当はもう一つある。これは作者にとって十作目になる作品で、あとがきで 誇らしげな自讃めいた事まで書いているのに、その後 「剽窃問題」から絶版となってしまった。記念碑が汚点となってしまい作者は無念だったことだろう。弁護して言えば、ミステリとしての要点は 作中作での剽窃云々とは関係なく光っている。 |
No.80 | 7点 | レオナルドの沈黙- 飛鳥部勝則 | 2018/07/25 12:02 |
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テレパシー連続殺人の本格トリックもの。島荘大技とまでは行かなくても中技トリック炸裂しロジック伏線もしっかりしている。仲間由紀恵「トリック」思い出す。 |
No.79 | 3点 | ラミア虐殺- 飛鳥部勝則 | 2018/07/21 18:09 |
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それまでの「絵画ネタ」を離れ ハードボイルド探偵の雪山屋敷ものかと思わせといて SFホラーに転調し 最後はビーストバトル少年マンガで終わる 一応フーダニットネタもある |
No.78 | 3点 | バラバの方を- 飛鳥部勝則 | 2018/07/19 07:12 |
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残酷な聖画に見立てた大量死体の展示。「蛇女の娘」など癖のある登場人物達。豪華で面白いがミステリとしての仕掛けはいまいち。 |
No.77 | 7点 | ヴェロニカの鍵- 飛鳥部勝則 | 2018/07/16 17:30 |
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密室だ、やっぱり本格ものには密室が出てこないと。その上、「終わりゆく青春」の文学がハードボイルドちっくに展開し苦く決まり、個人的にハマった。 |
No.76 | 3点 | 冬のスフィンクス- 飛鳥部勝則 | 2018/07/14 14:58 |
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夢の中でおこる「連続殺人」。現実と夢が錯綜して、「ミステリについて」の幻想小説が展開し「ドグラ・マグラ」して終わる。それはそれで面白いが、その中で純粋なミステリの部分を抽出して評価するとこの点数。 |
No.75 | 7点 | 砂漠の薔薇- 飛鳥部勝則 | 2018/07/12 14:42 |
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生首切断のフー・ホワイダニットを主題に、暗黒女高生ラノベのような展開が続いて、少しうんざりした頃に、終盤での怒涛の三段落ち ・・作中では「第八の解決」となるが・・面白い。
※2024/2/21 追記。このネタ「窮極の切断Why」かと。 |
No.74 | 6点 | バベル消滅- 飛鳥部勝則 | 2018/07/09 20:26 |
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謎解きで、作者に言われて読み返してみれば、確かにそのこと書いてはある、てレベルの叙述トリックと犯人指摘ロジック。良く練られたミステリだとは思う。が、読者の目を欺く表現手段だけとは言えない、作者の個性由来としか思えないニヒルなナルシズムがちとうざい。 |
No.73 | 9点 | 殉教カテリナ車輪- 飛鳥部勝則 | 2018/07/06 20:47 |
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「二ヶ所同時密室殺人」トリックの隠れた金字塔。手記叙述というところがまたうまい。
カーの「三つの棺」と並べてツートップで満点過大評価したいところだが、この作家、あまり好きになれないので、この点数。 (2021年追記) 物語の叙述者Aが「 」(=叙述)の中で矛盾・虚偽を記せば、ミステリとしてアウトだが、「 」の主体を巧妙にすり替えるのはトリック・・ヴァン・ダインには悪いが。 |
No.72 | 7点 | 炎に絵を- 陳舜臣 | 2018/07/05 17:45 |
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歴史ミステリを主筋に、企業ミステリとラブロマンスを副筋に、サクサク話が進むのに目を眩まされて、後半一転「本格」して、最後に「え!真犯人それぇ?」と驚ろかされた。だって陳舜臣って、「中国の歴史」始め歴史小説の人だと思ってたもん。まさか「本格」するなんて思わなかった、油断した。 |
No.71 | 6点 | 消失!- 中西智明 | 2018/06/27 07:28 |
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不思議な作品だった 自分にも分かるくらいに稚拙な表現の叙述トリックで もっと洗練された表現力のある小説家が描いていればすごいアイデアの傑作だったかもしれない でも この作者については これ一作で「消失」して別に惜しくない |
No.70 | 6点 | グリーン家殺人事件- S・S・ヴァン・ダイン | 2018/06/26 20:36 |
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この「グリーン家殺人事件」と「アクロイド殺し」「Yの悲劇」「陰獣・孤島の鬼」「ドグラ・マグラ」「虚無への供物」・・・これらは中学生の頃から今に至るまで何回かの引っ越しを経た後でも廃棄することなく古本状態で本箱に残されいる。(ま 「ドグラ・マグラ」なんて実際に読んだのは二十歳すぎてからだけど米倉斉加年のあの表紙画本が本箱にあるだけで何か貴重な物持ってる気がしてた) いまさらこの「グリーン」を評価する人なんていないだろうけれども やっぱり自分にとっては思い出の一冊で「本格物とはかくあるべし真犯人はこうあるべし」の基本書のような一冊 だから2点ほどオマケつき |
No.69 | 3点 | 砂の器- 松本清張 | 2018/06/22 18:01 |
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むかーし読んだが、あまり面白くなかった。
(2021/4/12 追記)清張が変に現代音楽の理論に詳しいのにチト驚いた記憶がある。「芥川賞作家」てことは知ってたが、共産党びいきの「通俗作家」のイメージがあったので意外だった・・まあ、編集者出版社からの受売り知識だったのかもしれんが・・。 |