皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
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斎藤警部さん |
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| 平均点: 6.69点 | 書評数: 1433件 |
| No.413 | 5点 | 血とバラ- 赤川次郎 | 2015/11/26 12:30 |
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| 忘れじの面影/血とバラ/自由を我等に/花嫁の父/冬のライオン
(角川文庫) 「セーラー服と機関銃」に物足りなさを感じ、映画つながりと言うわけでもないが何となく選んでみた二冊目の赤川本。 おお、こっちはなかなかだぞ! と当時ほくそえんだものです。「花嫁の父」の暖かなサスペンス感が記憶に残ります。 |
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| No.412 | 3点 | セーラー服と機関銃- 赤川次郎 | 2015/11/26 11:15 |
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| ズブン(自分)が大昔に薬師丸ひろ子のファンだったという事実がどうヌもスンズ(信じ)難い。ひょっとして、どこかの時点でもう一人のズブン役と入れ替わっているのではねえが? 遺産相続か保険金詐取に絡んで火災事故に巻き込まれた過去は無(ね)がったが? たずうズンかぐ(多重人格)で無えど言う保証はあるが? スカス(しかし)、ズブンがまづがい(間違い)なく彼女のファンだった証拠に、この小説は確かにあの頃リアルタイムで読んでいる。夢の中で蝶たちが舞うエーテルの空のように、儚くも薄く仄かな内容の本だった。おまけにミステリではなかった(気がするんだが、記憶違いだべが?)。まぁーでもそれなりに読めまスたがらね。 | |||
| No.411 | 6点 | 証明- 松本清張 | 2015/11/24 14:24 |
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| 本格系3篇に異質の歴史エロ1篇。
谷山さん書かれたと同じく私も「密宗律仙教」のグダグダには音を上げました。本作があるせいでこんな薄い本を読破するのに二週間くらい掛かった(その間に別な本何冊か読んじゃった)。重厚且つ機敏な筆致が魅力の清張歴史諸作にはまず無い愚図な退屈ばかり目立つ困った怪作です。ミステリ要素は事実上皆無。本全体のバランスも大きく崩してますね。清張作品でここまでボロクソに思ったのは今んとこ他に無いんじゃないかな。 でもね、あとの3篇はどれも悪くない清張本格ですよ。 証明/新開地の事件/密宗律仙教/留守宅の事件 (文春文庫) |
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| No.410 | 7点 | 憎悪の依頼- 松本清張 | 2015/11/24 12:41 |
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| 憎悪の依頼/美の虚像/すずらん/女囚/文字のない初登攀/絵はがきの少女/大臣の恋/金環食/流れの中に/壁の青草
(新潮文庫) 本格推理、犯罪小説、歴史証言から恋愛小説めいたものまで、ヴァラエティに富んだ興味津々の短篇集です。柔らかなセンチメンタリズムが底に流れていそうな作品がちょっと目立つ。 あまり話題にならない様ですが「絵はがきの少女」の抒情とも旅情とも割り切れない微かな哀感は心の映像と共に永く残ります。“水曜どうでしょう”の”絵ハガキの旅”再放送を観るたびこの話を思い出します。 「女囚」の虚を突かれる反転、考えてみれば尤もな事ですが、、これは教訓にしたい一篇ですね。。「美の虚像」や「文字のない初登攀」で展開される丁々発止の人間攻守劇は緊張感抜群でこれぞクラシック清張節。題名力の強い表題作は。。清張にしちゃチャンチャン終わりかな。でも面白い。うん、この表題作だけは文学的物思いに耽らずともストレートに楽しめる通俗の味わいで、中でも一番の異色かも。しかし、とある作品で男色心情をつらつらと書き連ねているのには(乱歩じゃあるまいし)驚いた。意外とリアリティあるのが何とも言えねえ! |
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| No.409 | 4点 | 完全殺人事件- クリストファー・ブッシュ | 2015/11/24 11:56 |
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| 印象に残る挑戦的プロローグのハッタリかまし具合は愉快だが、そのハッタリを知的興奮とかハラハラドキドキで回収し切れてないですよね。ただ、アリバイ古典と謳われながら●●●●トリックという落ちだけではずっこけそうになる所をギリギリの伏線勝負で救ってはいる、そのハッタリプロローグの使い方は「なるほどね」てなもんです。まあそこまでです。格好付けた割には魅力に乏しい、狩野英孝みたいな小説ですね! | |||
| No.408 | 4点 | 四つの署名- アーサー・コナン・ドイル | 2015/11/22 09:53 |
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| 個人的には退屈極まりない「緋色の研究」に較べると物語の時間的・空間的拡がりにある種の明るさ、爽やかさが強く入り込んでいる所為か、こちらの方が俄然好感度は高い。が、面白い!とまでは行かないな。やはりホゥムズは短篇が。。 | |||
| No.407 | 2点 | 緋色の研究- アーサー・コナン・ドイル | 2015/11/22 09:14 |
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| 小学生の頃、ホームズには普通より長いのがあるとどこかで知り、「深夜の恐怖」なる作品を読んでみたらこれが普段のホームズとは微妙にちがう間延びした退屈感。中学か高校の頃あらためて創元推理文庫の「緋色の研究」で仕切り直しましたが、やはり全くのめり込めずダメでした。やっぱホームズは短篇に限る、サンマは目黒に限る、と思ったものです今もまぁ思います。構成の妙は特筆すべきと思います。
でも思い出してみればルパン物は逆に長篇(ジュブナイル版)ばかり読んでたなあ、小学生ん時。 |
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| No.406 | 7点 | 美の犯罪- 土屋隆夫 | 2015/11/21 17:35 |
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| 表題作は切先鋭いホヮイダニット(娘による母殺し)の名品。
全ての収録作が、表題作の様に寂寥感漂う文芸色で統一されているのでもなく、意外とデコボコしたバラエティに富む短篇集ですが、どれを取っても相当に楽しめる作品であるのは間違いありません。 それにしても、ずしりと重い表題作の次、この不謹慎なタイトル付けは何たる事(笑)? 美の犯罪/殺人ラッキー賞/外道の言葉/三通の遺書/心の影/天国問答/女の穴/肌の告白 (角川文庫) |
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| No.405 | 6点 | 半落ち- 横山秀夫 | 2015/11/20 18:36 |
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| 私は刑事コロンボ「高層の死角」ラストシーンの鍵となる「何故第一の殺人だけ自白したか」という応用篇ホヮィダニットが心の琴線に触れて大好きなのですが、本作の場合は「何故ずっと自白を拒んでいた容疑者が、ある時を境に急に自白を始めたか」なる更に複雑でトリッキィな一種のホヮィダニット、それを大きな人間ドラマが覆い包むという構造で、大変チャレンジングな作品と思います。良い文芸小説で、愉しく読ませていただきました。結末の「ホヮィ」は確かに予想を超えたものでした。しかし。。。。唐突感は否定出来ません。
【これよりネタバレの風向きへ】 おいおいそんな伏線どこにあったよ!?って思いましたよ。バランスってもんがあるでしょう。あれほど夫婦愛の細やかな事情(そこに何事か秘密が潜んでいるに違いない。。。。)を前面に立て、謳い上げておきながら。。でも6点。 |
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| No.404 | 7点 | 虹を操る少年- 東野圭吾 | 2015/11/20 17:22 |
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| 夜を統率・・ マスクド バンダリズム・・ 魅力的キーワード群が夜空に眩しい。そして、その向こう側にいた人物は?
同氏「天空の蜂」を社会派現実科学小説とすれば、こちらは社会派空想/現実科学小説(空想寄りだが空想みたいな現実が混入)の様な味わい。但し空想/現実の線引きは日本プロレスに於けるガチ/やらせの如く微妙で味わい深い。 これだけ派手で具体的なストーリー展開ながら妙に一歩一歩着実な筆運びだね、特に半分過ぎたあたりから。。と思ったがいや違う、これは怖い怖いクライマックスへ続く分厚い階(きざはし)の一枚一枚だ、想定外の生活社会派リフレクションを噛み砕きながら。。そしてスクランブル展開を見せ始める物語の根幹に寄り添う枝葉たちは、見守られるのか、棄てられるのか? 主人公が二人となる構図だが、光瑠君のほう、東野作品の中でもスペシャルに好きな人物だ。底知れずな懐の深さでもってとびっきり頭の冴えた奴、間違い無くいい。 あとチョイ役だけど麻雀の話で盛り上げ上手の高校教師ってのも最高だなあ。 【以下、ネタバレの機微有り】 裏切りと対立の構図はとうとう最終ラウンドへ持ち越し。しかし主人公(光瑠君のほう)の台詞が暗示した様に、通常のミステリ的な割り切り解決は無い。黒幕のトップやら怪しい組織の正体さえ最後まで明かされず。だが、主人公の口が語る通り「具体的に誰が仕切ってるかってのは意味が無い、たまたま今はそいつがやってるってだけ」という洞察の延長で最後は押し切られるという趣向なのでしょう。 でもある人物とある人物が実はイコール、というベタな推理小説的タネ明かしはちょっとあったね。読者サービスってやつかも知れん。 【ネタバレの機微、ここまで】 光楽、嗜む程度に体験してみたいねえ。 そういや、そこに「穴が開いている」様にしか見えないと言う「本当の黒の印刷」ってどこかの会社で開発されたねえ。 ところで文庫巻末解説の井上夢人氏が本人から聞いたという話に拠れば、東野氏はまるでパルプフィクション作家の如く、後先考えず書き飛ばす方式でいつもやってるそうなんだが、本当かしら?? p.s. いい言葉だ「我が同胞へ」。 これには泣けた。 |
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| No.403 | 8点 | 針の誘い- 土屋隆夫 | 2015/11/20 01:12 |
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| 子供の誘拐事件が起き、身代金を持参した母親がその場で殺されるという残酷な構図は、一方で義憤を煽りつつ事件の見えない奥行きをも匂わせる。これぞ黄金の土屋隆夫と感じ入ってしまう、質実剛健の一冊でした。 | |||
| No.402 | 8点 | 天国は遠すぎる- 土屋隆夫 | 2015/11/20 01:01 |
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| 謎の中心に暗い流行歌の歌詞。時代の薫りにやられる。遺書と共に逝った十代の娘は果たして自殺だったのか?アリバイ崩しに密室トリックが絡んだ、濃密な空気感の文芸本格。社会派要素も割と有り。評者好みのど真ん中に剛速球です。
ところで詰まらない事が気になるのですが「アルプス建設工業」というのはあの鬼瓦権造さんがお勤めの会社(アルプス工業)と関係があるのでしょうか?だとしたら、たとえ文中には登場しなくとも、彼も警察の取調べを受けて、最後に「冗談じゃないよ?」の捨て台詞を吐いて帰って来たりしなかったのでしょうか?あるいはその取調べ以来「冗談じゃないよ?」が口癖になったとか? |
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| No.401 | 5点 | 迷路の花嫁- 横溝正史 | 2015/11/19 10:39 |
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| 通俗横溝、最後は涙で〆。
巷で噂の「赤い右手」じゃないが、後先決めずに書き飛ばしたパルプフィクションの香りがするね。犯人誰にするかは筆の勢い向くまま任せたろう、的な。時に徐々に時に急速に怪しさを増す浩三の行動。集結間際、妙にこれ見よがしに「あの魔王以外皆ハッピーエンド」臭いからこそ膨らむ嗜虐的カタストロフィへの期待。。 終わってみれば正体不明のままの謎人物もいるけど、それもまた良しとする所ですかね。 しかし金田一さんの影の薄さにゃ驚いた。むしろ等々力警部の方がまだ出てる。そもそも探偵役ったって、本作の場合は殺人事件よりも「如何にして魔王を排除するか」という更に大きな人生解決こそ主題なわけで。鬼貫警部や赤影探偵がチラッと登場、謎を解いてさようなら、の類とは全く異質のチョィ役振りは妥当な線ですね。 【ネタバレ】 冒頭に叙述欺瞞の影あり? かと思われたが。。まさか本当にそう来た! |
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| No.400 | 5点 | 野球が殺した- 佐野洋 | 2015/11/18 10:51 |
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| 右翼手が目を隠した/打者が左足を引いた/捕手が声をかけた/走者が塁を回った/塁審が胸を叩いた/観客が手を伸ばした/投手が球を落とした
(角川文庫) 洋さん野球が好きなんだろうけどその割妙に試合描写のリアリティが上滑りなのも味のうちと言った所で.. 笑。ともかく、架空の日本プロ野球リーグ(人気の強豪は天馬ペガサスと明星プレヤデス!)を舞台にスタジアム内外で巻き起こる奇妙な事件の数々は、現実のプロ野球が嫌いにならない程度にゆんわり愉しませてくれます。佐野洋ファンを自認する人、または、佐野洋がまあまあ以上好きで日本のプロ野球もまあまあ以上好きな人、どちらかに該当する人にだけお薦め。両方の人は必読。但し熱狂的プロ野球ファンは読むなw |
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| No.399 | 5点 | 夢の破局- 佐野洋 | 2015/11/17 22:25 |
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| 悲劇的な男女のストーリーを軸とした短篇集。
表題作の真相は現実物語と思えばかな~~りトンデモ無い。。 が佐野洋ストーリー的には普通のことかも。 不幸な女/甘い血/白すぎる球/夢の破局/青白い旅/狂う炎/青いレンズ/蘇える/守ること (集英社文庫) |
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| No.398 | 7点 | 最大の殺人- アンソロジー(国内編集者) | 2015/11/17 15:37 |
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| 反戦文学集、乃至戦争文学集の色彩も濃いが、基本的に探偵/推理小説のアンソロジー。但し全作とも「戦争」と必ずどこかで接点を持つ。小説としてよく書かれている作品ばかりで、読後の重みは心地よい。評者の好みでは冒頭の風太郎作品がなんと言っても暗黒心理トリックの極みでピカ一。アキミツ先生の突出したトボケっぷりには嬉苦笑(題材は笑い事じゃない)。中にはミステリ味の極薄いブツもあるが、どれもこれも読み物として悪くない。
山田風太郎「黒衣の聖母」 土屋隆夫「絆」 高木彬光「原子病患者」 日影丈吉「月あかり」 樹下太郎「泪ぐむ埴輪」 菊村到「ヒロシマで会った少女」 佐野洋「灰色の絆」 仁木悦子「山のふところに」 西東登「壺の中」 五木寛之「冥府への使者」 森村誠一「紺碧からの音信」 結城昌治「長かった夏」 山村美沙「骨の証言」 全篇読後、あらためてこの選集の題名を振り返れば、そこに不気味なほど頑健無比な戦車、いや選者・佐野氏の左翼魂が感じられてなりません。 |
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| No.397 | 7点 | 初秋- ロバート・B・パーカー | 2015/11/14 23:27 |
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| いいかげんお終い近くに至りやっと組織犯罪らしきものが露呈。しかしそれが主題ではない。まるで「日常のハードボイルド」の味わい。果たしてこれがミステリなのかは疑問だが、胸を熱くして読める(長篇の面を被った)短篇小説である事は確か。主人公と少年の関係が最初はまるでドラえもんとのび太の様だ。徐々に松岡修造とその教え子の様に変わって行き。。最後は泣ける。主人公の敵でもないがチャラい成人男子を「ディスコ」呼ばわりするのは笑った。スポーツ観戦や男の料理etc.の描写が適度にマニアライク且つ引き際も鮮やか。内容も文章も素敵だ。シリーズ異色作だろうがこれはいい本だ。読んだ方がいい。 | |||
| No.396 | 5点 | 漱石と倫敦ミイラ殺人事件- 島田荘司 | 2015/11/13 20:36 |
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| 表題にホームズのホの字も出て来ないでやんの。おまけにミイラって。でも漱石の時代のロンドンで島田荘司と来たらそこにホームズが浮かび上がらないわけがありませんね、いいタイトル付けです。
(つくづく、アガサ・クリスティ晩年とロンドンパンクムーヴメント勃興が絶妙なくらいあと一歩の所で重なっていない事実が悔やまれてなりません。) さ~て題名は良いとして中身のほうは。。漱石とワトソン、二人の叙述が交互に登場という形式は新鮮でなかなか面白いですが、最後まで読むとちょっとぬるかったですね~、謎解きが。ロンドンを舞台とした物語興味もさほど濃いものでなく、結果あまり心に残ってません。 もっと、ビシッと決めて欲しかった。 |
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| No.395 | 6点 | ら抜き言葉殺人事件- 島田荘司 | 2015/11/13 13:00 |
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| 傍流作を思いっきり書き飛ばしてみたよな気配充満!とは言え赤川次郎風ユーモア・ミステリを想像するとちょい裏切られます。軽社会派?みたいな展開で風呂敷軽く拡げて、最後まさかのシリアス真相に唖然。。(ひょっとして後付けのハウダニウット?) しかしま、ミステリの形を借りて持論を世に問いたかったのではと見えるよな、ふとした言葉の欠片もちらほらですね。まいつもの事っちゃそうなんだけど。本作は特に。
いちおう言っときますけど「ら抜き言葉」ってのは「アイラブユー」が「愛撫ユー」になるとかの類じゃないんですよ。当たり前か。 |
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| No.394 | 6点 | 有栖川有栖の密室大図鑑- 事典・ガイド | 2015/11/13 00:58 |
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| こんだけの絵解き本を一切のネタバレ無しで遂行し切る、厳しさ満点のその遊び心に惚れるしか無いでしょう! | |||