皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
猫サーカスさん |
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平均点: 6.18点 | 書評数: 433件 |
No.13 | 7点 | プリティ・ガールズ- カリン・スローター | 2017/07/18 19:36 |
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愛した夫は猟奇殺人者だったのか?そんな疑惑に苦しめられるヒロインの物語。死んだ夫のパソコンに隠されていた、女性が拷問される動画。夫は何者だったのか?やがて、遠い昔に失踪した彼女の姉とのつながりも。意外な真実が、彼女の信じていた世界を突き崩す。驚きに満ちたサスペンスであり、壊れていた家族が復活する物語でもある。 |
No.12 | 7点 | その女アレックス- ピエール・ルメートル | 2017/07/15 20:27 |
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冒頭部分の陰惨な場面に続き、犯人の自殺という衝撃的な出来事で一気に心をわしづかみにされたストーリーは、そのあと予想もしない方向にねじれていく。ネタバレになるので詳しくは語れないのがもどかしいが、多くの読者が途中で謎の女アレックスの正体をとらえたと確信すると思う。しかし作者はさらにひとひねりして物語に奥行きを与えている。構成と語り口の巧みさにうならされた作品。 |
No.11 | 5点 | ゼロワン 陸の孤島の司法書士事件簿- 深山亮 | 2017/07/12 21:25 |
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群馬県の田舎の村で起きた事件を、ほのぼのとした筆致で描いた短編集。主人公は陸の孤島と呼ばれる過疎の村、南鹿村で司法書士の事務所を開く。そこは法律家が誰もいないか、いてもひとりだけという「ゼロワン地域」。田舎の村ならではの人間関係が生み出す難事件と、司法書士という職業の興味深い実態が語られていく。ユーモアのみならず、苦みも含むユニークな連作集。 |
No.10 | 6点 | 薔薇の輪- クリスチアナ・ブランド | 2017/07/09 21:17 |
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障害のある娘との交流をつづったエッセーで人気の女優ステラ。だが、服役中の凶悪な夫が特赦で出所し、娘に会おうとしたところから事件が起きる。事態は二転三転し、いくつもの仮説が示される。手厳しい人間観察に支えられた冷徹な謎解きは意外な結末へと着地させている。 |
No.9 | 6点 | 悪魔の星- ジョー・ネスボ | 2017/07/09 21:13 |
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ノルウェーのオスロを舞台にした「刑事ハリー・ホーレ」シリーズの第5作。殺された女性の遺体から珍しいダイヤモンドが見つかる猟奇的殺人事件。だが、ハリーは捜査に関与せず、同僚の殉職の真相を追い続けていた。第3作から続く殉職の謎と、本書での2つの事件が重なり合う。有能だが自堕落なハリーという主役を得て、濃密なドラマが繰り広げられている。 |
No.8 | 7点 | 欺きの家- ロバート・ゴダード | 2017/07/05 19:50 |
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ある巨大企業の創業者一族の過去にまつわるミステリ。60歳を迎え退職間際のジョナサンは、社史編纂を命じられ、失われた記録を捜すことに。それは、彼が長年抱えてきた、創業者一族に関わる秘密を掘り起こす旅となる。過去の事件の回想から、意外な真相の解明へ。しかしその全容はなかなか見えてこないようになっている。40年を超える歳月が織りなす、重厚な風格を備えた作品。 |
No.7 | 6点 | 第三の銃弾- スティーヴン・ハンター | 2017/07/02 21:48 |
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ボブは、ひき逃げされた作家の妻から事故の調査を依頼される。作家はケネディ大統領暗殺に関する暴露本を出版する予定だった。ボブは暗殺に使われた銃を手がかりに暗殺事件を検証・分析し、真相にたどりつこうとする。その推理が緻密かつ意外性に富み、ぐいぐいと読ませる。臨場感にあふれ、息詰まる銃弾戦も満載。年をとっても卓越した狙撃手であり続けるボブの活躍を堪能できる。 |
No.6 | 5点 | オン・ザ・ロード- 樋口明雄 | 2017/07/02 21:41 |
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東日本大震災で家族を失い絶望していた元刑事の主人公は、ヤクザに命を狙われている中国人女性と出会い、彼女を守るために必死に戦う。ある殺人事件の背景にある外国人研修制度という問題を追及しながら、疑似家族的な愛(脇役として犬も活躍する)と冒険を通して再生していく姿を力強く描いている。「悲喜こもごもの巡り合わせを人に投げかけながら、人生という道はどこまでも続いていく」というメッセージが胸に残る。悪役のヤクザたちのキャラクターも生き生きとしていて印象深い。 |
No.5 | 6点 | スキン・コレクター- ジェフリー・ディーヴァー | 2017/06/28 19:36 |
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過去に倒した敵の影がちらつく、シリーズ物の利点を生かした物語。第1作に登場する犯罪者ボーン・コレクターの手口とライムの捜査法を研究したと思われる連続殺人犯との心理戦が描かれる。二重三重の逆転劇をはじめ、「いつもの面白さ」を堪能できる。なお、本書を読む前に「ボーン・コレクター」「ウォッチメイカー」の2作は読んでおいた方がより楽しめると思います。 |
No.4 | 6点 | 無実- ジョン・コラピント | 2017/06/28 19:27 |
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スキャンダラスなテーマゆえに出版が難航としたという、いわくつきの作品。近親相姦というテーマが目を引くものの、本書はあくまでも重厚な人物描写に支えられたサスペンス。小説家と、彼に罠を仕掛ける側の双方の視点から描かれ、息詰まる展開を楽しめる。 |
No.3 | 6点 | ぼくは君を殺さない- グレアム・キャメロン | 2017/06/24 17:27 |
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主人公は女性を狙うシリアルキラー。冒頭から被害者の死体を切り刻み、さらにその友人の女性を自宅の地下室に監禁する。だが、彼女のために買い出しに行った彼は、スーパーのレジ係の女性に恋してしまった。恋する殺人鬼が、普通の人間になろうとする。奇異なユーモアに彩られた、忘れがたい個性を放つ小説。 |
No.2 | 5点 | 負け犬たち- ジョニー・ショー | 2017/06/24 15:10 |
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立場も年齢も異なる、しかし人生が崖っぷちにあることだけは共通している3人の男の物語。意気投合した彼らは、うわさを頼りに宝探しに乗り出す。富のため、そして生きる張り合いのために。愚かしくも愛すべき男たち(と女たち)の愉快ながらも哀感のにじむ冒険物語。 |
No.1 | 6点 | 背信の都- ジェイムズ・エルロイ | 2017/06/18 09:47 |
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1941年12月、真珠湾攻撃前日のロサンゼルスで幕を開ける物語。「新・暗黒LA4部作」の第1作となる作品。アシダを含む3人の刑事の視点と、1人の女の日記によって語られる、策略と欲望の渦巻く物語。政治と犯罪と情念を、複数の視点から重層的に描き出している。 |