皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
ALFAさん |
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平均点: 6.67点 | 書評数: 190件 |
No.4 | 1点 | 容疑者Xの献身- 東野圭吾 | 2024/04/08 09:24 |
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まあ今さらの感もあるが・・・
ミステリーであるからには、落ち度もない人間を何かの都合で殺すことはあり得る。だからこの作品の胸くそ悪さはそこではない。 アリバイ作りのために身寄りのない人間を殺し、一方で自らの「献身」に酔う鈍感な犯人の造形や、一連の行為を純愛ものと読ませてしまうプロット。つまりは作者東野圭吾のアザトさが見えてしまう。 ミステリーとしての完成度が高くない上に、純文学風味のマーケティング志向が鼻につく。 |
No.3 | 7点 | 白夜行- 東野圭吾 | 2023/02/23 08:19 |
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事件発生からエンディングまで、約20年の歳月をたどる重厚なクライムノベル。
(以下ネタバレします) 動機や犯人二人の関係性などの謎解き要素もあるが、本質は「けものみち」や「火車」に通じる犯罪小説だろう。 あまり得意ではない心理描写を省き、たとえと出来事だけで二人の関係を暗示するのがいい。 老刑事の迫力とくたびれ加減がいい味を出している。終盤、かつては容疑者の一人だった居酒屋の女将との会話の中から、事件の輪郭が浮かび上がってくるのが印象的。 エピソードが多すぎてそれぞれが必ずしも着地していないこと。トイレットペーパーの買いだめなど、各時代のトピックが多すぎてわざとらしいことを減点してこの評価。 |
No.2 | 4点 | ある閉ざされた雪の山荘で- 東野圭吾 | 2022/02/21 15:20 |
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ネタばれします。
クローズドサークルを「演じる」という凝ったお話。 謎解きはあるが結果として犯罪はないので好みのミステリーとはいえない。 人物の造形が浅いので心理小説ともいえないし・・・ 叙述トリックを楽しめるかどうかで評価の別れる作品。 |
No.1 | 3点 | 悪意- 東野圭吾 | 2022/02/17 08:46 |
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巧みな構成と簡潔な文体はまるで精密機械のようだ。全文が複数の人物の手記と独白だから、そこに欺瞞があることを前提に読み進める。すると所どころにかすかな違和感が仕掛けられていることに気づく。
そして後半には大きな反転が。ところがこの反転はミステリー的感興をもたらさない。なぜかというと・・・ 以下ネタバレしますよ まず、WHOの反転ではなくWHYつまり動機の反転であること。「所詮こいつが犯人であることに変わりはない!」というわけだ。 もう一点はその動機がより卑小なものになること。 そもそもミステリとは犯罪を楽しむという罪深いエンタテイメントである。楽しむためには「犯人にも一分の理」がなければならない。「理」は金でも色恋でも復讐でもいい。抜き差しならぬ動機があって初めて読者は犯人にも共感しその裁きにも心打たれる。これがエンタメとしてのミステリーだろう。 ところがここでは反転によって、三分ほどあったはずの「理」つまり初めの動機は嘘で、本当はとても卑小な動機であったことが明かされる。さらに最終盤では子供時代の行状や母親の影響まで出てくる。こうなるともはやミステリーではなく「卑小な魂の遍歴」とでもいうべき純文学に変質してしまう。 実はこの作者、別の超有名作でもミステリーから純文学への一種の「はみ出し」がみられる。 それも含めて楽しむか、そこまでは付き合いきれないかは読者次第。私は後者である。 P.S. ミステリーに「いじめ」を持ち込むのはもうやめてほしい。このモチーフはミステリーになじまないと思う。 |