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HORNETさん
平均点: 6.32点 書評数: 1121件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.501 8点 許されようとは思いません- 芦沢央 2018/01/21 22:47
 どの作品も押並べてクオリティが高く、非常に読み応えのある短編集。3作品はホワイダニット、2作品は倒叙型(?1つはそうでもないかもしれないが)といった体だが、2作品の方も仕掛けが施してあって、非常に面白い。
 追い詰められる緊張感を味わってしまう「目撃者はいなかった」、読者自身が自分の邪悪さに気付いてしまうようなダークさをもつ「ありがとう、ばあば」、そういうことか!と思わず読み返してしまう「姉のように」と、さまざまなアプローチで読者を楽しませてくれる。
 腕が立ち、カードを多く持つ作家の典型的な良質短編集。

No.500 3点 東の果て、夜へ- ビル・ビバリー 2018/01/21 12:45
 2016年英国推理作家協会賞受賞作。
 ヤクを売る組織で、売り場となる「家」の見張りを任されていたイーストだったが、ある日突然警察の手が及び、這う這うの体で逃げてきた。組織のボス・フィンは、そんなイーストに「一人の男を殺しに行ってきてほしい」と命ずる。フィンのもとで生きるほか選択肢のないイーストは命じられるままに、引き合わせられた3人のメンバーと共に2千マイル離れた地へ旅立つ。
 正直、合わなかった。なぜこの作品が世に高評価を受けているのか、私には理解できない。主人公のイースト視点での、行く先行く先での出来事や風景、心象の描写が延々と続き、退屈で仕方がない。遠すぎる世界観での勿体をつけた展開に、ほとんど共感も感動もできないまま終わった。第三部の「オハイオ」の章が一番面白かった。
 ハマる人には、何というか、「スタンド・バイ・ミー」のような説明のしにくい感動があるのだろうか。うーん。

No.499 7点 Y駅発深夜バス- 青木知己 2018/01/20 16:54
 粒ぞろいの良質短編集。
 トリックと偶然が巧みに織り込まれた表題作「Y駅発深夜バス」、同じ日に同じ人間の殺人を企てた2人の倒叙型作品「特急富士」が面白かった。「猫矢来」は日常の謎タイプの作品で、こちらは最終的にはイイ話(防ぐ方法はいくらでもあった気はするが)。
 先行書評のお二方と挙げる作品がほとんど同じだなぁと思った。そう思うとこれらの作品は手堅いといえるかもしれない。

No.498 5点 ノーマンズランド- 誉田哲也 2018/01/20 16:38
 今回の作品は、からくりに拉致問題が絡んできて、ちょっと政治色も出ている。面白いには面白いのだが、シリーズを追うごとに、凝るあまりに仕組みや背景が複雑になっていく感じがして、理解しながら読もうと思うとトントン拍子にページを繰ることができないぐらいになっている。
 今回も姫川玲子のわがままぶり、暴走っぷりは相変わらずで、好きな人には喜ばれるだろうが、私はどうも鼻につく。しかも最後は完全にはじめに取り掛かった事件と別件の話で終わっていて、尻切れトンボのような感じもした。

No.497 4点 インデックス- 誉田哲也 2018/01/20 16:19
 エピソード的な、浅い話もあり、読み易くはあるが歯応えはない。その割に、姫川シリーズとしての状況は確実に進行し、最後は捜一復帰という道筋になる。
 他作家の多くのシリーズ物は、短編では状況を動かさずに、長編で展開させていくものがほとんどだと思うのだが、誉田氏のこのシリーズはこうやって短編でも普通に進行していく。それもどうなんかなぁ…と思う部分もあり、やっぱり長編の方がよいなぁというのが結論。

No.496 7点 ブルーマーダー- 誉田哲也 2018/01/08 22:01
 これは、シリーズの中でも秀作ではないだろうか。
 「これでもか」というぐらい、バタバタと人が抹殺されていく勢い、異常さは第一作「ストロベリーナイト」に通ずるものがあり、「どういう枠組みの事件なのか?」という大きな謎への興味も後半まで褪せずに続いた。このシリーズの魅力は入り組んだ謎の解明と、その謎の魅力を支える劇的な犯罪様相にあると思うので、その両者が備わった作品だと感じ、非常に面白かった。
 やはり基本的に本シリーズは、真相についての意外なひっくり返しはなく、犯人の犯行に至る経緯や背負っている背景を解き明かすことに主眼がある。前半の伏線に真相(真犯人)が隠れているということは確かにあるが、読者がするのは「推理」ではなく「ああ、ひょっとしたらあの人かな?」という「推測」である。ただ、もともと主人公姫川の捜査過程、その途上でのあれこれを描くことが主軸のような作品なので、そのくらいでちょうどよい感じはある。
 「インビジブル・レイン」で姫川の事情が急展開したのだが、うまく次の展開を描いているのもよかった。ただ、このシリーズはちょっと「これまで読んできている人」を想定しすぎた書き方で、新規参入がしづらいシリーズじゃないかな…。

No.495 7点 遠縁の女- 青山文平 2018/01/06 17:56
①「機折る武家」…武家の婿養子の後妻に入った女が、生活のために機を織ることに。ふがいない夫と聞き分けのない義母に不満を抱いていた女の気持ちが変わっていく。
②「沼尻新田」…領地借り上げの代償として御国が薦める新田開発に乗り出し、成功を収めた武家当主。そこにあった、本当の思惑は?
③「遠縁の女」…武威よりも学問が重宝され始めていた寛政の世に、父親に勧められて武者修行にでた武士。5年の修業を経て帰ってきた男に、本当の事情が明かされる。

 表題作の③がミステリの要素はいちばん強い。やや冗長な部分はあるが、急展開するラストは面白かった。
 ミステリ要素は薄いが、①はえもいわれぬ良さがあった。とりたてて劇的な展開はない話なのに、なんだか引き込まれた。
 このジャンルはライバルが少ないからかもしれないが、読み出すと好きになる人も多い作家さんではないかと思う。

No.494 7点 果つる底なき- 池井戸潤 2018/01/06 17:36
 超売れっ子の原点を見るような気がして嬉しい(といっても、売れ作品はミステリじゃないのでほとんど読んでないが…)。そしてそれがミステリであること、江戸川乱歩賞受賞作であることがなおニンマリ。現在の池井戸作品ファンに、「彼、乱歩賞作家で、今では乱歩賞の審査員もやってるミステリ作家なんだよ」と教えると結構驚かれる。デビュー作であるからこの人なりに多少の拙さはあるのかもしれないが、私に言わせれば最初からこのクオリティは大したもの、だと思う。
 銀行の仕組みや、「手形」とやらの仕組みに明るくないので、そもそもの事件の構造を理解するのに労を要したのがやや難だったが、真相を探ろうとする主人公に次第に魔の手が伸びていく展開や、それでも独力で真相に迫ろうとする過程には力があり、読み応えがあった。
 典型的な社会派ミステリのような気がして、これが乱歩賞を受賞したということに意外性を感じた(作品のレベルとして足りないという意味ではなく、ジャンルの意味で)。

No.493 6点 インビジブルレイン- 誉田哲也 2018/01/06 17:10
 姫川玲子シリーズの長編。
 暴力団関係のチンピラが惨殺された。当然組対四課も交えての捜査となるのだが、暴力団の抗争がらみというスジで捜査しようとする組対四課と、それとは関係なく捜査を進めようとする玲子ら捜査一課との綱の引き合いが始まる。
 そんな中、重要な事件関係者として「柳井健斗」という男が捜査線上に浮かぶ。しかし、そこで上層部から「ヤツには触るな」との指示が。あとは予想通り、その方針に従わずに独力で捜査しようとする玲子、それを泳がせる今泉係長ら同僚。そしてやがてはそれがバレるが、最終的に真相に一番にたどり着くのは玲子たち—
 とまあ、本シリーズのある意味お決まりのパターン。ただ今回は、作品の複線となっている玲子の男性事情にも変化があり、それもなかなか読ませた(安っぽい所もあったが)。
 真犯人が誰かということはそれほど重要ではなく、事件の背景と、それによって合点がいく犯行手口という展開が主で、ハウダニットの色が濃いかな?(ジャンルで「本格/新本格」に分けられているけど・・・それはないような気が)
 相変わらずある意味わがままで、共感できる部分も反発を感じる部分もある主人公・玲子だが、それもこれもひっくるめて疾走感あるストーリーは好感がもてる。

No.492 5点 ソウルケイジ- 誉田哲也 2018/01/06 15:42
 ここまでの投稿者の方々とは対照的に、小生の出来の良くない頭脳では、人間関係の把握が難しく、何度も頭の中で整理したり見返したりして読み進め、少々疲れた。(間を置きながら読んだからかもしれないが)
 バラバラ死体でのこうした真相は一つのパターンではあるが、背後の人間関係と絡めたトリックとしては想定外で確かに面白かった。

No.491 7点 顔 FACE- 横山秀夫 2017/12/23 12:58
 私の中では一番の短編の名手。無駄なく、無理なく、謎を絡ませながらまとめ上げる手管はさすが。今回も楽しませてもらった。
 「共犯者」「心の銃口」が秀逸。特に後者は、失敗や裏切りなどのひっくり返しにより真相にたどり着く過程は非常によかった。婦警間の人間模様、という点では「疑惑の似顔絵」も心に残った。
 女性蔑視に耐え、立ち向かう警察内での婦警の葛藤が本編の一つのテーマだが、主人公・瑞穂は常にそのことが頭にあり続ける。どんな社会もいまだに男性優位の風潮は残り続けているが、特に警察という社会はその色が濃いのだろうな、としみじみ感じた。

No.490 5点 ゼロの激震- 安生正 2017/12/23 12:13
 ハリウッド映画張りの仰々しいスケールの話。大きな失敗により今は業界を追われたプロフェッショナルにトップからお呼びがかかり、世界的な危機を救うという骨組みもよくあるパターン。読み進めるのはそれなりに面白いが、そういう「SF的な危機」「天才肌のヒーロー」「国家世界のために命を賭す美学」といった演出があまりにもあざとく、鼻白んでしまうところも強い。推敲された原稿を読むような、「立て板に水」の会話も、カッコいいかもしれないが行き過ぎな感じ。これはこの作者の作品全体に言える特徴だが、作品を重ねるごとに傾向が強くなってきている気がする。
 地震に関する薀蓄もほとんど理解できないし、そういう科学的な内容が理解できなくともストーリーの理解に支障はないので、ただうるさいだけになってしまう。
 題材、発想は他に類を見ないもので面白いと思うが、男たちの矜持を感動的に描こうとする意気込みが強すぎるので、白けてしまう人も多いのではないだろうか。

No.489 7点 半席- 青山文平 2017/12/16 15:47
 江戸時代、幕府のお膝元で徒目付を務める片岡直人は、この役職を踏み台として旗本の勘定へと駆け上がることをめざしていた。というのも、片岡の家は直人の父、直十郎が御目見以上まで務めたのだが一役のみで、家として「旗本」と認められるためには、少なくとも二つのお役目に就かなくてはならないからだ。父親が一役だけ御目見以上を務めた状態の直人は、一代御目見「半席」であり、直人が勘定に上がることで晴れて旗本となることができる。そのためにも、お上の覚えをよくするべく、横道にはそれずに日々の任務に邁進する必要があった。
 しかし、上役の組頭・内藤雅之は、そんな直人にしばしば「頼まれ御用」の話をもってくる。「頼まれ御用」とは、見知った筋から個人的に依頼を受ける裏仕事で、速やかな昇進を目指す直人にとっては顧みる必要のない案件である。だが、そこには表の仕事にない「人臭さ」が漂い、内藤の人柄と共に、少しずつその魅力に惹きつけられていく直人がいた。
 物語は、内藤が持ち込んでくる「頼まれ御用」を受け、真相を解き明かす短編集。依頼は主に江戸界隈で起きた刃傷沙汰の「わけ」を探ること。罪を犯した者もはっきりし、本人もそれを認めているが、「なぜ」そのことが起きたのわからないままの事件について、被害者も含めた関係者がそれを知りたいと依頼をしてくるのだ。いわゆる、江戸を舞台としたホワイダニットの短編集である。

 息子のために立身出世を旨としている直人の心を、飄然と頼まれ御用を引き受け、人々の心の綾を解きほぐす組頭・内藤の在り様が乱す。いわゆるグルメの内藤は、直人と話すときはいつも行きつけの居酒屋で酒肴を共にするのだが、その料理に関する描写、薀蓄も話に彩を添えていて面白い。
 解明される事件の動機は、時代の価値観があってこそのものであり、時代物のミステリとして非常に興味深い作品だった。

No.488 6点 ストロベリーナイト- 誉田哲也 2017/12/12 22:33
 グロさ、ぶっ飛び感はアリ。最終部分での序章のひっくり返し方もよかった。
 キャラ立ての妙(ドラマ向き)もあり、面白く読み進められることは間違いない。
 ただ・・・
 ストーリーの仕掛け方が現実あり得ない劇場的レベルで、インパクトがある分逆に安っぽい、ドラマ仕立て臭い。
 あと、この手のどんでん返しが最近多くて、インパクトをあまり感じられなかったのもある(それはこっちの読む順番だけどね)。
 と、いろいろ感じてこの点数。ただ、「このシリーズ読もうかな」と思えるだけの面白さは確か。

No.487 7点 大誘拐- 天藤真 2017/12/09 19:21
 上手い。仕組みも、文章も、人物造形も。
 自分が一番酔ったのは、ラストの締め方。井狩部長の気づきと追及、正義の結末は予想の範疇だったが、それ以外は…着地点が見事。この力作に脱帽という思いだった。
 物語(犯罪)の最大の生命線は、刀自の圧倒的なカリスマ性、崇拝ともいえる人望。それがなくてはそもそもすべてが成り立たない。よい意味で、現代にはそぐわない話だと思った。掛値なしで「何をおいても絶対に信じる、従う」というまでの信頼、人間関係が現代にあるだろうか?(肉親を除いて)
 物語の構想としても、実際の内容としてもスケールの大きな話。最終的に「悪人」がいない物語に仕立て上げた作者の手腕にも感心した。

No.486 7点 ドクター・デスの遺産- 中山七里 2017/12/04 21:09
 犬養隼人シリーズ、今回のテーマは「安楽死」。
 ある日警視庁の相談電話に、幼い少年から「僕のお父さんは医者に殺された」という訴えの電話が。初めは、父親の死を受け入れられない少年の拒否反応かと高を括っていたものの、「お父さんが死んだ日、違うお医者さんが2回来た。1回目に来た人がお父さんを殺した」という少年の話から、ただならぬ気配を感じた犬養らの調べから、ネットで安楽死希望者を募っては実行する「ドクター・デス」の存在が明らかになる。れっきとした殺人ではあるものの、誰をも傷付けず、むしろ望みを叶えているその所業に、世論も関係者も賛否は真っ二つ。人に「死ぬ権利」はあるのか、安楽死はその権利なのか―。真犯人を追う中で、倫理道徳の問題にも迫る著者らしい作品。(要はブラックジャックのドクター・キリコである。そう思うとやっぱり手塚先生はスゴい)

 人工透析を続ける娘を持つ犬養だからこそ、「苦しみを取り除いてあげるのが愛情か」「あくまで延命を望むのが愛情か」という問題に、心が揺れ動く。ネット上で自身の行為の正当性を説くドクター・デスに、憎しみと共にどこかシンパシィも持っている自分に気付き、「俺は刑事だ」と自らを奮い立たせる姿は、彼らしい人間臭さが全開である。
 そうした社会的メッセージ色が濃い作品ではあるが、しっかり仕掛けもしてあり、割とものの見事にやられてしまった。

No.485 7点 空中ブランコ- 奥田英朗 2017/12/02 13:47
 私としては1作目よりよかった。
 何も考えてなさそうな無邪気なボンボン精神科医・伊良部一郎のもとを訪れるさまざまな悩みを抱えた人たち、その人たちの職業や趣味を「ぼくにもやらせて」と一緒にやりだす伊良部、といったパターンは前作と同じ。ただ、本作の方が奥田英朗にしては珍しく(?)ハートフルなハッピーエンド感が強かった気がするのは私だけか?
 最後の「女流作家」などは、主人公の友人・さくらの魂の叫びや、看護婦・マユミが初めて見せた人間らしさ(?)にちょっと感動してしまった。
 患者の伊良部に対する心のツッコミにも磨きがかかり、何度も噴出してしまう。ユーモアとあたたかさが同居した快作、作者の上手さを感じる一作だった。

No.484 6点 噂の女- 奥田英朗 2017/12/02 13:28
 独特の男好きする色香で様々な男を籠絡し、巨額の富を得ていく希代の悪女・糸井美幸の軌跡を描く連作短編集。
 一貫して美幸以外の視点で描かれていることで、3人の元旦那の死の真相や、美幸の子どもの父親は誰か、といったことが(「そういうこと」なんだと分かりながらも)文章上は推測で終わっている書き方が上手い。
 とんでもなく計算高い悪女でありながら、なぜか同世代の女性をも惹きつけてしまう魔性をもつ美幸に陥れられたり、なびいてしまったりと翻弄される田舎の人たちのさまが非常にリアルに描かれていて面白い。
 最終的に「ケリ」をつけない書き方はこの人の作風だと思うのだが、ひょっとすると精神科医・伊良部のシリーズのように今後も続くということなのだろうか?

No.483 5点 ししりばの家- 澤村伊智 2017/11/27 22:34
「ぼぎわんが、来る」「ずうのめ人形」に続くシリーズ3作目。今回は、前2作でライター野﨑とともに活躍した比嘉真琴の姉、琴子の話。
 前作「ずうのめ人形」がホラーの雰囲気十分なうえにミステリとしても味わえて非常にクオリティの高さを感じたが、今回はなんだか「よくあるホラー」になってしまった感が強い。
 夫婦二人暮らしの笹倉果歩は、仕事でほとんど家にいない夫に寂しさを感じながら、ルーティーンのような味気ない毎日を送っていた。そんなある日、幼いころの友達・平岩敏明に町で偶然出会う。お互い既婚となった二人だが、久しぶりの再会に喜ぶ中、敏明は「うちの家庭に遊びにおいで。」と果歩を誘う。招待を喜んで受け、平岩夫妻の家に遊びにいった果歩だが、そこで家中に「砂」が積もっているという異常な光景と、その中で何事もないかのように振舞う敏明の奇行に背筋が寒くなる―
 砂のある家の正体、そこに潜む「何か」と戦う比嘉真琴の姉、琴子。どんどん正気を失っていく登場人物の姿には怖さを覚えるものの、どこかB級ホラーのようなありがち感が漂ってしまい、前作ほどはのめりこめずに読んでしまった。
 次作以降に期待をしたい。

No.482 5点 ファインダーズ・キーパーズ- スティーヴン・キング 2017/11/27 22:01
 人気作家・ロススティーンは、人気シリーズ「ランナー」の三部作を書いたのち、一切の世間との交流を断ち、隠遁生活に。しかし、世俗を離れて十数年たってもなお、一人「ランナー」の続編をノートに書きためていた。そこへ三人組の強盗が押し入る。強盗の一人、モリスは実は「ランナー」の大ファンで、一番の目的はお金ではなく「ランナー」続編のノート。ロススティーンを殺したうえでノートを奪ったモリスだが、そのノートが入ったトランクを密かに地中に隠したまま、別の事件で逮捕され、刑務所に入ってしまう。そのまま時は経ち、ある少年が偶然そのトランクを発見してしまったことを発端に、事態は危険な方向に―。
 「ミスター・メルセデス」に続く退職刑事・ホッジスのシリーズ第2弾。リーダビリティの高さは抜群で、それなりにのめりこんで読めるのだが、ストーリーも展開もある意味オーソドックスで、往年のキングを期待して読むとハズれると思う。モダンホラーの巨匠が、「普通の」サスペンスを書いた、という感じ。
 面白くは読めるが。

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ひとこと
好きな作家
有栖川有栖,中山七里,今野敏,エラリイ・クイーン
採点傾向
平均点: 6.32点   採点数: 1121件
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