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レッドキングさん
平均点: 5.32点 書評数: 1096件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.1076 6点 象牙色の嘲笑- ロス・マクドナルド 2026/06/19 22:39
リュウ・アーチャーシリーズ第四弾。暗黒街ボスの初老兄妹、自己憐憫マゾヒズムの医師、資産家御曹司のボンボン詩人、絵に描いたような"ザ・ハードボイルドヒロイン"の二人の女・・過去ある悪女と純心一途な娘・・、登場キャラ達が解りやすく魅力的。行方探し仕事と3件(+2)の殺人事件顛末の纏まりもシンプルで、死体隠蔽トリックのチョイ本格風オマケつき。

※ハヤカワ文庫の訳文についてイチャモン。「どこで手に入れたの?」「どんな車だったの?」・・ハードボイルド探偵と警部の会話にこれはないだろぅ。あと、男達を手玉に取る妖女に、「言えないわ」「いやだわ」ってなセリフもなぁ。(「人の死に行く道」の中田耕治訳は良かった)
※(2026/7/18 追記) 2016年に新訳出たらしい。

No.1075 7点 ゼウスの檻- 上田早夕里 2026/06/17 22:44
デビュー作「火星ダーク・バラード」に続く(続編ではなく)宇宙SF第二弾。前作の"火星ハードボイルドSF"から一転して、木星近辺の宇宙ステーションを舞台に、両性具有(男女性器が左右横並び(';'))のミュータントと既人類との諸軋轢葛藤が主題の"生物SF"・・と言うより、"セクシャリティ人類学SF"かつ"ジェンダー社会学SF"。生物的、生理的、精神的、性志向的、社会的なセクシャリティ複雑錯綜問題が、"哲学的"にSFバトル展開して、実に面白く。

※つい先日、飛鳥部勝則の新作読んで、「占星術」「白夜行」に絡めて、"女流作家には描けないテーマ"云々書いたが、この作品で"軽く"突破されてた(フメイヲハジマス)

No.1074 4点 セプテンバー・ラプソディ- サラ・パレツキー 2026/06/16 22:02
ヴィクシリーズ第十六弾。旧友から依頼の行方不明探し仕事が、ナチスねたと、核・コンピュータ開発秘史に絡む事件に膨らみ、ユダヤ・墺独・米の血族数代にわたる奇譚ミステリと纏めたハードボイルド大作へ展開する。"大作"ではあるが、"纏まり具合"と"ミステリ密度"は・・うーん・・「凍てつく太陽」の方がずっと・・

No.1073 4点 アリアドネの声- 井上真偽 2026/06/13 22:46
大地震に襲われた地下五階層の巨大建築街。取り残された三重(眼耳声)障害の要人女の救出に向かうドローン。操縦するドローン会社員の青年が主役のサスペンス。時間と距離と諸障害(物理的および心理的)の緊迫劇で、結末見事でナカナカに感動的。
"無理だと思ったらそこが限界" 繰り返し出てくるキメ台詞だが、昔、生命保険のCMで、櫻井翔(だか)と細野晴臣(だったか)の、「作曲には限界があると思いますか?」「あると感じたら、それがその人の限界なんでしょうね」てのがあった。

No.1072 6点 アンジェリック- ギヨーム・ミュッソ 2026/06/06 22:19
三部構成のサスペンスミステリ。マンション6階から転落死したバレエダンサー。殺人を疑うチェロ弾きの17才少女。少女から捜査依頼された移植心臓の元刑事。第二部で犯人倒叙のノワールとなり、第三部でミステリ叙述に戻って、このまま解決・・と思いきや、斜め上に2階分ほど駆け上がり、フレンチミステリ技巧的ツイストに"パトリシア・ハイスミス"する。(「リプリー」と違って"勧善懲悪"かつHappyエンドだけどね)

No.1071 8点 封鎖館の魔- 飛鳥部勝則 2026/06/05 06:23
昨年、十数年ぶりに新作長編で復活し、それがまた、随分と張り切って盛った"大作"で、逆に心配したが、間を置かずに発表された今作は、おお、"本来"の飛鳥部勝則・・暗い美術ネタ、歪んだ情緒、露悪的なキャラ、ぐろコミカルな人間関係、見事な本格トリック技巧・・相変わらずの作者であった。
どんな偽悪的な"イヤミス系"でも女流作家ならば書かない(たぶん)様な・・島荘「占星術」サブねたの性別錯視トリックもそうだが・・そんなネタが、Whyダニット中央に居座っていて、エゲツないナぁ思ったが、考えてみたら、東野「白夜行」の主役男女を貫く重要な主題でもあった。

No.1070 5点 ムシカ 鎮虫譜- 井上真偽 2026/06/03 22:32
孤島・因習物ミステリと、生物* SFホラーの混合が、音楽ネタ(なんと)に主導される冒険サスペンス。音大生男女5名(+2名)・巫女集団・半「匿流」窃盗団・・三つ巴の勢力が、偶然4グループにシャッフルされて、ゲームの様な軽快冒険バトルが、多視点描写で楽しめる。宗教ミステリ解明、青春物解決、音楽ネタ決着もナカナカ。
*虫 (昆虫類に限らんのよ 蛇も蛸も"虫"なのよ)襲来パニック、鳥よりコえー

No.1069 6点 ベーシックインカム- 井上真偽 2026/06/01 22:40
AIロボット・遺伝子改良社会・VR進化形・電信人口アイ・・破天荒な異世界ではない、達成想像可能な近未来SFネタの短編集・・思ったら、最終編で全編を連作集に纏めてドンデン~どんでんエンド。全盲の娘とその父親の話が白眉、「過ぎ行く風はみどり色」「暗いところで待ち合わせ」に並ぶほど。

※翌日追記。えっ! 女性の可能性もあんの? この作家・・(まさか(*_*;)

No.1068 6点 火星ダーク・バラード- 上田早夕里 2026/05/30 10:30
上田早夕里デビュー作(処女作でなく)らしい。部分的テラフォーミングが施された未来*火星。陰謀に巻き込まれ冤罪から逃避行しながら真相究明に走る刑事と、生命工学により誕生したミュータント少女。スペース活劇ファンタジーにして、超能力サイコSFのハードボイルド。ハリウッドアクション映画かディズニーアニメの出来の良い作品なみに面白い。
* "古典的なR&Bから最新のテクノ&パンク "って、時代設定センス疑いたくなる迂闊な描写には苦笑するが、タイトル"ダークバラード"の音楽ジャンル設定は見事。

No.1067 4点 裁きのJ- スー・グラフトン 2026/05/25 12:28
キンジーシリーズ"J"の巻。5年前に死亡と判断され、遺族に保険金が支払われた、投資"ネズミ講"詐欺犯の男。偽装死亡が疑われる男の生存目撃情報の調査を依頼されたキンジー。男と妻と二人の息子、愛人と元共謀者、曰くある元警官に絡む真相究明劇。静かに流れる丁寧なミステリだが、ハードボイルド・サスペンス見せ場としては、明らかな"違法"侵入捜査がバレそうになり、あわてて売春婦に化ける、むしろ、笑える場面位で、ちと、オトナしすぎかなと。

※ " 形式はしばしば内容を伴う。好きな人だから親切にするのではなく、己が親切を施す相手だから好きになる ”(敬意を覚えるから礼を尽くすのではなく、礼を振る舞うから敬意が生じる・・) 素晴らしい!

No.1066 7点 探偵が早すぎる - 井上真偽 2026/05/22 22:23
かたや、遺産5兆(!) を相続する女子高生と謎の保護役メイドと探偵。こなた、女子高生の命を狙う、伯父伯母や叔父叔母および従兄姉達とその手先・・今話題"トクリュウ実行役"の如き・・手先たち。話は殺人企図 vs 犯行事前防止の丁丁発止バトルで進行する、半ミステリ半倒叙サスペンス。ミステリねたはごく小粒(この作者の"密室"っていつもプチずっこけネ^^;)で、ひたすら質より量だが、敵キャラ達、特に長伯父と長伯母の悪役絵づらが素晴らしい。
※青崎有吾といい、この作者といい、本領のロジックねた以上に、ラノベ言うより漫画キャラ展開がオモシロく ^_^

No.1065 6点 絞首人の手伝い- ヘイク・タルボット 2026/05/19 20:25
短時間で屍体が腐敗した呪い殺人と怪奇風な密室事件、二つの不可能トリックがメインのオカルトミステリ。”粉砕された閂”を、”腐敗した屍体”に絡めて不可能蘊蓄に持って行き、WhoHow解明に至る展開がナカナカ。「魔の淵」より好きかな。

No.1064 5点 薫香のカナピウム- 上田早夕里 2026/05/17 21:50
異世界レベルの未来の森が舞台。"古典"「地球の長い午後」直系の生態系SF。地理設定は奇しく(?)も漫画「クレイモア」「進撃の巨人」と同じ。(「別冊月刊少年マガジン」や「アフタヌーン」での漫画化で映えそう)

No.1063 8点 凍てつく太陽- 葉真中顕 2026/05/14 19:00
これまた当サイトで知った作家。主役は大和アイヌ混血の特高刑事。アイヌ村では"シャモ(大和人蔑称)"として、日本社会では"土人(当然に蔑称)"として、両側から差別疎外された男。軍部機密に関わる驚きの陰謀事件に巻き込まれ、冤罪投獄から脱獄サスペンスが展開し、連続殺人事件の真相が、亡国のカタストロフと共に明かされて行く。

”陛下の赤子" "皇国民"として強制的に我が国に同化させされながら、決して"日本人"として受け入れられなかったアイヌ人朝鮮人台湾人etc。つい最近まで、在日の隣国民族を、"ニセ日本人"として、焙り出し晒し嫌悪し拒否し続けながら、当該民族の異国スター・アイドル達を、掌返した様にもてはやし始めた、悍ましき我が民族の厚顔メンタリティ。
"それでもこの国を愛していた" ・・主人公の哀切な呟きの1/3さえにも共感できない、わが怠惰に捻くれた魂の情けなさよ。

No.1062 7点 三体Ⅱ 黒暗森林- 劉慈欣 2026/05/10 19:40
”中国のダン・シモンズ” 劉慈欣の「三体」シリーズそのニ。高次元微粒子:智子 (トモコちゃうよ、ソフォンよ)を“眼”に、4光年の彼方から地球に迫りくる三体文明。三体艦隊の速度は1/100光速で、太陽系への到着は4世紀先の未来。人類の未来を賭けた対抗策は、四人のスーパー・エキスパート"面壁者"の脳内頼り、数世紀見越しのトンデモ作戦であった。絢爛にして壮大(オオブロシキ ^_^; )なSF大作。
※おっそろしく単純な事を明確にしてくれた。「理論上での未来タイムワープ」:己れだけ世界の100倍の速度で"動く"場合、時間進行は1/100となり、己れの1日後には世界は100日先の未来・・だが、なにも世界のX倍で"動か"なくとも、己の速度をゼロにしてしまえば、時間進行もゼロとなり、己れの一瞬のうちに世界は100年先ではないか!そうだよ、単に冷凍睡眠しちまえばいいいんだ!(ありゃ、0で割るなんて有り得ないんか?じゃ、"無限0近似値"ってあたりで(^^;))

No.1061 6点 人の死に行く道- ロス・マクドナルド 2026/05/07 21:51
リュウ・アーチャーシリーズ第三弾。ハードボイルド定石の、行方不明捜し → 殺人事件遭遇 → バトル(大抵は拳銃) → Who・Why・What解明、であったが、初めて、ロス・マクドナルドが"面白い"と思えた。訳者:中田耕治の文体センスの賜物なんだろうが、米国砂漠地帯のドライにして夢幻的な詩情や、西海岸のリリカルな哀愁が、シャープにショットされ、そっち(ブンガク)に心奪われ、ついつい、ミステリ考察おろそかに油断して、ラストどんでん"Who"に、エッと驚かされてしまった・・不覚!(冷静に考えれば極めてワカリヤスイWhoよね (^^;))

No.1060 7点 ぼんくら- 宮部みゆき 2026/05/05 20:44
江戸町奉行の"ぼんくら同心"井筒平四郎が主役の江戸長屋ミステリ。巻頭1/4までは五つの短編・・刺殺された兄と返り血塗れの妹、博打狂いの父と孝行娘、知恵遅れ男児と忠義の番頭、オトコギ溢れる女傑後家とトウだちの元娼婦アダ姐さん、壺信仰と店子たちの出奔・・いずれも、ちょっとミステリアス展開から少しイイ話オチの五短編が続き、ん?短編集?思わせて、全話連結の長編ミステリへと展開して行き、冒頭の殺人事件始め、諸エピソード回収のWhy・Whatダニットがツイスト転回して、爽やかエンドへ。天才探偵の美少年や伝書カラス(ハトでなく^^;)、人間USBメモリー少年が実にファンキー。憎まれ役のヤナやつ岡っ引き悲惨ラストもナカナカに痛快。

No.1059 3点 愛する者に死を- リチャード・ニーリィ 2026/05/03 19:15
リチャード・ニーリィ処女作。出版社経営の男とその娘、娘婿の共同経営者、それぞれの秘書に顧問弁護士、娘の精神科医・・ネットリした男女関係描写で進行する、サイコな娼婦殺人事件。"どフロイト風"精神分析ミステリ根幹に、叙述・アリバイ・変装トリックが少しづつ付くが、「心ひき裂かれて」(あれは面白かった)のインパクトには程遠い。
※原作自体の問題なのか訳者のセンスのせいか分らんが、小説文体「読み心地」がよろしくなく。

No.1058 7点 11文字の檻- 青崎有吾 2026/05/01 22:23
「加速してゆく」実在の悲惨な大事故を背景にした、限りなく「日常的」な謎。 7点
「噤ヶ森の硝子屋敷」ガラス造り館の前代未聞の密室トリックが、Excellent!10点
「your name」あたう限り短い(なんせショートショート)Whoダニットロジック。 6点
「11文字の檻」乙一を思わせる特殊設定拘禁施設での暗号解読ロジック。7点
※他の4作は採点対象外。が、「恋澤姉妹」は、「アンデッドガール・マーダーファルス」作者らしくユニークで、実はこの短編集で一番面白かったりする。

No.1057 6点 ナイト・ストーム- サラ・パレツキー 2026/04/28 22:36
ヴィクシリーズ第十五弾。嵐の夜の墓場、吸血鬼儀式に興じる少女達と心臓をクイで打ち貫かれた死体・・てな魅惑的導入から始まるサスペンスが、恒例の米国”リベラル vs 保守”対立を背景にした連続殺人ミステリへと進み、保守・リベラルそれぞれワケありの過去譚ハードボイルドしたあげく、一気にバトル炸裂して、幻想的ラストショーにエンド。

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レッドキングさん
ひとこと
ミステリは戦前の乱歩の様に 子供が親に隠れてコッソリ読むような、恥ずかしい存在でありたい。 ミステリ書きという驚異的な作業に神経を減らし 結果報われることの無いミステリ作家たちに心から崇敬を捧げます。 ...
好きな作家
ジョン・ディクスン・カー  PD・ジェイムズ  トマスH・クック  沼田まほかる
採点傾向
平均点: 5.32点   採点数: 1096件
採点の多い作家(TOP10)
アガサ・クリスティー(88)
ジョン・ディクスン・カー(55)
エラリイ・クイーン(52)
F・W・クロフツ(34)
二階堂黎人(30)
ジェフリー・ディーヴァー(28)
アーサー・コナン・ドイル(26)
カーター・ディクスン(25)
トマス・H・クック(23)
麻耶雄嵩(21)