海外/国内ミステリ小説の投稿型書評サイト
皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止 していません。ご注意を!

take5さん
平均点: 6.60点 書評数: 422件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.382 6点 ぼくらの先生!- はやみねかおる 2025/08/05 16:30
子ども向け≠簡単な子ども騙し
=子どもでも読める真理あり
小学校の先生を定年退職してから10年
思い出の数々を妻に聞かせる主人公が、
妻の推理で当時の真相に気付いていく。

アームチェアディテクティブの作品です。
妻が名推理。マープルのようなものです。
夫の性格を加味して、語られた出来事を、
再構築していく。はやみねさんご自身が、
教員だった事からそれぞれの出来事には、
説得力があります。教員研修推薦図書!?

No.381 6点 花とアリス殺人事件- 乙一 2025/08/05 12:44
20年前に岩井俊二監督の『花とアリス』
10年前に『花とアリス殺人事件』乙一作
今年2025年に小説として読んでいます

花とアリス二人が不思議な雰囲気のままに
穴開きしユダのミステリーを解いていく話

刑事と作家の離婚も何もかも成る様に成る
何処か達観した、力の抜けた小説でした。

No.380 8点 サクラ咲く- 辻村深月 2025/08/03 20:37
表題作を含む3つの作品が、
少しずつリンクする短編集。

『約束の場所、約束の時間』
中2が主人公で、初掲載は
進研ゼミ中学二年生講座で、
『サクラ咲く』
中1が主人公で、初掲載は
翌年の進研ゼミ中一講座で、
『世界で一番美しい宝石』
高校生が主人公で、又翌年
雑誌に掲載されたものです。

この順番で発表されて、この
順番で収録された事が大切。
主人公は各々が戦っています。
その戦いを美しいと思います。

私に辻村作品が刺さる理由が
本作品ではっきりしました。
後書きのあさのあつこさんが
簡潔明瞭に解説しています。

(以下引用)
だから、驚愕するのだ。
辻村深月という作家の闘争に。
人の生の根本にある死と謎と
哀しみと不条理、そして、希望を
見詰め続け、刻み続ける膂力は
逞しく、眩しい。
(引用終わり)

表題作のミステリー、手紙の
主は誰だろうと、誰かを求め
誰かとつながっていく静かな
歩みに心揺さぶられました。

No.379 7点 図書館戦争- 有川浩 2025/08/03 06:00
スティーブン・キングのホラーに
図書館警察というものがある様で
書評で本作品に触れられています

最近有川浩さんの阪急電車を読み
こちらにも久しぶりに触れました

主人公のナイトと鬼教官の関係が
最後まで本人に明かされないのが
よいです。爽やかな読書体験です

No.378 5点 そして五人がいなくなる- はやみねかおる 2025/08/01 10:20
ジュブナイル、夢水シリーズ第一弾
名探偵と三つ子の紹介から始まり、
最後は三つ子の伏線回収で終わる、
夏休みにぴったりのテーマも良い。
200ページですが1時間足らずで
読める、ミステリー導入本でした。
作者のミステリー愛が感じられます。

No.377 6点 それは令和のことでした、 - 歌野晶午 2025/07/31 11:31
葉桜など、作者が叙述に凝る作品と比べれば、
それは小粒な短編集ですが、まあ叙述の反転を
楽しもうと思えば楽しめるかなと。出来事が、
令和を象徴する事かというと首を傾げますが、
まあ東雲や辰巳の描写はそうかなと納得です。

No.376 9点 蜜蜂と遠雷- 恩田陸 2025/07/30 09:42
久しぶりに身体に染み入る読書体験でした。

若手ピアノコンクールを舞台に、人間の才能
運命、そして音楽とは何なのかを描き切る、
帯に作者渾身の最高傑作とあります。看板に
偽りなし。最高傑作だと思います。私には。

塵、明石、亜夜、マサル、それぞれの音楽が
あり、またそれぞれの葛藤そして関わりの中
大きな変化進化がある。私が改めて思うのは
音楽のもつ力もそうですが、それを描き出す
小説の力です。小説ならシベリウスも描ける
バルトークも描ける、「春と修羅」も描ける
頭で鳴らせるんですよね。読者各々の音楽が
鳴らせる小説の力。ミステリーでないから、
登録されてはいても書評がないのでしょう。
しかし、ここに登録してくださった方には、
心より感謝申し上げます。
有難う御座います。


No.375 7点 かもめのジョナサン- リチャード・バック 2025/07/28 15:32
なぜ人は形あるものを求めるとき、
その本質から離れていくのだろう。

そのことを認知した刹那、そこに又
ジョナサンが現れる最終章。実は、
その第四章が、バックによって後に
書き足された章だというところが、
また「では本来は」と、ミステリー
なんですよね。いやあこれは考える。

No.374 7点 スティグマータ- 近藤史恵 2025/07/27 12:20
サクリファイスシリーズ第5弾、
発行されている中では最新作品。

変化球を挟んで、チカのツールが
ツール・ド・フランスが戻った。

一作目の感じに戻り、選手の心理
ミステリとしてよく出来ていた。

チカも年齢があるし、シリーズも
あと一作くらいかなと思います。

実際のツールもフィナーレです。

No.373 6点 キアズマ- 近藤史恵 2025/07/26 14:56
サクリファイスシリーズ第4弾
舞台はかわり大学の自転車部へ

弱ペのテイストが入っている?
各々の若人が葛藤し、それを又
越えようともがく姿と自転車が
よく合っていてよいです。だが
サクリファイスからはひたすら
離れていきます。2時間で読了

No.372 6点 サヴァイヴ- 近藤史恵 2025/07/26 12:06
サクリファイスシリーズ第3弾。
チカや赤城のエピソード集です。
特に「プロトンの中の孤独」が
好きです。石尾の最後の台詞に
ぐっと来ますが嗜好が私考すぎ。
パリ・ルーベのパヴェの描写が
また良いんです。因みに現在は
2025ツール・ド・フランス
真っ只中で、最強ポガチャルも
心の中では色々あるのかと想像
それもまた楽しいです。進行形

No.371 7点 エデン- 近藤史恵 2025/07/25 19:26
ドニとニコラの関係の反転
そこだけミステリー的要素
それ以外サクリファイスの
続編という良さ一本で読書
ロード乗りなら凄さに感嘆
ミッコとチカの関係も良い

250ページを1時間半と
私も平地のTT並の速さで
駆け抜けました。次作以後
サヴァイヴ、キアズマ更に
スティグマータを楽しみに
読みます。予約手配済み。

No.370 8点 阪急電車- 有川浩 2025/07/24 15:45
女の人は花嫁でもないのになぜ白いドレスを着ているのか。
鉄橋下の中洲に石積の「生」の字。どんな理由であるのか。
社会人彼氏がかけた、夜中に「助けて!」の電話の理由は。

一つ一つの小さな興味が、他人への眼差しが、絡み合って、
16もの短編その総体を乗せて阪急電車は走っていきます。
短編が緩やかにつながって一つの物語を紡ぎ、最後に至る。
読み終えた時に温かな読書体験を噛みしめる、そんな良書。
有川浩作品の中で、ミステリー色は薄いですが、必読です。

No.369 8点 十字架- 重松清 2025/07/23 16:40
先達の書評がありまして私も記します。
中学2年生の心情からその後の葛藤まで
重松清さんはよくここまで書けるなと。

尊敬、感嘆、一言では表せないですが、
深く心に残る作品。しかし読書ならば、
いずれは忘れてしまうものかもしれない
作品中の残された父に言わせたらまさに
そういう事になります。テーマ「償い」
には、向き合うとか人の弱さとか様々な
葛藤が含まれますが、この作品も同様に
読み手の心をさらす鏡の様なものです。

No.368 8点 アンハッピードッグズ- 近藤史恵 2025/07/23 12:03
近藤史恵の恋愛小説は珍しいので、
どんなものかと思いましたが正解。
素晴らしい描写。最後の反転驚愕。

パリの生活臭が事件の背景にあり、
主人公二人の関係に関わる新婚二人
よく描けていてよい読書時間でした。

No.367 7点 最愛- 真保裕一 2025/07/21 19:03
人の本当の強さとは何なんだろうかと、
この話を読んだ後に考えさせられます。

自分の弱さをさらけて誠実に生きる事。
単純にそう言えるのは、その立場の人。

本当に辛い境遇ならは、弱さを晒す前に
社会の側から晒しにかかるから余計臆病
そう臆病にならざるを得ないこと必定。

そこでは誠実さが、美しさより醜悪さに
見えるかもしれない。だからミステリー
として、反転するのだと解釈しました。

No.366 7点 家族シアター- 辻村深月 2025/07/20 13:47
家族にまつわる短編集全7編
琴線に触れた順番に、
「1992年の秋空」
「孫と誕生会」
「タマシイム・マシンの永遠」
それぞれの作品が、
姉妹
祖父と孫
夫婦幼子父母祖父母
それぞれの葛藤を鮮やかに
ラスト爽やかに描いていて
改めて辻村深月さんは
素敵な作品を書くなと思います。
余談ですが、
御本人の藤子・F・不二雄愛を
最後の作品の登場人物を通して
強く感じます。分かるな〜

No.365 8点 いつか月夜- 寺地はるな 2025/07/10 03:21
寺地はるなさんが好きです。
寺地さんの描く人間像には、
読者が自身の中にあるかつて
もっていたもの、忘れていた
もの、そして今気付かされる
まの、それらが詰まっていて
突きつけられるのですが最後
優しさも感じるのです。救い
ではない優しさ。それは共に
歩いた夜の散歩仲間がやがて
一人で歩き出すための力の素
ということです。名作です。

No.364 7点 八秒で跳べ- 坪田侑也 2025/07/06 18:44
景はなぜバレーボールに向き合うのか?
真島さんはなぜフェンスを越えるのか?
様々ななぜが絡み合い、もつれ合う中で
高校生が少しずつ意味を見出していく。
スカイエマさんの装画がぴったり合って
素敵な作品でした。真剣って良いなあ。

No.363 6点 息のかたち- いしいしんじ 2025/07/06 12:20
ひょんな事故から
人の息を見る力が
開花?した夏実の
不思議な短編3篇
時代は2020年
コロナ禍ってあれ
何だったのだろう
ミステリーですね

キーワードから探す
take5さん
ひとこと
古今東西ミステリーは沢山ありますが、
すばらしい古典に出会った時、
人間が描かれている作品に出会った時に、
ああ読んでよかったと思います。
そういう作品に一つでも出会えればと、
このページを覗...
好きな作家
決められません
採点傾向
平均点: 6.60点   採点数: 422件
採点の多い作家(TOP10)
東野圭吾(31)
ジェフリー・ディーヴァー(20)
寺地はるな(15)
道尾秀介(15)
連城三紀彦(15)
薬丸岳(13)
大沢在昌(12)
辻村深月(11)
近藤史恵(10)
今野敏(9)