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レッドキングさん
平均点: 5.28点 書評数: 934件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.174 5点 有限と微小のパン- 森博嗣 2019/03/03 00:22
標準的な密室トリックで1ポイント、バーチャルトリックで1ポイント、あと あの「女ルパン」てか「女モリアーティ」の人物トリックで1ポイント。以上3ポイント×2点が評価点だが、長くて物語性の燃費が悪いのでマイナス1ポイント。
※ヤク中ホームズ以降、名探偵ってのは奇人変人あるいは異形と相場が決まってて、なかにはもっと「普通の人」いてもいいじゃんとも思ってたが、こういう探偵てのも実につまらん。

No.173 6点 妖奇切断譜- 貫井徳郎 2019/03/02 21:05
明治初期を舞台にした連続バラバラ殺人事件。全ての屍体の一部、それもそれぞれ別の一部が持ち去られていたとくれば、どうしたって「あの名作」連想する。しかもホワイダニットも結果「アレ」だし。「アレ」ほどトリッキーじゃないが、そのかわり「妖異金瓶梅:赤い靴」「魍魎の匣」の味付けもあって、「グロ」越えて「ヘド」に至るほどのスパイス効いてて好きな人にはたまらんだろう。

No.172 8点 後悔と真実の色- 貫井徳郎 2019/02/27 20:49
存在するだけで嫉妬や悪意を買う男、自分自身の憎悪や嫉妬に苦しむ男、自分の痛みには過敏だが加害者であることには無自覚な男達、失ってみて初めて思い知る価値ある事柄・・・ 
警官ヒーローものかと思いきや、主役のどん底転落とわずかな再生兆しの物語。「指切断猟奇連続殺人」テーマにも関わらず、江戸川乱歩賞でも鮎川哲也賞でもなく、また直木賞でもなく山本周五郎賞にこそふさわしい作品。なんというか「読んでよかったな」としみじみ思える話で、それがフー・ホワイダニットミステリと自然に同居してるってのが凄い。・・・ただ、タイトルがダサい。

No.171 5点 ブルー・ベル- アンドリュー・ヴァクス 2019/02/23 17:10
ローレンス・ブロックの痛いアル中探偵よりは、グッと楽しい生活を持った主人公にホッとする。彼の仲間達と巨大雌犬ペットがまた実によい。これシリーズ物のアニメかドラマにできるんじゃないか。
ところでこの作家、妙に「小児性愛」への憎悪にこだわっているね。なんかあったのかな。

No.170 5点 八百万の死にざま- ローレンス・ブロック 2019/02/23 16:51
レイモンド・チャンドラーが、クリスティやクィーンのミステリを「リアリティがない」とか否定して「ハードボイルド」ジャンルを作ったみたいな話を聞いた。チャンドラーが本当にそんなことを書いたか言ったのかは知らない。ありがちな「伝聞神話」かもしれん。ただ言えることは、この作品のアル中探偵には、マーロウなんかより遥かに「リアリティ」を感じるし、何より魅力的だ。
「それから、最高に下らないことが起きた」・・・最高だ。

No.169 7点 夢果つる街- トレヴェニアン 2019/02/23 16:25
「カラマーゾフの兄弟」やフォークナーを、純然たるミステリの尺度で測ったところで・・4~5点位なものだろう・・測ったところで意味がないように、これもミステリとしてのみ評価するのはもったいない。が、連続殺人フーダニットの骨格もユニークな解決ロジックも備えている立派なミステリでもあり、このサイトではミステリとして評価したい。ただ、この主人公は、マーロウ、アーチャー等とは一線を画した、見事な「文学上」のキャラである故、どうしても点数にオマケが付いてしまうのはやむを得ない。

No.168 1点 殺人鬼2- 綾辻行人 2019/02/22 16:18
ここまで行くと、むしろ、すがすがしい。大いに評価したい。

No.167 7点 さよなら神様- 麻耶雄嵩 2019/02/17 15:55
鈴木太郎が本当の神様であるならば、彼の託宣する真理が「事実的に不可能」(AはBであり得ない)であっても、その不可能性を突き崩すためには「ロジック」(AはBであり得る)を紡ぎあげるだけでよい。
が、鈴木太郎がただの少年だった場合、せっかくのロジックも「真理の必要条件」(AはBであり得る)を満たすだけで、「十分条件」(A以外はBであり得ない)は満足させられない。
ミステリとして完結させるには、名探偵=神への信仰か、作者=神視点の「確固たる事実」の提示が必要となるが、ここでは曖昧さを残したまま余韻をもって終わらせている。予想もしなかった叙述トリックと自殺トリック、それから仰天「因果転倒」ネタにプラス1点のオマケ付けちゃう。
※にしてもさあ、麻耶にこんなこと言うの野暮だけど、あんな「ロジカルな」小学生達、いるわけないじゃん。

No.166 4点 ロートレック荘事件- 筒井康隆 2019/02/14 22:59
ついロートレックの絵画自体を考察してしまった。あの描写って何だったんだ?ミスリードだったのか?それともヴァンスや黒死館の衒学趣味をちょびっと真似たものだったのか?
真相解明部での「作者注」みたいな伏線自慢がウザい。ああいうのは読者に「ああ、ここで既に伏線が張られてたんだ。すごいなあ」って見つけてもらって感心してもらうべきもんで、その方が奥ゆかしくないか?

No.165 5点 リア王密室に死す- 梶龍雄 2019/02/14 22:16
西村京太郎や笹沢佐保の類の「旧世代」感覚の作家だろうが、変に「胸キュン」郷愁感を醸し出してくれる人だな「海を見ないで陸を見よう」といいこれといい。「正統派」密室トリックもどんでん返しオチもよいな。

No.164 6点 清里高原殺人別荘- 梶龍雄 2019/02/14 22:09
設定どんでん返しトリックは素晴らしい。不可能刺殺トリックがチトちゃちだが、こういう類のラストは大好きだ。 主人公、あの女と逃げ切ってほしい。

No.163 6点 龍神池の小さな死体- 梶龍雄 2019/02/14 22:06
人物どんでん返しトリックは素晴らしい。「龍神池」なんてケレンミたっぷりなよだれ垂れそうな題名ついてんのに、アリバイ時間トリックってのがちと物足りない。

No.162 8点 貴婦人として死す- カーター・ディクスン 2019/02/13 18:55
心中自殺しかありえない状況にして殺人。足跡の偽造が不可能という設定下での足跡トリック。360度+αに「開かれた空間」にして他殺不可能な「密室」。
4人の・・いや、アクロイドネタ含めて5人の容疑者が浮かんだが、あの犯人だけには思い至らなかった。やられた。

No.161 5点 羊たちの沈黙- トマス・ハリス 2019/02/12 18:29
二人のモンスター「ドクターレクター」と「バッファロービル」が実によい。テーマは「皮」。「皮」を利用した「密室」消失トリックが、もっときっちり作り込まれていて、「皮」を主題にした連続殺人犯特定のロジックがキチンと展開されていたら、本格物としても傑作になっていたろう。惜しい。

No.160 6点 丸太町ルヴォワール- 円居挽 2019/02/10 17:11
実在する街を舞台に、虚構されたミステリ空間で展開するロジックのお話。ヒロインのコテコテの関西弁がたまらない。(あんな言葉話す女、現実にはいないんだろなあ、て思ってたが実際に存在していた。)

No.159 7点 ダレカガナカニイル・・・- 井上夢人 2019/02/10 16:58
結末の哀切感に不覚にも感動してしまった。あの「意識」、自分の頭に住み着いてくんないかなあ。

No.158 3点 殺人鬼- 綾辻行人 2019/02/10 16:48
この小説で、人物叙述トリックの部分を、驚け楽しめという方が無理だ。

No.157 4点 クラインの壷- 岡嶋二人 2019/02/09 21:30
将来、精密なバーチャル感覚装置が作られて、それでもなお、こんなこと言える自信はないけれど、「夢から覚めた夢」を見ることはあっても、「今この瞬間は夢ではなく、間違いのない現実だ」と明確に自覚する夢なぞ見たことない。

No.156 6点 そして扉が閉ざされた- 岡嶋二人 2019/02/09 21:23
実に「あるある感」感じる真相だ。その時には全く自覚がなく、忘却されていた事柄で、思い返した時に「今だから解る」事柄として明確になる出来事って・・・。

No.155 5点 症例A- 多島斗志之 2019/02/09 21:07
20世紀前半に、ミステリが隆盛したのとフロイトが流行したのは軌を一にしているという説を聴いたことがある。
現代の心理学界でフロイト流精神分析が「異端」ということは知っている。ましてや精神医学においてはなおの事だろう。そりゃあ鬱病を患って精神科行った際に、幼少期トラウマの物語作らされても意味ないし、抗鬱剤飲んだ方が手っ取り早いし。ミステリにおいても、二重人格多重人格ネタは双子ネタレベルに幼稚感がするが、ミステリの「真相解明」と無自覚だった自己の「心の解明」って、いまもなお魅力的なテーマなんだな、困ったことに。

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レッドキングさん
ひとこと
ミステリは戦前の乱歩の様に 子供が親に隠れてコッソリ読むような、恥ずかしい存在でありたい。 ミステリ書きという驚異的な作業に神経を減らし 結果報われることの無いミステリ作家たちに心から崇敬を捧げます。 ...
好きな作家
ジョン・ディクスン・カー  PD・ジェイムズ  トマスH・クック  沼田まほかる
採点傾向
平均点: 5.28点   採点数: 934件
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