皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
HORNETさん |
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平均点: 6.32点 | 書評数: 1121件 |
No.14 | 7点 | 仮面山荘殺人事件- 東野圭吾 | 2012/08/13 02:30 |
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多様な作風及びジャンルを書き分ける作者だが,やはり私はこういうミステリを主体とした本格的な東野作品が好き。
ページ数も適度で,テンポよく読め,一晩で本格ミステリが楽しめるという点でも良質な作品だと思う。仕掛けは後半に気付いたが,それでも楽しみが半減することはなく,その部分を見届けたいと思い一気に読めた。結末の受け止め方は人それぞれかもしれないが,私としてはある意味後味のよい終わり方だった。 このサイトのプロフィールで「人に薦めた作品」を書くが,今後はこれも入りそう。ミステリの魅力を初心者が味わうにはとてもよい作品だと思う。 |
No.13 | 7点 | 真夏の方程式- 東野圭吾 | 2012/01/22 07:48 |
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それなりによくできた話だと思うのだが、採点を見てもさほど高評価でないのは、作者に対する期待が大きいからだろう。ミステリの出来としては並か、よくて中の上程度だと思うが、湯川と恭平少年のやりとり、心温まるつながりが色づけされている点で物語の味わいが増した。少年との別れの場面で、湯川が少年に伝えた一言に素直に感動した。学者然とした難解な物言いが小学生によく理解できるな、という無粋な感想はこの際置いておこう。
個人的には、成実に思いを寄せる男たちの結末も多少気になった。ミステリとしては、関係者の過去を探っていく段階がちょっとうまくいきすぎな感じもしたが、かといってそこで右往左往するさまを描いても無駄に長くなるだけなので納得する。 |
No.12 | 7点 | 麒麟の翼- 東野圭吾 | 2012/01/04 20:34 |
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冒頭の事件発生のシーンから引き込まれた。確かにミステリよりもヒューマンドラマの要素が濃い作品だが、それはそれで楽しめる。最初被害者として同情的に見られていた会社員家族が、事件の背景が明るみになるにつれ冷たくあしらわれていく様など、読み入ってしまう。
一応フーダニットの体はとられていると思うが、手がかりとなる情報があと出しになっている点は否めない。だが、結末の衝撃度は大きく、私としては「新参者」よりこちらのほうが(結末に限って言えば)好み。 やはり東野圭吾は加賀恭一郎シリーズがよい。 |
No.11 | 6点 | マスカレード・ホテル- 東野圭吾 | 2012/01/04 20:21 |
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警官がホテルマンに扮して一流ホテルでの予告殺人に対処するという設定、宿泊客のさまざまなエピソードが積み重ねられていく退屈させない展開、相変わらずの無駄のない軽快な文体など、高いリーダビリティで一気に読み進められた。
「新参者」のように、物語中の各エピソードがそれぞれにひとまず完結し、オチも用意されていて作者の構成の巧みさを感じさせられる。肝心の、本筋の殺人事件については、推理して読み進めるというより、進んでいく捜査を見物しているようになってしまうところはあるが、観客として楽しめるのでそれもまたよし。 |
No.10 | 4点 | 流星の絆- 東野圭吾 | 2011/01/16 08:16 |
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親の敵をとることを誓った兄妹,その敵を好きになってしまった妹,そのことに気付く兄たち。そういったドラマが主体で,ミステリとしての要素は薄い。
いかにも大衆受けしそうな作品で,ハードカバーで買ってしまったが,おそらく読み返すことはないと思います。ただこういう新しい設定を考える作者のアイデアはすごいなと思います。 |
No.9 | 6点 | 白夜行- 東野圭吾 | 2011/01/16 08:03 |
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いわゆるノワールといわれる作品ですね。主人公が「悪」なので,好みによって評価が分かれる作品だとは思います。ちなみに私は全く気になりません。共感はできませんが。
それにしてもこのサイトでのあまりの評価の高さに驚きました。確かに面白いと思いますが,私は厚さを「感じ」ました。読み進めるのに苦はないですが,読み終えてみると細部についてはあまり思い出せません。 やはり私はフーダニットやハウダニットを主体とした,推理小説よりの東野作品のほうが好きです。 |
No.8 | 5点 | 手紙- 東野圭吾 | 2011/01/16 07:54 |
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とてもよい作品で,東野作品の中でも好きなほうに入りますが,ミステリの書評ということで5点です。(というかミステリではありませんので)
テレビドラマなどにある安っぽい感動もの,「家族とはこうあるべきだ」としたり顔できれいごとをアピールするものとは違い,当事者だけにしか分からない複雑な葛藤や本音,選んだ道が描かれていて,深く考えさせられます。 はじめに書いたように,とてもよい作品です。 |
No.7 | 5点 | ガリレオの苦悩- 東野圭吾 | 2011/01/16 07:48 |
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湯川に対して一方的な恨みをもつ者の犯行を描いたラストの話が印象に残っています。一つ一つの短編が,しっかりした構想で書かれている感じがして流石東野氏だと感じます。大ハズレはまずありません。
トリックは科学的なものが多く,ストーリー性のほうが重視された作品が多いとも感じました。 |
No.6 | 7点 | 私が彼を殺した- 東野圭吾 | 2011/01/16 07:44 |
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「私が彼を・・・」を読んだ多くの人が次にこの作品を読むことを踏まえて,容疑者の範囲,謎解きの質をレベルアップいます。そのように,読者に向けてレベルを上手に調整している所がすごいなと思います。前作が「物足りない」と感じた人も,とりあえずは読んでしまうでしょうし,多くの人が「前作よりも面白い」と感じるでしょう。
一人一人の容疑者主体で書かれている章があって,それぞれが「私が殺した」と言っている,その構成も面白かった。謎解きも前回以上に楽しめました。 |
No.5 | 6点 | どちらかが彼女を殺した- 東野圭吾 | 2011/01/16 07:35 |
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結末を描かずに読者に推理を委ねるというのが作品の趣旨でもあるので,容疑者や,犯人を特定する条件が絞られており,推理の筋道がある意味易しいのは致し方ないと思います。(そうでなければ「さっぱり分からない」という読者が増えてしまうでしょう)
犯人を示す決め手は,確かに現実としてこれだけで特定するのは弱いとも思いますが,ある意味昔の海外本格に出てくる探偵のような推理だとも感じました。 読後に,同じ作品を読んだ人とああだこうだと話せるのも,こういう作品の楽しさですね。 |
No.4 | 5点 | 聖女の救済- 東野圭吾 | 2011/01/15 21:03 |
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トリック以上に,トリックをなし得た犯人の執念というか徹底振りに驚愕。言われてみれば,確かにそう描かれており,その描き方にわざとらしさを感じさせないのはさすが著者といったところ。しかし,長編にしてこの仕掛けは物足りなさも正直あった。
むしろ,冒頭のシーンの意味が分かる所のほうがうまく騙された感じがする。 |
No.3 | 7点 | 新参者- 東野圭吾 | 2011/01/15 16:09 |
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「面白い」というより,「上手だな」という思いのほうが強く感じられる作品でした。アパートで起きた女性の殺人事件解明がメインですが,人形町での聞き込みで加賀刑事が遭遇する様々な小事件(?)がサイドストーリーとなり,一つ一つの章となっています。その構成がとてもうまく,流石だな,と感じます。といって,ミステリとしても質が低いわけではありません。 |
No.2 | 5点 | 黒笑小説- 東野圭吾 | 2011/01/15 16:07 |
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長い作品を読み続け,「ちょっと息抜きを・・・」というときに向いているでしょう。それぞれは面白いが,あとになってもどんな作品があったか思い出せない・・・ぐらいの軽い読み物集です。 |
No.1 | 10点 | 容疑者Xの献身- 東野圭吾 | 2011/01/08 21:27 |
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倒叙法で展開される作品を読み進めるうちに,ハウダニットであることに気付かされる。犯人石神の人間性も,把握したようでまた裏をかかれる。真相を究明し,追い詰めるガリレオ湯川。しかし知らず知らずのうちにそれを望まなくなっている私たちがいます。人間ドラマとしても,ミステリとしても一級品と言えます。 |