海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

take5さん
平均点: 6.58点 書評数: 361件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.321 8点 わたしたちに翼はいらない- 寺地はるな 2025/01/04 11:42
登場人物が、
なぜそのような行動をとるのか?
それはどの様に認知されるのか?
認知の変化は何がもたらすのか?

それぞれが学生時代を引きずって
生きている様が筆力高く描かれる
人生の機微こそミステリーです。

寺地はるなさんは人間を描いたら
名人だなと思う次第であります。

No.320 6点 後悔と真実の色- 貫井徳郎 2025/01/03 13:40
500ページを一気に読める
リーダビリティの高い警察物
カットバックの手法で犯人の
狂気が明らかになってきます

フーダニットで最後まで押す
勢いはありますがこの作者、
女性の描き方がご都合主義で
デビュー作品の書評に書いた
ように女性読者に受けなそう。
本庁捜査一課がホームレス迄
一気に行きます?三万でもつ?
あ、私男性故に一気読みです笑

No.319 6点 正しい愛と理想の息子- 寺地はるな 2025/01/02 11:13
「ああ、そうか。
とつぜん視界が開けた。
すべての愛は、正しくない。
正しい愛などというものは、
この世に存在しない。」

タイトルからの反転。主人公ハセが、
詐欺まがいの人生から気づく境地に、
私にも作品から気だるさ曖昧さと共に
やはり気付かされる事がある様です。

No.318 6点 慟哭- 貫井徳郎 2024/12/31 10:25
リーダビリティがかなり高い娯楽作
第4回鮎川哲也賞を近藤史恵『凍える島』
に敗れて獲れなかったデビュー作品。
叙述物としても優れていますし、警察物
社会派としてカルト宗教も描きます。

難癖をつけるとすると、主人公と女性の
遣り取りが、いかにも男視点で書かれ、
仕事の苦労やら背負ってる物の苦労やら
胡散臭いなあと女性読者や若い人に全く
受けないだろうなと、思う次第です。

No.317 8点 川のほとりに立つ者は- 寺地はるな 2024/12/29 16:20
「川のほとりに立つ者は、
水底に沈む石の数を知り得ない。」
※作中『夜の底の川』より

多くの物語がそうである様に、
傷ついた人々が他者に救われ、
そして再生していく。
そんな展開を希望する…

その思い込みこそが罪かもしれない。
作者は作中でそう語ります。

人は誰でも物事を一人称で捉えます。
ここでいう物語は現社会と同意です。
私たちはこの物語を読みながら、
主人公が、勇気を出して差し伸べた手を
振り払われた瞬間の、
痛いほどの恥ずかしさを、
いたたまれなさを追体験するのです。

見えている世界を反転させた時、
痛みと共にそれでも必要だったと
思える読後感を得られました。
読書の可能性を感じる222ページ✨

No.316 3点 死体の汁を啜れ- 白井智之 2024/12/29 12:31
はらわたといけにえの間の作品
いけにえには遠く及ばず、且つ
はらわたにも及ばない私的判断
グロがどうこうという前の問題
へぇというカタルシスもなくて
他の方とかけ離れた評価です。

No.315 7点 タイムマシンに乗れないぼくたち- 寺地はるな 2024/12/27 14:03
人はなぜ同調圧力を疑いながら
そこに屈してしまうのだろう?
人の心の機微を繊細に描く作品
全ての短編が心に残る200ページ
河合隼雄物語賞受賞作者による
素晴らしい物語の数々でした。

No.314 6点 エレファントヘッド- 白井智之 2024/12/22 16:25
『名探偵のいけにえ』の衝撃を
更に追求したらこうなったか!?

グロテスクです。前作よりも更に。
タイムリープという特殊設定で、
パズラーとして多すぎる伏線を
回収しまくりのために描写過多。
真相の一つ前のダミーも上手で、
ロジックを追求したのは分かります。
作者が賢いのも分かります。しかし
これを続けていくといずれ作者が
シスマを投与しないと書けなくなる
という危惧があります。
好みの問題でこの点数御免なさいね。

No.313 8点 今日のハチミツ、あしたの私- 寺地はるな 2024/12/22 09:36
「もし明日人生が終わるとしたら、
 きっとわたしは、喜ぶ。」
という主人公の碧の物語。
ラスト、
「まぶしく光っている方向を目指して、
 ゆっくりと自転車を漕ぎ出した。」
まで、
こうやってネタバレしても構わないほと、
綺麗事とは対極の人物描写。
「あさのはちみつ」がキーアイテムで、
誰の?何処の?何故そのネーミング?
これらが230ページあまりで見事に
描き切られます。
書き下ろし。
私も今朝ははちみつりんごトーストを
食べました。

No.312 6点 ラプラスの魔女- 東野圭吾 2024/12/15 10:25
6年前に読んでいた事すら忘れ、
筋を最初から楽しむという失態。
設定がSFを含むところが最高に
至らない理由ですかね。しかし
相変わらずリーダビリティの鬼。

この世の構成要素として欠けて
いい存在は何一つないという事
流体力学や社会学で証明されました✨

No.311 6点 可燃物- 米澤穂信 2024/12/08 15:37
県警捜査一課の葛班が活躍する短編集
崖の下・・・雪山での滑落遭難もの
ねむけ・・・みんな眠い、やや強引
命の恩・・・もっと悲惨を想像した
可燃物・・・反転力が弱いので残念
本物か・・・反転よしパスタ無意味

全て50ページほどであっという間に
2時間かからず読めますが、米澤氏は
他にも良作があるのでそちらをどうぞ
短編集なら『満願』の方でしょうか?

No.310 7点 クラバート- オトフリート・プロイスラー 2024/12/08 11:58
ファンタジー要素の児童文学ですが、
全ての年代に耐えうるドイツの傑作。
『大泥棒ホッツェンプロッツ』の作者
オトフリートプロイスラーの作品です。

水車場見習いになった少年クラバート
親方から魔法を習う中で見つける矛盾。
やがて来る親方との生死をかけた対決。

その時、一人の少女の愛が必要となり、
クラバートは、どう気付いてもらうか。

ミステリーはそのくらいですがとにかく
名作なので忘備録として紹介したという
極めて私考的志向な思考ですみません。

No.309 8点 テスカトリポカ- 佐藤究 2024/11/17 17:28
冒頭からメキシコの乾いた風を感じ、
川崎の湿った闇を思う、550ページ。
臓器売買を巡るカルテルの群像劇で、
かつアステカ文明の歴史を元にする
血を血で洗う抗争の凄まじさが圧巻。

正直、
ミステリーなのかは分かりませんが、
6時間も一気に読ませる筆力と熱量。
人間の内に入って描くそのスタイル
時代も場所もちがいますが、例えば
『同志少女よ敵を撃て』が近いか?
そう感じましたが皆様如何でしょう

No.308 7点 鼓動- 葉真中顕 2024/11/10 13:13
「違う。だってその絶望は、あなたのものではないんだから。」

葉真中顕の社会派ミステリー。
今回は引きこもりを主として、
周辺の問題を複数えがきます。

300ページ強を一気読みの、
筆力は新作も相変わらずです。

カットバックの手法は、叙述の
トリックには使われませんが、
人称や時間を越えて収束する様
リーダビリティの元となります。

No.307 5点 バイバイ、サンタクロース 麻坂家の双子探偵- 真門浩平 2024/09/01 16:53
本サイトから評価の高い作品を
拾い読みすることがありますが
私には久しぶりに合わず残念。
小3から小6絶対ない小学生像
言葉遣いラインの扱いも同様で
事件の扱いもオー・ヘンリーを
反転させてとんでも科学らしく
はまれませんでしたすみません
最終章の人物の反転も必要感--
まとめるとシチュエーションに
難ありと思うところです。失礼

No.306 6点 オクトーバー・リスト- ジェフリー・ディーヴァー 2024/08/25 11:51
ジェフリーディーバーの作品群は、よく
ジェットコースターに例えられますが、
この作品では私はジェットコースターに
乗り遅れてしまった感じがしてしまい、
一気読みできませんでした。他のかたが
説明されている通り、時間を遡っていく
構成なので、毎章の最後で「あの事か」
と小さい伏線回収が続きます。ジェット
コースターが一気に走らないんですよね

技工は素晴らしいですがもう一度頭から
読んだり後ろからさかのぼって読んだり
する気力が夏の終わりの今はなくて、只
何重にも楽しみ尽くしたい方はよろしい
のではないかと思います。どうでしょう

No.305 6点 死亡告示 トラブル・イン・マインドII- ジェフリー・ディーヴァー 2024/08/22 09:35
ジェフリーディーバーの短編集です。
ライム登場の『死亡告知』は大半の方
1ページで落ちが分かるはずですよw
中編小説の『永遠』はまあまあのでき
二転三転がディーバーっぽかったです
そして数学探偵のキャラも立ってます

No.304 8点 ぼくらは回収しない- 真門浩平 2024/08/18 18:35
作者はまだ25歳、東大大学院在学中という
秀才で天才ですね。作者は、速水士郎かも
また吉田陽香かもしれない、全て登場人物
ですが。さて、それ位感嘆に値する作品。

一番は『街頭インタビュー』を推します。
わずか35ページであの反転は驚愕します
ミステリーズ新人賞のルナティックより、
個人的には街頭が一番、カエル殺しが二番
全5編の短編ですが、伏線回収しないw。
タイトルの意味を深読みするとシニカルに
過去の本格作品へのアンチテーゼかしら。
視野の広がる豊かな読書でしたお勧めです

No.303 7点 ハンティング・タイム- ジェフリー・ディーヴァー 2024/08/18 15:04
懸賞金ハンター、コルターショウシリーズ
ジェフリーディーバーらしい反転が最後に
あり、安心の読み応え。ライムシリーズの
それも初期に比べるとびっくり具合はやや
劣りますが、本作はそれより殺し屋二人組
そして母子の人物像の方に見所が多いです

後書きに、本国ではライムシリーズの次が
『ウォッチメイカーズハンド』という事で
そちらの方も気になります。早く読みたい!

No.302 8点 その日のまえに- 重松清 2024/08/17 13:49
ここに書評をあげている自分にとって、
死が一番のミステリーだなと改めて思う
そんな一冊。七篇の短編を通して考える
死とは何か。連れ合いの死、親の死など
これからリアルに向き合うであろう死を
重松清さんの与える物語で想像しました

初めの四篇はつながりのない佳作としか
思っていなかったところに、残り三篇で
伏線回収がなされる構成でした。これは
よくあるミステリーの伏線回収を超えて
登場人物すべてが葛藤や後悔を抱えても
それでも前を向き生きる事の象徴なんだ
私にはそう感じました。力を貰いました

キーワードから探す
take5さん
ひとこと
古今東西ミステリーは沢山ありますが、
すばらしい古典に出会った時、
人間が描かれている作品に出会った時に、
ああ読んでよかったと思います。
そういう作品に一つでも出会えればと、
このページを覗...
好きな作家
決められません
採点傾向
平均点: 6.58点   採点数: 361件
採点の多い作家(TOP10)
東野圭吾(31)
ジェフリー・ディーヴァー(20)
連城三紀彦(15)
薬丸岳(13)
道尾秀介(12)
大沢在昌(12)
今野敏(9)
アガサ・クリスティー(9)
島田荘司(8)
辻村深月(8)