皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
いいちこさん |
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平均点: 5.67点 | 書評数: 541件 |
No.15 | 5点 | 皇帝と拳銃と- 倉知淳 | 2020/01/25 18:15 |
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2人の探偵の人物造形は奇をてらっているものの、魅力に乏しく、奏功しているとは言い難い。
各短編のロジック・トリックは堅実である反面、全体にインパクトが小さく、サプライズを演出できていない。 最終話の真相は、作品中盤で察することができるレベルであり、完全に想定の範囲内。 全体として悪い作品ではないものの、一読の価値がある水準には達しておらず、5点の下位 |
No.14 | 4点 | 豆腐の角に頭ぶつけて死んでしまえ事件- 倉知淳 | 2019/06/26 18:42 |
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著者の日常の謎系作品は、真相が飛躍する衝撃とリアリティの絶妙なバランス、それを解明するプロセスの論理性が特色であるが、そのいずれにおいても本来のポテンシャルが発揮されていない。
最近の読了作は軒並み同様の評価であり、近年における低調ぶりを裏付ける作品 |
No.13 | 6点 | 片桐大三郎とXYZの悲劇- 倉知淳 | 2018/12/07 20:14 |
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各短編によって出来・不出来の差はあるものの、推理の説得力の欠如・アンフェア、犯行のフィージビリティの低さ、捜査の不合理性等、全体として明らかに穴が多い。
プロットの面白さを評価し、それと相殺してこの評価 |
No.12 | 4点 | 占い師はお昼寝中- 倉知淳 | 2018/10/11 20:35 |
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端的に言えば「幻獣遁走曲 猫丸先輩のアルバイト探偵ノート」とほぼ同様の評価となる。
著者の日常の謎系作品は、真相が飛躍する衝撃とリアリティの絶妙なバランス、それを解明するプロセスの論理性の高さが大きな優点。 しかし、本作は後者を半ば放棄しており、それでいて前者も真相を容易に察することができる点で、全く水準に達していないと言わざるを得ない。 4点の下位 |
No.11 | 4点 | 幻獣遁走曲 猫丸先輩のアルバイト探偵ノート- 倉知淳 | 2018/03/16 10:33 |
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著者の日常の謎系作品は、真相が飛躍する衝撃とリアリティの絶妙なバランス、それを解明するプロセスの論理性の高さが特色であるが、そのいずれにおいても「猫丸先輩の推測」はもちろん、「猫丸先輩の空論」にも遠く及んでおらず、4点の下位 |
No.10 | 6点 | ほうかご探偵隊- 倉知淳 | 2018/01/12 20:55 |
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作品冒頭に提示される不可解な謎と、その解明プロセス、二転三転する真相に至るまで、隙のない完成度を誇り、大人の読書に耐え得る作品。
想定している読者層からやむを得ないのだが、スケールはやや小粒であり、プロットのごく一部に無理も感じられることから、この評価に止めるが、一読の価値のある佳作であることは間違いない。 挿入されたイラストが非常にかわいらしい点も特筆したい |
No.9 | 5点 | 壺中の天国- 倉知淳 | 2017/01/10 19:54 |
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犯行プロセスと登場人物の丹念な描写を通じて、現代人の精神の病理(壺中の天)を抉り出した構成力と筆力は高く評価。
一方で本作は、「限られた登場人物の中から犯人を消去法的に特定する」通常のプロットではなく、「不特定多数の中から突如犯人を特定する」異色のプロットを採用しており、それを成立させた力業と力量は認めるものの、ミステリとしては明らかに裏目に出ていると言わざるを得ない。 こうしたプロットを採用した場合には、犯人特定のロジックが余程に強固でなければ、読者の納得感やカタルシスが得られない。 その点、本作は各所に張り巡らされた伏線を巧みに活かしているものの、やはりそのロジックは弱い。 非常によく考えられた意欲的な作品であり、1個の読物としての完成度も高いだけに、極めて惜しい作品 |
No.8 | 5点 | 日曜の夜は出たくない- 倉知淳 | 2016/09/20 19:14 |
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各処で指摘されている「空中散歩者の最期」におけるメイントリックの破綻はご愛嬌として、各短編とも水準には達している。
ただ、著者の作風である「真相の飛躍と、その論理性・納得感の高さ」において、代表作(と私が勝手に評価している)「猫丸先輩の推測」には遠く及んでおらず、この評価。 読了順が逆だっただけに、後日の作者の飛躍を感じさせる印象 |
No.7 | 4点 | まほろ市の殺人 春- 倉知淳 | 2016/07/11 20:30 |
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当代を代表する一流の作家を揃えながら、あまりにも冴えない作品ばかりの本シリーズ。
本作に関しては、軽妙なストーリーテリングとの親和性があるとは言うものの、やはりトリックが無理筋と言わざるを得ない |
No.6 | 5点 | 猫丸先輩の空論 超絶仮想事件簿- 倉知淳 | 2016/05/10 10:20 |
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前作の「猫丸先輩の推測」は、真相の飛躍がリアリティと衝撃の絶妙なバランスを保持している点を高く評価した。
一方、本作は真相が予測可能な範囲にとどまり、その衝撃を大幅に減じている点で、凡庸なデキと言わざるを得ない |
No.5 | 5点 | なぎなた- 倉知淳 | 2016/03/01 16:41 |
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メタミス的なアプローチを活かした「こめぐら」より本格テイストを増し、嗜好にはフィットしているが、その分だけ小粒感が増し、インパクトでは見劣りするとも言える。
ユーモアあふれる筆致の楽しさとリーダビリティの高さは「こめぐら」と同様。 両作とも最低限の水準にはあるものの、作者の本来の力量から期待する水準には遠く及んでおらず、五十歩百歩の印象 |
No.4 | 5点 | こめぐら- 倉知淳 | 2016/02/25 16:04 |
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メタミス的なアプローチを活かした軽妙なバカミスが並ぶ。
ユーモアとリーダビリティの高さには見どころがあるものの、ミステリとしての骨格は至って小粒 |
No.3 | 7点 | 猫丸先輩の推測- 倉知淳 | 2016/01/08 20:09 |
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まず「推測」というアプローチ自体が強烈な奇想。
一見、作者の開き直りや稚気であるように見えて、後期クイーン問題「作中で探偵が提示した解決が真の解決であるか、作中では証明できないこと」に関する秀逸な回答とも言える。 猫丸先輩の推測には高い納得性があり、推測される真相がもたらす衝撃も十分。 本作のプロットは、真相が飛躍しすぎていると納得性に欠け、真相の飛躍が足りないと面白みに欠けるが、実に絶妙なバランスを保持しており、作者の力量の高さは疑い得ない。 ほのぼのとしたユーモアあふれる作風は、長編では軽量さが目に付くところ、短編では軽妙さと斬れ味が相まって完全にフィット。 登場人物に悪人が皆無で、爽やかな読後感も素晴らしい。 短編、しかも日常の謎系としては満点に近い評価 |
No.2 | 7点 | 過ぎ行く風はみどり色- 倉知淳 | 2015/02/23 10:41 |
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提示される謎の不可解さは強烈。
メイントリックは複数の材料を組み合わせたもので、幸運に支えられたご都合主義、ある登場人物の言動が釈然としない、解明の手がかりが少ないといった難点はあるものの、ミスリードとしては巧妙。 一方、犯行自体は無計画かつ突発的なもので、綱渡りのトリックが犯人を隠蔽している中、2番目の犯行が犯人を特定する決定的な材料となっており、プロットとしては脆弱と言わざるを得ない。 |
No.1 | 7点 | 星降り山荘の殺人- 倉知淳 | 2012/03/18 11:29 |
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シンプルだが斬新なメイントリックに賭けた作品。
ステレオタイプなキャラクター造形、シンプルで一本道のプロット、軽妙な語り口等で、エンタテインメントに徹しリーダビリティを高めたことも奏功した。 作者の狙いは成功していると評価できる。 ただロジック、特にアリバイ・心因的要素・警報装置等の取扱に違和感が残り、本格パズラーとしての脆弱性が否定できない点からギリギリの7点に止まった |