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蟷螂の斧さん
平均点: 6.09点 書評数: 1660件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.34 5点 境界線- 中山七里 2023/07/26 12:02
~気仙沼市の海岸で、女性の変死体が発見された。運転免許証から遺体は宮城県警捜査一課警部・笘篠の妻と判明。しかし、彼女は7年前の東日本大震災で津波によって流され行方不明であった。遺体は妻ではなく別人であった。そのような中、新たな他殺体発見された。顔を潰され手の指は切断されていた。二つの事件の関連性は? ~
映画化された「護られなかった者たちへ」(未読)の続編とのこと。社会派に分類されるのでしょうか、どんでん返しはありません(苦笑)。坦々と捜査が進みます。私の中では社会派作品は松本清張氏で終了しており、よほどの作品でない限り、心を打たれることはもうないかも・・・

No.33 5点 復讐の協奏曲- 中山七里 2021/09/18 07:46
御子柴弁護士は容疑者となった事務員の洋子が自分と同じ出身地であることを知る。何故、洋子が自分に近づいてきたのか?・・・が裏テーマ。事件も背景も全体にあっさり系、軽めの展開でした。お得意のどんでん返しも不発?次作に期待。

No.32 5点 テロリストの家- 中山七里 2021/06/29 19:36
「BOOK」データベースより~『国際テロを担当する警視庁公安部のエリート刑事・幣原は、イスラム国関連の極秘捜査から突然外された。間もなく、息子の秀樹がテロリストに志願したとして逮捕された。妻や娘からは仕事のために息子を売ったと疑われ、組織や世間には身内から犯罪者を出したと非難される。公安刑事として正義を貫くか、父としてかけがえのない家族を守るか、幣原の選択とは―。衝撃の社会派長編ミステリー!』~

仕事優先の父親、その家族との断絶の物語。読み易いがミステリー度は薄い。途中のサプライズは、昨今かなり取り入られているパターン。

No.31 5点 隣はシリアルキラー- 中山七里 2021/05/31 18:23
裏表紙より~『神足の悩みは、深夜になると隣室から聞こえてくる不気味な物音。何かを切断しているような…もしかして死体?時を同じくして、近隣で女性と思われる死体の一部が発見されたという事件を知った神足は、隣人の徐が犯人なのではという疑いを持つ。そんなある日の深夜、隣室から何かを梱包するような音に続いて、徐が外出する音が聞こえた。気になった神足はそのあとをつけるが―。』~
主人公にはある秘密があり警察に匿名でしか電話できなない。警察も中々動いてくれない。やがて主人公の想い人が狙われる。お得意のどんでん返しの切れ味はなかった。

No.30 6点 毒島刑事最後の事件- 中山七里 2021/05/28 16:19
裏表紙より~『刑事・毒島は警視庁随一の検挙率を誇るが、出世には興味がない。犯人を追うことに何よりも生きがいを覚え、仲間内では一を話せば十を返す能弁で煙たがられている。そんな異色の名刑事が、今日も巧みな心理戦で犯人を追い詰める。大手町の連続殺人、出版社の連続爆破、女性を狙った硫酸攻撃……。捜査の中で見え隠れする<教授>とは一体何者なのか?かつてない強敵との勝負の行方は――。手に汗握るノンストップミステリ!』~
4つの事件が発生し犯人は逮捕される。しかし、その背後に「教授」と名乗る人物が見え隠れする。証拠もなく殺人教唆の罪で逮捕できるのか?。刑事毒島には犯人を自白させるしか手段がない。彼の毒舌は調書にそのまま書けない(笑)。

No.29 6点 笑え、シャイロック- 中山七里 2021/04/20 18:01
裏表紙より~『入社3年目の結城が配属されたのは日陰部署の渉外部。しかも上司は伝説の不良債権回収屋・山賀。憂鬱な結城だったが、山賀と働くうち彼の美学に触れ憧れを抱くように。そんな中、山賀が何者かに殺され――。』

~半沢直樹に対抗?と思ったら、出版社よりの依頼(金融もの)だったそうです。当然、殺人も入れてとのことですが、ミステリーとしての殺人はオマケ程度でした(苦笑)。やはり、メインは金融機関の裏方業務である債権回収の物語にあります。回収のアイデアは現実にあるかも?と思わせるようなレベルで結構楽しめました。

No.28 6点 ふたたび嗤う淑女- 中山七里 2020/07/23 10:38
「BOOK」データベースより~『類い稀な話術で唆し、餌食となった者の人生を狂わせる―「蒲生美智留」が世間を震撼させた凶悪事件から三年。「野々宮恭子」と名乗る美貌の投資アドバイザーが現れた。国会議員・柳井耕一郎の資金団体で事務局長を務める藤沢優美は恭子の指南を受け、資金の不正運用に手を染めるが…史上最恐、完全無欠の悪女ミステリー!』~

野々宮恭子が議員の柳井を狙う目的は金銭や復讐ではないのか???。このあたりが不気味ではあった。どんでん返しは、まったく考えてもいないことだったが、第一作よりは小粒。まあ、ある人物の活躍が目立ってはいたのだが・・・(笑)

No.27 7点 嗤う淑女- 中山七里 2020/07/23 10:32
小説なんぞ、それぞれの専門分野の方が読めば、穴があるのは承知の上。そういう意味では第2章などは穴だらけ(笑)。しかしエンタメ系に関しては細かいことは全く気にしない。楽しめるかどうかの問題。といっても第1章は嫌悪感のある性的虐待を扱っており、読者を選ぶ題材であることには違いない。まあ、ヒロインがエンタメ系らしい悪女で魅力的、そしてどんでん返しが・・・といったところ。

No.26 6点 作家刑事毒島- 中山七里 2019/02/11 09:34
(ネタバレあり)
5篇の短篇集。ミステリー的には、完全なアリバイものと意外な犯人ものが楽しめた。共犯は好みではないが、共犯を逆説的な観点から捕らえた物語は新鮮に感じられた。また、サイン本の仕組みや、初版、第2刷版が作家にとってどういう意味を持っているのか等の専門的なディテールから真相を導き出す作品もあり、勉強になりました。なお、本作は「毒島」の名の通り、全篇ブラックユーモアに満ち溢れています。ある女性書評家が登場。彼女は書評なるものを始めたが至極簡単で、自己顕示欲を満足させられる。現実の世界では自分の意見を聞いてくれる者など誰もいない。しかしネット書評でベストセラーをこきおろす時だけは世界の女王になったような優越感を味わうことができる。点数をつけるのは裁判官になったような陶酔を覚える。しかも図書館から借りているので投資額はゼロだ。耳が痛い(爆笑もの)。

No.25 6点 能面検事- 中山七里 2019/01/31 16:44
新しいキャラクター「不破検事」の誕生。彼は何事にも表情を変えない能面検事と言われている。他シリーズの「御子柴弁護士」(沈着・冷静)を更にバージョンアップしたような感じですね。こちらもシリーズ化されることが決定しているようです。本作は不破検事のキャラクターを前面に押し出している点や、検察官補佐の惣領美晴の成長物語でもあるので、お得意のどんでん返し度は「まあ、まあ」といったところです。ファンとしては被告人「有働さゆり」(カエル男に登場)、弁護士「御子柴礼司」、検事「不破俊太郎」の物語を読みたい!!!(笑)。

No.24 8点 TAS 特別師弟捜査員- 中山七里 2019/01/15 15:18
~「ねえ。慎也くん、放課後ヒマだったりする?」演劇部のアイドル・楓から突然声をかけられたことで、慎也の胸は高鳴った。その彼女が校舎の3階から転落死してしまった。慎也は、楓が所属していた演劇部に入部し、楓の周辺人物に接触を図ってゆく。~

題名からは想像もつかない、コテコテの青春ミステリーです。事件よりも演劇にのめりこんでしまう主人公に好感を持ってしまいました。転落死は、事件ではなく実は事故であったというハッピーエンドを望んでしまっている自分がいました(笑)。著者が、そんな甘っちょろい結末を用意するはずはないのですが・・・。他の書評で、触れている人はいないですが、私はハウダニットとその大伏線に感心し高評価としました。

No.23 7点 逃亡刑事- 中山七里 2018/08/03 21:27
千葉県警のアマゾネスと呼ばれる女警部・高頭冴子。ニューヒロイン登場といったところ。殺人犯を目撃した少年を守るため、犯人から逃げ回るという単純明快な活劇。あんな○○○はいなだろうという突っ込みどころはあるものの、そんなことは無視(笑)。何しろ強い、180cmで美人。ラスト一行が泣かせる。で+1点。

No.22 5点 ワルツを踊ろう- 中山七里 2018/07/25 14:27
過疎の村おこしのため”ワルツを踊る”という話か?と思っていました。途中までは、著者らしくない題材という感じを受け、読み終わってみれば、うーん長編での題材ではなかったとの印象です。やはり、短編向きのどんでん返しか?。

No.21 8点 翼がなくても- 中山七里 2018/07/16 13:45
御子柴弁護士シリーズの番外編。この手の青春スポ根ものは涙腺がどうしても緩みがち。よってプラス1点。まあ、バラエティに富んだ作品を提供していただき感謝感激(笑)。

No.20 7点 闘う君の唄を- 中山七里 2018/07/07 13:39
新米の幼稚園保育士・凛が保護者会との軋轢を乗り越え、その成長過程を描いた物語と思いきや、後半、突然それが反転するのです。「その女・・・」あたりからの流行りとなった?(笑)。著者の作品群では少し毛色の変わった作品でした。ラストはほろりとさせてくれました。

No.19 8点 悪徳の輪舞曲- 中山七里 2018/05/29 12:28
このシリーズに外れなし(笑)。
著者コメントの抜粋です。~『全ての男性にとって母親はアキレス腱である。弁護士にとって最初の敵は依頼人である。依頼人がひた隠しにしている事実を知った上でなければ十全な弁護ができないから、まず依頼人と対決しなければならないのだ。最悪の弁護士・御子柴礼司の次なる依頼人を母親としたのは、そうした必然によるものだった。二重の意味で思うように操縦できない依頼人は、御子柴にとって最悪の相手でもある。今作のテーマもとびきりデンジャラスなものだ。殺人の系譜とも呼ぶべき禁じられた主題だが、仮に禁忌であろうが、触れなければ語れない物語は確実に存在するのだ。とは言え、この小説はエンターテインメントである。小難しい問題はひとまず脇に置いて、ページを開いた方々には眠れない夜をお約束しよう。悪徳は輪舞曲(ロンド)のように旋律(戦慄)を繰り返す』~


著者を好きな理由は、やはりエンタメに徹するという考え方ですね。そういう意味では、「カエル男」に登場する有働さゆりを弁護する御子柴礼司の物語を期待しているところです。「連続殺人鬼カエル男ふたたび」では、既にそういう設定になっているので・・・。

No.18 7点 連続殺人鬼カエル男ふたたび- 中山七里 2018/05/17 10:59
「連続殺人鬼カエル男」(2009)の続編。本作は9年ぶりとなりますが、物語は前回事件より10か月後です。目次では「爆ぜる」「溶かす」「轢く」「破砕」とグロさはバージョンアップしています(笑)。どんでん返し度はそれほどでもなかったのが残念。というより、前作からの流れからして結末はこれしかなかった?。エンタメに徹していますが、刑法第三十九条にも触れています。別シリーズの主人公・御子柴弁護士が「有働さゆり」の担当弁護士として登場するサービスもありました。ということは、「カエル男みたび」?で御子柴弁護士、有働さゆりをメインにした次作があるのか?・・・。

No.17 6点 ネメシスの使者- 中山七里 2018/02/01 21:31
初老の女性の刺殺体が発見され、現場には「ネメシス」という血文字が残されていた。彼女は通り魔事件の犯人の母親であった。「ネメシス」とはギリシア神話に登場する復讐の女神である。被害者家族による復讐劇なのか?・・・。死刑制度、被害者家族と加害者家族の問題を扱った社会派色の強い作品。一筋縄で終わらない点は著者らしいが、そろそろエンタメ系の作品を読んでみたい気もする。

No.16 5点 ドクター・デスの遺産- 中山七里 2017/11/10 15:08
刑事犬養隼人シリーズの第4弾。臓器移植、子宮頸がんワクチン問題に続き、今回は安楽死問題。~警視庁に少年から「悪いお医者さんがうちに来てお父さんを殺した」との通報が入る。ドクター・デスという安楽死を生業とする人物の存在が・・・。~ミステリーとして「どんでん返し」はありますが、読後はミステリーより問題提起の方がウェイトが大きいとの印象。よってマイナス1ポイント。最近著者の作品は「社会派」が多い(苦笑)。

No.15 5点 セイレーンの懺悔- 中山七里 2017/07/19 18:38
入社2年目の女性TVレポーターの成長物語でもあり、TV報道の在り方について批判的立場での物語でもありました。全体的にもっと毒々しさがあっても良かったのかなとの印象です。ラストの宮藤刑事の一言に変な感動をしてしまいました(苦笑)。

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蟷螂の斧さん
ひとこと
ミステリーは、作家中心では読んでおらず、話題作や、ネットでのお勧め作品を読んでいます。(2013.6追加~本サイトを非常に参考とさせてもらっています。現在は、読後、類似なトリック・モチーフの作品を探した...
好きな作家
ミステリー以外で「石川達三」、短編で「阿刀田高」、思想家で「荘子」
採点傾向
平均点: 6.09点   採点数: 1660件
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