皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
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虫暮部さん |
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| 平均点: 6.20点 | 書評数: 2144件 |
| No.464 | 6点 | 血か、死か、無か?- 森博嗣 | 2018/06/01 11:05 |
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| このシリーズはひとつの物語をゆったり書いているようなもので、勿論なにがしかの出来事は起こるのだけれど、巻による印象の差が乏しい。ストーリーがどうと言うより、それによって提示される世界観を味わっている側面が強い。西尾維新なんかだとそれを思い切ってぶつけてくるけれど、Wシリーズはじわじわと染みて来る感じ。ただ意地悪く言うなら、既にほぼ焼き上がっている肉塊を少しずつ切り売りしているようにも思える。 | |||
| No.463 | 5点 | オーパーツ 死を招く至宝- 蒼井碧 | 2018/06/01 11:02 |
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| イロモノだってことは作者読者出版社みな承知の上なんだから、オーパーツ等のイラストを(ミステリ的必然性は低くても)もっとバンバン挿入してくれたら更に楽しめたと思う。特に恐竜談義のところ。 | |||
| No.462 | 5点 | 緑衣の美少年- 西尾維新 | 2018/05/31 12:21 |
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| 先生、実験は失敗です。と今回は言わざるを得ないか。作中作はそれ自体ちゃんと面白い内容にしないと。ただここでそれをもっともらしいイイ話にまとめず無理にでも逆張りでとっ散らかった解を提示するところが西尾維新の存在意義なのであって、内容は希薄でもキャラクター小説としては楽しい、とファンとしては擁護しておく。ああっ、でもこのシリーズはそういう巻が多過ぎだ……。 | |||
| No.461 | 6点 | Sのための覚え書き かごめ荘連続殺人事件- 矢樹純 | 2018/05/29 10:51 |
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| 前半はスリリングでとても面白かった。後半、謎が交錯し過ぎて混乱したので、もう少し上手く整理してくれたらもっと驚けたかも。
殺人事件に対して登場人物が皆やけに冷静だな~、しかし紋切り型にヒステリーを起こしたり怖がったりするだけがリアルな対応ではなく、これはこれでアリかな~、とも思った。 |
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| No.460 | 8点 | 未必のマクベス- 早瀬耕 | 2018/05/29 10:50 |
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| '92年にデビューした作者が、'14年に発表した長編第2作。
まず文章が素晴らしい。強い個性を感じさせるタイプではないが、何故か不思議なほど滑らかで心にそっとまとわり付いて来る。口当たりの良さに対してアルコール度数が高いので呑み過ぎ注意なカクテル、と言ったところか。 そんなにこやかな語り口で綴られるのは、切った張ったのビジネスの裏側と、無粋な振りして純度の高い恋。殺人の場面もとても静謐で平穏。凄く“書ける人”だと思う。やや長めの話だが、それすらも、それだけ長い間作品世界に浸っていられるという喜びだった。 何度か意味ありげに言及される数学問題の答がたいして面白くない、と言うのが難点。幾人かのキャラクターに関しては、書き分けが甘い気もする。 |
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| No.459 | 6点 | 迷蝶の島- 泡坂妻夫 | 2018/05/22 10:55 |
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| 恋愛話は爽やかなもののほうが好きなので、私にとって本書などはカロリーが高過ぎる。しかし“痴情のもつれ”を動機にするにはこのくらい濃い恋でないと説得力が足りないか。
島での死までの描写で、現実と幻覚が恣意的に混ざっているのはちょっとずるいと思う(一応、黒い蝶を見てその人物のイメージが導かれた、という流れが設定されているようだけど)。 |
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| No.458 | 5点 | マニアックス- 山口雅也 | 2018/05/21 10:21 |
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| どれも良く出来た “奇妙な味の短編”。しかしそのせいで却って微妙な既視感を覚える部分も多かった。星新一のディープなタイプのショート・ショートを短編に引き伸ばしたような印象。悪くはないが “コレだ!” という感じでもない。 | |||
| No.457 | 5点 | エジプト十字架の秘密- エラリイ・クイーン | 2018/05/16 09:26 |
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| 地名と同じ苗字なんて珍しくもないのであって(単に縮尺の問題と言う気もするし)、5章で地図帳を手にエラリーが披露した推理は冗談を聞かされているような気分になった。その場にいた捜査陣が誰一人ツッコミを入れないので、“下手なミステリのワン・シーンを皆で演じている”みたいだ。
ところで、裸体主義者の共同体が登場するのに、うっふ~んな描写があるわけでもない。それじゃ意味ないだろって。サーヴィスが足りないよ君ィ。 |
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| No.456 | 7点 | がらくた少女と人喰い煙突- 矢樹純 | 2018/05/07 10:08 |
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| 骨格は古典的なクローズド・サークルであり、それにしては動機重視の解決編はあまりロジカルではないが、色々と味付けが巧みで、作者は良い意味で読ませ方を心得ていると思う。
実は私は、拾ったジャズのCDを愛聴したり、拾った週刊スピリッツをきっかけに星里もちるにハマったり、拾った独和辞典を使いもしないのに積読していたり、拾ったヴァイオリンをいつか使う日も来るだろうと保管していたりして、陶子の気持が判らなくもないので気を付けたい。あ、でも坂口安吾の文庫本は拾って読んだが好みではないのでちゃんと処分した。よし大丈夫。 よく判らないところがあった。恵三郎が陶子に対して“仁菜に似てきて気味が悪い”と発言したが、それは自身の妻とも共通する特徴である筈だ。どういう気持なのか?そう言えばその妻(=仁菜の母)の現況が語られていないね(私の見落とし?)。 |
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| No.455 | 4点 | 刺青殺人事件- 高木彬光 | 2018/05/07 10:07 |
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| 刺青と言う題材が雰囲気作りに上手く生かされているとは思う。
しかし、ネタバレするが、大いに気になったことがある。 ざっくり言って、入れ替わりは必然性が希薄。主犯にとって、共犯があとで殺してもいい程度の相手なら、始めから共犯を殺しても同様の効果が望めるのでは? アリバイ工作等で役立ってはいるものの、共犯の存在自体がリスクなわけで、費用対効果としてどうなのか。トリックの為のトリックになっている。 共犯の方が主導的立場だったならまだ判るが、読み返してもそのあたりは藪の中。と言うか、そりゃないぜ主犯、共に生き延びるための入れ替わりじゃないのかよ!? |
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| No.454 | 7点 | 怪盗不思議紳士- 我孫子武丸 | 2018/05/01 08:34 |
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| 古式ゆかしい少年探偵小説。結構正統的でお約束を堂々と展開させる筆致は、言い換えると既視感が強いけれど、意外に好感度高し。まぁ、ノスタルジックな雰囲気に呑まれて評価の仕方が甘くなっているのは認める。
劇団ヘロヘロQカムパニーの舞台の小説化、という経緯もあってか、本格ミステリ的なロジック云々ではなくキャラクターの絡みや成長譚を軸に据えていて、びっくりさせられる類の話ではないが、そういう点の物足りなさはさほど感じなかった。あとはカール(犬)の出番がもう少しあれば……そこは物足りないかな。 |
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| No.453 | 3点 | 友達以上探偵未満- 麻耶雄嵩 | 2018/04/24 11:46 |
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| この作者が“問題作”を期待されるのはもはや宿命なのである。“登場人物がごちゃごちゃしてミステリ的な軸になるアイデアがあまり生きていない”とか言う以前に、“何かフツーだな~”と感じる時点で麻耶雄嵩作品としては物足りないのである。今まで出来不出来の波はあれどその志がブレたことはなかった筈。どうしちゃったのか。“相生初唯”というネーミングが本書一番のヒット、だなんて言いたくないよ! | |||
| No.452 | 7点 | 誰も死なないミステリーを君に- 井上悠宇 | 2018/04/20 10:20 |
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| これは拾い物。深読みするなら、特定の人物にしか認識出来ない事項を基盤にしてミステリを書く実験。伏線がしゅるしゅると小気味良く回収される様は爽快だった。(元)文芸部員の4人が意外に好感度高し。
ところで佐藤くんのフルネームって作中に出て来たっけ。もしや読者に対するクイズ? |
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| No.451 | 2点 | 神津恭介の復活- 高木彬光 | 2018/04/17 11:48 |
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| 出来がひどくて色々がっかり。八百人の前で人を殺して、そのまま逃げ切れる前提で計画を立てたのだろうか? | |||
| No.450 | 8点 | ギリシャ棺の秘密- エラリイ・クイーン | 2018/04/11 10:46 |
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| 面白い。少々長過ぎる嫌いはあるが、無理に努力して読み進めている気分に陥ることは無かった。3作目までは未だ習作、エラリー・クイーンが初めて物した傑作がこれ、と私は評価する。
ところで、粗筋を見ずに本編を読むと、死体発見のくだりは充分驚ける展開である。粗筋コーナーはバラし過ぎ。明かすのはせいぜい“手提げ金庫が消えた(中身は秘密)”まででいいのではないか。或る程度の粗筋を踏まえてそれをなぞるように本編を読む、と言う行為にいつの間にか我々は慣れてしまっているが、それは結構な損だと近年実感している。 |
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| No.449 | 8点 | 小人の巣- 白河三兎 | 2018/04/04 11:37 |
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| 自殺幇助サイトを軸に据えた連作集。こういうテーマは回を重ねる程にハードルが高くなるのであって、死にたい理由は二話目が一番面白いというのは構成上の不備だなぁ~、などと思いつつ読み進んだら最終話で見事に泣かされた。この作者は“これが言いたい”という熱い思いと、そのために必要な段取りをきっちり組む冷徹さを良いバランスで併せ持っていると思う。 | |||
| No.448 | 6点 | さよなら、わるい夢たち- 森晶麿 | 2018/04/04 11:33 |
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| 視点人物を始めとして登場人物が非常にステロタイプで、ストーリーの8割までは退屈なのであるが、残り2割が鮮やかな逆転劇。さほど長くもないし、投げ出さず読み切るだけの価値はある。しかし、構成上の必然なのは判るが、前半ももう少し何とかならなかったのだろうか。他の作品で駆使していた技巧的な文体を封印しているのも不満だ。 | |||
| No.447 | 7点 | 超動く家にて- 宮内悠介 | 2018/03/29 12:51 |
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| ポストヒューマン系SFの旗手としてデビュー後、着々とフィールドを広げてきた著者が満を持して放つ“くだらない作品”集。実はミス研出身だそうで、ミステリ・ファン向けの与太話も幾つか含む。「エラリー・クイーン数」? | |||
| No.446 | 6点 | プロローグ- 円城塔 | 2018/03/29 12:49 |
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| 登場人物への感情移入の延長として自分が猫や神や異星人である気分になる本はたまにあるが、“プログラムになる”という疑似体験は初。表と裏がめまぐるしく入れ替わり、無計画な増築のようにいつのまにか話が重なり合い、しかし“わからないことをなんでもメタって呼ぶのはよくない”と釘を刺される。漢字に関する諸々は特に面白かった。 | |||
| No.445 | 7点 | 頼子のために- 法月綸太郎 | 2018/03/22 14:13 |
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| そういえば四半世紀前、私は本書を読んでジョイ・ディヴィジョン『クローサー』のCDを買ったのだ。ホコ天場面の“ボーイズ・ビー・シド・ヴィシャス”とは田口トモロヲがやっていた“ばちかぶり”の「未青年」のフレーズ。
結末を朧げに覚えている状態で読み返すと、綸太郎は論理と言うよりかなり飛躍した直感で真相に辿り着いたような唐突な印象を受けた。 |
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