皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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蟷螂の斧さん |
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平均点: 6.10点 | 書評数: 1687件 |
No.6 | 6点 | 推理小説代表作選集1977年版- アンソロジー(国内編集者) | 2019/03/26 18:08 |
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日本推理作家協会賞の短編受賞作と、その年1年間に発表された代表作選集(1977年版)。現在は、「ザ・ベストミステリーズ 推理小説年鑑」として発表されています。
心霊写真(佐野洋)塗りつぶした顔(戸板康二)視線(石沢英太郎)曲った部屋(泡坂妻夫)瀬戸の夕凪(山村正夫)相似の部屋(鮎川哲也)拳銃(笹沢左保)背負って走れ(陳舜臣)水子地蔵の樹影(夏樹静子)神風の殉愛(森村誠一)復讐は彼女に(小泉喜美子)海軍某重大事件(小林久三)みぞれ河岸(都筑道夫)汽笛が響く(南部樹未子) 6点以上の評価の作品。 心霊写真(佐野洋)・・・行方不明の夫の心霊写真を持っている妻。その写真の付近を掘ると夫の死体が発見された。心霊写真は妻の工作のようだが。7点 視線(石沢英太郎)・・・短編部門受賞作。銀行強盗にあった男性行員の視線があるところへ向けられた。6点 曲った部屋(泡坂妻夫)・・・「亜愛一郎の狼狽」に収録。傾いたマンションの部屋で死んでいた男。解決のヒントは傾きにあった。8点 相似の部屋(鮎川哲也)・・・「マーキュリーの靴」に収録。容疑者は犯行現場から遠方のマンションにいたというアリバイ証言がある。しかし現場近くのマンションを工作し、そこにいたようだが。7点 水子地蔵の樹影(夏樹静子)・・・「重婚」に収録。昔、関係のあった女性とそっくりな娘と出会う。もしかして自分の子供?。7点 |
No.5 | 6点 | THE密室- アンソロジー(国内編集者) | 2018/10/13 15:06 |
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①「犯罪の場」飛鳥高 4点 物理的密室であまり面白くはなかった
②「白い密室」鮎川哲也 6点 探偵の推理部分が伏線であれば高評価。推理が唐突に感じられた ③「球形の密室」泡坂妻夫 8点 発想が非常に面白い ④「不透明な密室」折原一 7点 これも発想がいい ⑤「梨の花」陳舜臣 4点 物理的密室 ⑥「降霊術」山村正夫 5点 既存のパターンで目新しいものはなかった ⑦「ストリーカーが死んだ」山村美紗 6点 なるほど! 物理的密室は、よほどのことがない限り高得点はつけ辛い。 |
No.4 | 6点 | 恐怖特急- アンソロジー(国内編集者) | 2018/03/10 19:17 |
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(再読)22篇の短篇アンソロジー。うち8篇のあらすじ。
①「大望ある乗客」中井英夫~バスに乗った乗客5人、彼らはそれぞれ殺人計画を実行するために目的地を目指していたが・・・(どんでん返し) ②「人の顔」夢野久作~幼子は天井や壁に人の顔が見えるという。ある日、父親にあそこにお母様の顔が見えるという。そして隣に・・・(無邪気な証言) ③「死の投影」大下宇陀児~死刑囚の画家Bの告白。師匠を殺害した罪であったが、実はその前に2人を殺害していた。何故殺害してしまったのか・・・(1枚の絵にその因果関係が) ④「箱の中のあなた」山川方夫~女は旅の男に写真を撮ってくれと依頼される。もっといい景色の所があると案内したところ男に襲われる。彼女は男を崖から突き落した。彼女の部屋にはその男の写真が飾られている。更に・・・(サイコ系) ⑤「乗越駅の刑罰」筒井康隆~小説家は駅員に無賃乗車を咎めらた。彼の弁明の言葉尻をとって駅員はいびり出す。もう一人の駅員が来て子猫のスープを作り始めた。金をつかませ逃げようとするが、更に怒りにふれ猫スープを飲まされてしまう。そこへ子猫の親と名乗る猫男が現れた・・・(不条理) ⑥「エナメルの靴」佐野洋~デパートの火災に巻き込まれた妻。身元確認はエナメルの靴を履いていたということだけであった。妻の妹は下駄箱にエナメルの靴を発見した・・・(本格的) ⑦「剃刀」志賀直哉~剃刀の名人である芳三郎は風邪をおして仕事場に立った。しかし、手元が狂い客の顔を傷つけてしまった。血を見た芳三郎は・・・(ホラー系) ⑧「さよなら」山田風太郎~昭和30年、ある町でペスト菌を持った鼠が発見され住民は次々と逃げ出した。しかし、町は汚染されていなかった。ある人物がペスト菌を鼠の死骸にまぶしただけであったのだ。退職した刑事は、この街並みが以前火災で消失した街並みにそっくりなことに気づく。当時、火災の中、男女二人組の犯人を捕らえた。そして女は発狂していたことを思い出した。ある男は何の為にペスト菌を・・・(愛の物語) 「二癈人」江戸川乱歩は「江戸川乱歩傑作選」で書評済み。ベストは③「死の投影」かな。 |
No.3 | 7点 | 文豪の探偵小説- アンソロジー(国内編集者) | 2017/11/21 10:30 |
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江戸川乱歩氏の前の時代、明治から大正の作品集です。よってミステリー要素を含んだ純文学といって良いかも。現在のカテゴリーに無理やり当てはめてみました。敬称略、( )は採点。
「途上」谷崎潤一郎・・・プロバビリティの殺人(5) 「オカアサン」佐藤春夫・・・安楽椅子探偵(6) 「外科室」泉鏡花・・・衝撃の動機・ホワイダニット(8) 「復讐」三島由紀夫・・・ラストの一行・ホラー系(7) 「報恩記」芥川龍之介・・・ホワイダニット(8) 「死体紹介人」川端康成・・・猟奇風・奇妙な味(7) 「犯人」太宰治・・・どんでん返し(7) 「范の犯罪」志賀直哉・・・リドルストーリ―(8) 「高瀬舟」森鷗外・・・社会派(8) ミステリー要素だけを評価すれば、もっと低くなるのですが、さすが文豪と呼ばれているだけのことはあります。読ませます(笑)。 |
No.2 | 7点 | 世界短編傑作集3- アンソロジー(国内編集者) | 2016/11/30 21:53 |
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「キプロスの蜂」アントニー・ウイン~(7点)車中で女性が死亡。猛毒のハチに刺されたあとが見つかる。発表は1925年で、当時ではかなりショックのあるトリックであったと思う。
「堕天使の冒険」パーシヴァル・ワイルド~(6点)あるクラブ。ブリッジで勝ちすぎるメンバーに疑惑を抱いた主人公。彼はいんちきを暴くが逆襲にあってしまう。実話に基づくものらしい。トリックよりストーリーが楽しめた。 「茶の葉」エドガー・ジェプスン& ロバート・ユーステス~(7点)トルコ風呂で男の刺殺体が発見された。直前、一人の男が風呂から上がり、他には誰もいなかった。そして兇器も発見されず。本作が有名なトリックの元ネタだったとは・・・。 「偶然の審判」アントニイ・バークリー~(9点)Aにチョコレートの試作品が届く。偶然居合わせたBは不要であれば欲しいという。Bは妻Cと賭けをして負けたのでチョコレートをプレゼントすることになっていた。「毒入りチョコレート」の元ネタ。登場人物が少ないのにどんでん返しがある。単純で素晴らしい。長編「毒入りチョコレート」は多重解決がメインとなり、本トリックがかすんでしまっている印象。長編は、多重解決(どうでもいい推論)アレルギーに陥った作品(苦笑)。 「密室の行者」ロナルド・ノックス~(8点)修行者が密室(体育館)の中のベッドの上で餓死。周りには食料があったのに。後発の小説で本作の名はよく目にしていたが、内容は知らなかった。ビックリ仰天。 「イギリス製濾過器」C・E・ベチョファー・ロバーツ~(4点)教授が密室(窓は開いている)で濾過器に入った毒で死亡。これがトリック?というレベル。 「ボーダー・ライン事件」マージェリー・アリンガム~(5点)チンピラが射殺される。死体の左右には夜警がいた。よって犯人は逃走できない。犯人は近くのカフェにいたが、そこからは射殺することはできない。どちらかというと脱力系。 「二壜のソース」ロード・ダンセイニ~(7点)男と一緒にいた少女が行方不明になった。男は家から外出することもなく、毎日薪をつくっているだけ。ダール氏(後発)の作品集を先に読んでいるため、「奇妙な味」に免疫ができてしまっている。よって驚きがなかったことが残念。 「夜鶯荘」アガサ・クリスティー~(6点)アクリスはディックに好意、しかしジェラルドと結婚。彼女は夢でディックがジェラルドを殺す夢を見る。著者らしいサスペンス。 「完全犯罪」ベン・レイ・レドマン~(6点)完全探偵(すべての犯罪を暴ける)と自称するが、実は最近の事件で犯人を誤って逮捕してしまったか?。屁理屈?論理的?なところが面白い。 |
No.1 | 4点 | フランス・ミステリ傑作選(2)心やさしい女- アンソロジー(国内編集者) | 2013/04/08 12:23 |
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(タイトル・女22)フランス・ミステリの短編集(10編)全体的にもう少し毒気があるといいな、といった感じです。「埋葬爆弾」(ジャン・フランソワ・コートムール)浮気妻とその相手大統領の暗殺(飛行機の爆破)を計画するが・・・「心やさしい女」(カトリーヌ・アルレー)家に押し入ったならず者が死亡してしまい、女はバラバラにして埋葬することを計画・実行するが・・・「金の斧」(ガストン・ルルー)殺人のあった夜、夫は斧と洋服を洗っていた。犯人と思われるが・・・以上3編は楽しめました。 |