皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
斎藤警部さん |
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平均点: 6.70点 | 書評数: 1303件 |
No.723 | 8点 | 新車の中の女- セバスチアン・ジャプリゾ | 2017/07/26 06:50 |
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「おれの顔はこんなふうだろう。。。。?」
盗んだ四輪(クルマ)で走り出す、パリの尾崎豊ことダニーは広告会社の美人タイピスト。残った仕事は社長の自宅でテレワークとしゃれ込み、翌朝旅行に出る社長夫婦(妻はダニーの高慢ちきな幼なじみ)を新車のサンダーバードで空港に送ると、そのまま社長宅に戻、らずいつしかマルセイユ目指して南下一直線。。。。 と・こ・ろ・ガ・・・ 「逆・幻の女」のような、言ってみりゃ「●重・逆・幻の女」のような、、不可解な疑惑と状況証拠に小突き回されつつ時おり恋に落ちたりもするダニーでありました。 語り口はふわふわ幻想、雲の中。。なのに座標くっきりなのは、その枢軸にパリ➡マルセイユの見えやすい一本道がストーリーの脊髄をくっきりレペゼンしてくれるからでありましょう。 各章頭の念押し地図掲載もモノ有り気でありつ有効。 にしても思索のみならず行動まで霧のような幻を纏い纏われじゃないですかっ。てネ。。 その約三十分間。。。。。。そこで分からなくなるのか。。また、三十分、、三十分後? 物語の感触推移は、ざっくばらんに イヤミス➡︎幻想イヤミス➡︎ポジティヴイヤミス(時たまハードボイルド)➡︎真相暴露(いきなり本格) といった所。 投射逆光法… ぁァ、キラキラし てき たよ… 結末披歴の二つ折れ後半から急遽キラキラしだすんだよ。。たとえどんなに主要登場人物の一角がクソ野郎であろうと、この崇高なる物語構築のキラキラ力で自浄圧倒、最ッッ高のエンディングまで独走! この終わりは良いですよ。。 若き日の連城師匠がお手本にしたのも頷け放題、ファッキン・ジャップことジャプリゾの面目躍如作。夏に読もうぜ! |
No.722 | 7点 | ある晴れた朝 突然に- ハドリー・チェイス | 2017/07/21 12:24 |
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奇蹟の優雅な隠遁生活を送る元ギャングの大ボスが再び犯罪に手を染める。切羽詰った理由があった。全財産を預けた弁護士が裏切った。背信の運用ミスで破産した弁護士は自殺。残された大ボスも一文無しだ。そこで、億万長者の自身とも又更に桁違いの超大富豪(テキサス石油王)の一人娘を誘拐し、いまだ衰えぬ警察からの巧みな身のかわしで巨額の(石油王から見て大した出費ではないと想定された)身代金をサクッと奪うって算段。。昔の相棒、その凶悪(ヤバ)過ぎる配下(双子兄妹)、大胆で周到な計略、思惑、錯綜、探り合い 嗚呼たまらねえ 探り合い。。 話が進むに連れ展開がブッ飛びカッ飛びの一途、作者の手綱が本当に有んのか無えのか、とうとうまさかのあいつまで。。この有機的錯綜の炸裂は世慣れたリアリティある絵空事ならではの最高のモツ揚げカレーラーメン風情だ。その意気だ、モー! ひとりじゃさびしいのかい?… 推移、推移、拡散、奇蹟の再会。。 五歳差!! ァャハ!! それにしたって想定外に過ぎる大胆な直角展開テンコ盛りだな! 何しろ力点だか重点だか瞬間移動し過ぎだろハドリィめ!!〝〝 さて、オープニング・シーンは何故か、有名劇作家宅への不審者侵入なのですが。。
そういやこの物語には(も)パラダイス・シティが登場する。 ♪ Take me down ~ |
No.721 | 7点 | 殺人はお好き?- 小泉喜美子 | 2017/07/13 11:01 |
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「三十秒早過ぎたよ。。」←MLTR(Michael Learns To Rock)の名バラード ♪ 25 minutes (too late) .. を彷彿とさせる何とも切ない、そして事件の残酷な核心を抉る、お洒落なのに強烈な台詞。「まだ数をごまかすつもりかい?」そして’角度’さえも。。 悔しいけれど真相知ったら再読したくなったよ。インチキハードボイルド、ユゥモォサスペンス、叙述トリック草創期(?)。。主人公がいくら女にモテモテでも男目線じゃ(マーロウなんかと違い)決して格好良くない人物造形なのは著者が女子のせいか。。なんて思って読んでたら、最終コーナーが近付くにつれ。。 それにしても、小泉さん処女ミステリ長篇の本作、ご本人の文庫解説によれば、かなり特殊な新聞に連載されてたそうで。。。。
サーフ・シティ登場には流石に萌えましたよᕦ(ò_óˇ)ᕤ |
No.720 | 6点 | マギル卿最後の旅- F・W・クロフツ | 2017/07/11 23:07 |
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なんと、この小説にはハーバート ブリーンが登場します。 それと、どうしても少年隊の『仮面舞踏会』を思い出してしまう名前の人物が。。 さてベルファスト出身ロンドン在住の老実業家は、故郷である出張先の北アイルランドで行方を失い、やがて遺体で見つかります。容疑者と目されたのは息子と甥。被害者は繊維関係の特許と莫大な財産に繋がる画期的技術文書を携行していたと目されており。。。 海路陸路の旅情は沁みるが、他は小味な長篇。犯人糾弾とアリバイ粉砕の併走と思いきや、、意外な非犯人?? ドンデンまで行かないトンテン返しの様な奇妙な味わい深さがある。ソウルファンとして“ウィガン通過”シーンはちょぃと萌えました。
お喋りは喉の乾くものなのだから、何か舌を滑らかにしてくれるものを。。 ←気に入ったフレーズ |
No.719 | 6点 | 密室殺人- 鮎川哲也 | 2017/07/09 12:40 |
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赤い密室/白い密室/青い密室/矛盾する足跡/海辺の悲劇
(集英社文庫) 密室トリコロール揃い踏み+小品二つ。ま「青密」も風情は小品。 最後の「海辺の悲劇」、 軽いお話なんだけど、妙に後引く鮎川の抒情があってさ。。 |
No.718 | 6点 | ブラウン神父の秘密- G・K・チェスタトン | 2017/07/09 11:07 |
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チンマリ纏りの良い、どことなく明るい雰囲気の作品が目立つ。そんな中でラス前「マーンの服喪者」これがいきなりズウンと来るね。後半ロスタイムでまさかのロングシュート、決められました。。。 「最悪の犯罪」も物々しい雰囲気と表題に吸い寄せられるけど、、身の毛までは弥立たない。
プロローグとエピローグを形成する二篇「ブラウン神父の秘密」「フランボウの秘密」の趣深さはなかなか。全体通せばブラウン神父の中ではそう高評価も出来ないが、憎めない、忘れられない一冊だ。 |
No.717 | 8点 | 座席番号13- 島田一男 | 2017/07/07 10:53 |
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昭和三十年代。 上野、谷中、根岸、、気っ風のいい町医者が鐵道と愛慾がらみの怪事件をちょっとしたキッカケから一瞬のヒラメキで一気に解いちまう短篇八本。何時もの手練れの味が堪能出来るが、本作群は特に伏線の張り方が実~~に巧み、地のムードにすんなり溶け込み過ぎだよ! 話の本拠地が轢死と縁深い鐵路そばだけに物理的残酷味も時に濃厚だが三十年代らしい殺伐なりの人情厚さもよく機能しほろ苦く中和。 主人公を中心に磁場を拡げる臨場感、連帯感、危機感、安心感、存在感、、コッツ、コッツと靴音響く、、ゴーリ、ゴーリと◯を斬る、、スカリッ、と切り取られた○が電車の車輪に貼り付いた 、 、 っとシマイチ先生ならではのカタカナ擬音擬態語も素敵に充実臨場感。 カーの人気作を思わす大胆トリック登場、ブラウン神父直系応用篇ちらほら(こっちの医師は神父よりちィと無骨だが) 、 そして最高の。。まるで下町過ぎるクリスチアナ・ブランドの様な。。。表題作。 いやァそれにしても、今年も島田一男の夏到来ですな。。
ビンづめの拷問 /首をちぢめる男 /ある暴走記録 /かげろう機関車 /機関車は偽らず /座席番号13 /顔のある車輪 /ノイローゼ殺人事件 (春陽文庫) |
No.716 | 8点 | 犯罪- フェルディナント・フォン・シーラッハ | 2017/07/03 17:20 |
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「タナタ氏の茶盌」この味わい深さ、最高よ。
「某作」ここまで醪深い殺人シーン、無かったぜ俺のミステリ半生に。。二時間後。。。。。。。。さらなる七時間。。。 激しい、重い、最後の最後は強過ぎる。 なんて頑丈な、絶壁四方対峙型の作者だ!!!!!!!! ミステリ興味は幻の楼閣ながら、最後の台詞まで表題の存在を忘れさせる技倆が激マブな「某作」。 奇妙な味の真髄を更に研磨せんとする「棘」に「愛情」。 我が愛するクリスチアナ・ブランドの精妙ないやらしさを凌駕しそうで思わず抹殺したくなる作者との邂逅、有り難く受け取りたい。冷静になった頃あらためて愛してやりたい。 暗黒の出生から始まった曲折の末、◯◯で〆るに至る「某作」の◯◯さも格別。 嗚呼、何だか清張とクリスチアナの合わせ技みたいなシーンに出くわすたび、体の芯が波動を繰り返しますよ。 |
No.715 | 5点 | 動かぬ証拠- 蘇部健一 | 2017/06/27 19:54 |
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山崎豊子の「沈まぬ太陽」を髣髴とさせる題名ですが、中身は全く違う代物ですので、間違えて買わないようにしましょう。
結末というかオチ(動かぬ証拠、但しそう言い難いのも中には混じる)を捲った最終ページのイラストで瞬殺理解させるという企画にはなかなかの男気を感じます。 全体的に鮎川哲也のチャラい系倒叙短篇っぽいストーリーのが多いですが、⬅︎ここでわざわざ「鮎川哲也の」と書いたのがミソで、それなりにカッチリした本格ミステリ興味に裏打ちされた短篇が並んではいます。 中で最も結末に重みを感じる「しゃべり過ぎの凶器」。文章だけでもイケそなとこだが、わざわざ写実性高いイラストで『動かぬ証拠』を表した効果は確かにあった。 笑い方向への一撃となるとやはり「宿敵」。これも瞬殺イラストならではのインパクト。 一見地味な所で、一瞬ええっ!?と思い、秘められたストーリー部分に想いを馳せる「再会」。。。。これちょっと泣けませんか? 中にはオチ・イラスト化になってないのもあったりすんだけど、そいつも作品自体は詰まらなくない。 だけど、最後のイラスト収束に拘るあまり折角もっといい感じに膨らませそうなミステリ脈路をわざわざ窄めて終わらせてないか? ってのもある、二人の漫画家のヤツとか。 だけどね、ついついスイスイ読んでしまうのよ、アタシこういうの。でチョッピリ後悔するの。あなたはどうかしら? |
No.714 | 8点 | 燃える男- A・J・クィネル | 2017/06/25 17:47 |
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男の三面鏡は反射角がソッポを向いてんだ。いや、ありふれた言い草より遥かに広大な女と男の四面鏡は。。そんな柔軟構造の素敵な『価値ある復讐』力作長篇だ(何言ってんだか分かんねえ)。
条件どうしの和やかに不穏な噛ませ合いから始まって。。主役も相棒も某も魅力あるな。リカが異様に美人設定なのも納得だ。ほぼルックスだけで彼らとのキャラクター勝負に引き分けなきゃならんのだからな。なんて思っていたよ。。 ピンタ。。。。。。。 君の可能性よ。。 『島』でのあのキラキラした大離別のひとくさり。 と、その後の一連の。。更に某との乾いたようで情けの沁みる別れのシーンまで最高にジーンとさせられる。 再会の後のまた再会。トビウオの様な叙述遠近法。 最高の’オーライ’ がそこに。 クリーシィ(主役、燃える男、元傭兵の星)がドクター・フックなんてチャラい音楽を好むのは驚いた。ブルー・バイユーはロイよりリンダか。ジョニー・キャッシュは俺も好みだぜ(刑事コロンボにも犯人役で出てましたね)。 ところで、その”逆アイリッシュコーヒー”みたいなカクテル、胸騒ぎを唆すよ。 なかなか刺さる’チョイ役バカ’の極限臨界瞬殺推理には眼を瞠った。 最終局面がちょっとだけバタバタの尻すぼみだったかな。。しかしラストシーンとエピローグの簡潔な味わい深さは格別。全篇通して名作力作。 読んでみい! |
No.713 | 7点 | 二人の夫をもつ女- 夏樹静子 | 2017/06/23 00:33 |
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どっかで聞いたようなタイトルの。。 文庫新装版の帯によれば『こんなにも怖い女ーーーもう誰にも書けない』だそうだが、ちょっと違うような。。怖いのはむしろ男のほう、って逆転構造の物語が目立つ気もする。わざとですか、夏樹さん。。
あなたに似た子・波の告発・二人の夫を持つ女・朝靄が死をつつむ・ガラスの中の痴態・朝は女の亡骸(むくろ)・幻の罠・夜明けまでの恐怖 以下、順不同 ・某作品 犯人と共犯者はバレバレの様だが、どこかでその直線的疑惑に微妙な翳が混じって読ませること脅迫状の如し。 7点。 ・某作品 ホワイトどんでん返しが光るが、真相暴露その途端にミステリの厚みがシュゥーと凹んだかな。。。 7点。 ・某作品 題名から受けるミステリ度合い濃厚なイメージを裏切るあっさり爽やかな作品である事が意外や意外。 まさか、逆・日常の謎?? 6点。 ・某作品 消える魔球ならぬ消える動機の考察が興味深い。 7点。 ・某作品 唐突な違和感のザラつきは思わずページを繰り戻らせた。結末の急な蠕きは。。やはり女が怖い。。と見せて実は。。。 7点。 ・某作品 またこの推理クイズネタか。。と油断してたら落とされた二重底! しかしそれも勘付きの範囲内だ。。あっちの方の犯人は別な方かと思ってましたが。。これも結局、怖いのは女より男って構造じゃないのさ。 7点。 ・某作品 面白いねえ。。。 数式に還元してしまえばシンプル極まりない中核原理を物語のドラマ性と構築の妙で見事に目眩しさせたあたりは「占星術」にさえ通じるかも? ●としてはそのだめ押し反転がちょっと悔しいが、やはり最高の結末。 8点。 ・某作品 これは怖い、ミステリ興味も分厚い、面白い、よく出来た反転心理劇。証言と逆証言(?)の綾に絡め取られ落ちて行くのは誰。。。ラストセンテンスには一瞬あらぬ事をも想像。 9点。 |
No.712 | 5点 | あなたも人が殺せる- 都筑道夫 | 2017/06/21 23:16 |
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色んな主題のユルユルしたヴェリィショートストーリーズが詰まった本。何処となく雑誌っぽい。
中では’花言葉’特集の部分がちょっと心に残ったか。 |
No.711 | 6点 | 封印再度- 森博嗣 | 2017/06/15 22:51 |
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ドタバタの渦中に絶妙な低頻度で登場する国枝桃子が魅力的過ぎ。時には長時間無登場で恋しくさせる効果も狙ってるんでないかと思うほど、本作でのKM効果は喧しいS&Mラブコメの裏テーマとして作者もかなり意識計算している気配が濃厚。
工夫を凝らした比喩表現の数々を見て時々思うのですが、S&Mシリーズってのは一連のマーロウ物語をレッドゾーン近くまで格好悪く混ぜ返したパロディの側面もあるのではないかしら。。だが本作では、絞り出した生クリームの駆け引き、この辺りのフレーズ群はなかなか好きだった。その直後の、雲を作る工場のあたりも。。 幸せだね。。そのあと数ページも最高に面白し。最高だ。。。これが森君の心の隠し球か。。 さて壺と鍵のトリックについて、大筋ではセンスオヴワンダーまで達せず残念だったが、それでも(こっからちょっとネタバレ)「型」つまり再度封印方法の件は盲点を突かれてたじろぐ思い、ちょっと感動。しかしまあ、その半分強はマジックの種明かしに対する感動(でも分からない方が良かった、的な)でありまして、ミステリの真相を知った感動(やっぱり分かって良かった、的な)の割合を超えちゃってますね。んなわけでそこんとこ、推理小説を味わったって感じは弱い。 ただ、例の子供の証言の機微には、ハッとします。しかもそこへ繋げる伏線の巧妙なこと(大胆すぎるか?)。 とは言え無理があるとのご意見はごもっともで、全体ガヤガヤごちゃごちゃしてるムードの長篇だからこそギリギリ押し切れてる(又は押し切れてない)トリックなのかも知れません。 THE WHOの昔のアルバムを思わせる英題も込みで、やはりタイトルはピカ一ですね。S&M二人の関係も日本語の方には織り込まれていましょうが、実は英語の方もそうなのか .. ? つーわけで 題名:9点 国枝桃子:9点 壺と鍵:8点 トリック全体:5点 文章:5点 バカ二人(失敬!):3点 総合計で6点とします。 |
No.710 | 5点 | 伯母の死- C・H・B・キッチン | 2017/06/14 00:33 |
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説明書。。。。。 電話。。。嘘。。微妙に退屈交えながらも、不思議な共同体の視点からパズルのピースは面白く嵌ったり、外れたり、弾かれたり。。
問題の第13章(主人公まさかの行動)をストーリー俯瞰で大化けさせるのがミステリってもんだろ、なんって思わなくもないですが。。 締めの一文は粋。 【ネタバレ&逆ネタバレ】 「伯母の死(DEATH OF MY AUNT)」なる題名が、より有名な「伯母殺し(MURDER OF MY AUNT)」と紛らわしいんですが、こちらもやはりかの作と同様、ダブルミーニングなわけでね。。。。 |
No.709 | 5点 | 東京下町殺人暮色- 宮部みゆき | 2017/06/11 11:52 |
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心の底からシビれはしないが、心が少し洗われる。 推理小説として、なかなか悪くない。
題名から受けるイメージとは、微妙にずれる内容というか雰囲気かも。 |
No.708 | 6点 | 溺れ谷- 松本清張 | 2017/06/08 22:45 |
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往年の人気女優を、彼女のファンだったという製糖会社社長に雑誌インタビューで引き合わせ、それを足掛かりに甘い汁にありつこうと画策する下司な主人公、ところがそうは上手く事が運ばずイテテテ。。。 輸入自由化前の砂糖業界を巡る汚職絵図がなかなかエキサイティングに展開して、、読み応えはそれなりにある。面白い。ガツンとまでは来ないかも。 |
No.707 | 5点 | 高校殺人事件- 松本清張 | 2017/06/06 12:10 |
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やっぱ清張にラノベは無理かw
冒頭の重々しいモノローグの末、おいおいそれが「私」(男子高校生)かよ! と噴き出しそうになりました。 怪しい事象に対する主人公の疑いの持ち方の、特に人間関係の機微に関しての、立脚の浅さが高校生っぽさを何気にぎりぎり醸し出していますかね。ところが、よりミステリ文脈での明からさまな伏線攻撃にまでそんな柔っちい無反応を見せつけられると、重厚な文体との違和感が愈々。。賢い従姉妹ちゃんが登場してよかったね。 高校生向け学習雑誌(高校上級コース/高校コース)への連載らしくサスペンス度も社会派度も抑え目。若者たちが社会に出るのが嫌にならない程度にという配慮か(笑)? 本格ミステリとして見たら更に薄味だが、とは言え真犯人はギリ意外。某人物の敵味方属性は見え見えだけど、犯人側構造暴露のスリルはまずまず。それにしても「ノッポ」と「人夫のおじさん」は惜しまれる。。。 その昔NHK平日夕食時の「少年ドラマシリーズ」にて、原題の『赤い月』として放映されていました。 |
No.706 | 6点 | ミステリ国の人々- 評論・エッセイ | 2017/06/02 22:12 |
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連載で読んでました。終わった日は寂しかったなァ。。。ボンボンさん仰る 縦横斜め ってその通りの、アリスアリスの高いこころざしに裏打ちされた愉悦共有意図の素敵な行き渡りぶりには、すっかり癒されつつ魅了されたものです。やっぱり、好みと違うようでいて本当は好きなんだす、このひと。 |
No.705 | 6点 | ハマースミスのうじ虫- ウィリアム・モール | 2017/05/29 12:00 |
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冒頭一読、含蓄有る不思議な恐喝理論と実践は切れ味勝負の短篇を想わせたが、引っ張って膨らませて展開も見事にいつしか屈強なる体躯の謎めいた長篇がそこに。腰のある文体に無駄のないユーモアが最高。そして芳醇なる余韻を生成して歩み去る、最後の一文よ。。嗜好に果たして合うかはともかく、間違いなく名作オーラは放っています。機会があったら触れてみましょう。嗚呼、抱水クロラール。。 |
No.704 | 8点 | タイムマシン- ハーバート・ジョージ・ウェルズ | 2017/05/26 00:28 |
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有名過ぎて最早手に取らないようなジャンル草創期の超古典も、何かの機会にいざ読んでみたらガッツリ満足面白い、って事はままある。本作もその典型。やっぱ完成度も高い挑戦作ってのは輝きを失わない(ホームズやビートルズの様に)。 歴史に残るどころか歴史を作る奴はコアが違うね! 今は無い近所のディスカウント屋で買った50円の創元古本も想い出。 |