皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
虫暮部さん |
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平均点: 6.22点 | 書評数: 1701件 |
No.241 | 4点 | 幻肢- 島田荘司 | 2015/01/27 15:02 |
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精神状態が不安定なひとに対して周囲の者たちが口裏を合わせ一芝居打つ、という設定、島田荘司は4作目か(?)。割と何でもアリになっちゃう、ユメオチに準ずるもので、あまり褒められたものではないと思う。
前半は医学小説(?)。予想出来る後半のどんでん返しは幾つかあったが、その中で最も平和な結末に落ち着いた、という感じ。 ところで、大学生が同乗者を巻き込む事故を起こして、親が何の対応もしていない? “ドッペルゲンガー”ってちゃんと雅人の口から聞いていたじゃないか。 通俗的な恋愛模様もいただけない。結局、小暮さんはどういうポジション? |
No.240 | 4点 | クローバー・リーフをもう一杯- 円居挽 | 2015/01/22 20:32 |
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なんか流行のライトミステリの真似をしただけという感じ。登場人物の行動原理もピンと来ない。“ルヴォワール”シリーズの次の一手がコレ、というのは、せっかく確保したマニアックなファンを手放してしまう戦略ミスでは? |
No.239 | 5点 | 清らかな煉獄- 風森章羽 | 2015/01/19 12:07 |
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器用な作家が既製品を上手にサンプリングして組み合わせた感じ。器用で悪いかといえばそんなことはなく、良く出来た作品ではあるが、ツルツルと小奇麗で引っ掛かりが無い印象。 |
No.238 | 5点 | テミスの剣- 中山七里 | 2015/01/19 12:04 |
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前半の“冤罪の作り方~それが露見して大騒ぎ”という流れは、しっかり書かれてはいるものの、ことさら目新しい話ではなく、“何度も読んだ本をまた読み返した”ような気分。後半も取って付けたような“意外な展開”で、たいしたことはない。
四章。仮釈放された迫水の心情描写、及び渡瀬と白須の対話は面白かった。 |
No.237 | 5点 | 今出川ルヴォワール- 円居挽 | 2015/01/19 12:04 |
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シリーズ3作目でミステリ要素は後退し、というか第一章(前半3分の1)に押し込んで、これで義理は果たしたとばかりに残りはギャンブルによるバトルに突入。意外に楽しめた。あくまで“意外に”であって、なにより“鳳”という遊戯があまり面白そうに見えない。あと、撫子という名前が西尾維新“物語シリーズ”の千石撫子と混ざって困る。 |
No.236 | 4点 | 烏丸ルヴォワール- 円居挽 | 2015/01/13 10:52 |
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まわりくどい書き方。長さに比例する面白さが得られたとは言い難い。 |
No.235 | 5点 | 未来探偵アドのネジれた事件簿- 森川智喜 | 2015/01/13 10:51 |
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タイムパラドクスは苦手だ。こまごま説明されてもどこか納得しきれない部分が残る。その点、本作は割と大雑把に“そういうもんなのよ”というスタンスで片付けているので助かる(笑)。ドラえもんやのび太があまり後先考えずにタイムマシンをガンガン使っても話はなんとなく収まる、みたいな印象。新しい試みをしようという姿勢は買いだが、ミステリにもSFにもなりきれなかったきらいがある。そういう軽さが狙いだとしても、少し物足りなかった。 |
No.234 | 7点 | 怪しい店- 有栖川有栖 | 2015/01/13 10:50 |
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どの短編も良いが、中でも「ショーウィンドウを砕く」で描かれる加害者の動機の微妙な心理に説得力を感じた。が、安易なミスをポロッとやっちゃうのは如何なものか。「潮騒理髪店」は旅行記のような面白さはあるがミステリ的には少々強引な気がする。
そしてやはり全篇に亘って、文章のさりげない巧みさが素晴らしい。 |
No.233 | 6点 | 丸太町ルヴォワール- 円居挽 | 2015/01/08 08:03 |
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ネタが出尽くした本格ミステリにおける処世術、という感じ。悪い意味ではなく、成程こういうやり方もあるか、と思った。“携帯電話の電波がペースメーカーに及ぼす影響”という点にどの程度リアリティがあるのか判らないが、作品世界内での“設定”ということでまぁいいか。 |
No.232 | 6点 | 妖盗S79号- 泡坂妻夫 | 2015/01/05 12:19 |
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「庚申丸異聞」「南畝の幽霊」「檜毛寺の観音像」が面白かった。見て判らないほど細かく裂いてセーターに編みこんだ日本画を復元って、理屈はともかく現実に可能なんだろうか。「癸酉組一二九五三七番」だけは現金を頂戴しているわけで、最後に語られるS79号の行動原理とちょっとずれているのでは。 |
No.231 | 7点 | クラウド- 門谷憲二 | 2014/12/26 20:28 |
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作者の本業は作詞家で、'70年代フォーク・シーンから登場したひと。代表作は「通りゃんせ(佐藤公彦)」「君は薔薇より美しい(布施明)」等。そっち側からの軽い興味で手に取ったが、作詞家の余技などではない骨太な作品で失礼ながら少々驚いた。但し、あまり読まないジャンルなので、舞台設定の(個人的な)目新しさに紛れてストーリーへの評価が甘くなっているかも。
日本中国台湾の微妙な綱引き関係を背景に天才ハッカー同士の対決と警察機構の諸々を描いたサスペンス、といった内容。ミュージシャンが書いた小説などにありがちな雰囲気モノでは全くない。かなりの知識もしくは下調べの上で複数の陣営の複雑な思惑を緻密に描いている。 瀬川、正宗、あかねの“瀬川チーム”のエピソードが印象的。 最終章で突如、幻想小説みたいになるのも、「名探偵」といった解説役が不在な以上まぁアリかなあと。ただ、明かされた“結城情報”の中身には失笑してしまった。 あと上下巻に及ぶのはちょっと長過ぎ。キャラクターが矢鱈多い、のはともかく、警察関係者(特に上層部)の印象が似通っているのは、しかたないかもしれないが物足りなかった。 |
No.230 | 6点 | 公開処刑人 森のくまさん-お嬢さん、お逃げなさい-- 堀内公太郎 | 2014/12/16 20:37 |
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叙述トリックを用いた構成は殊更目新しいものではないが、ストーリーときちんと噛み合って効果を上げていると思う。単なる“第二弾”ではなく、前作を上手く捻った続編である。 |
No.229 | 7点 | 〔少女庭国〕- 矢部嵩 | 2014/12/15 20:40 |
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私は賛。面白かった。読みながら“なんじゃそりゃ!”と100回くらい口走っちゃったけど。
変則的なルールを設定して、更にその抜け道を作者自身が一生懸命探す感じは西澤保彦あたりを思わせる。コロンブスの卵だけど“壁を壊す”には拍手した。 |
No.228 | 3点 | その孤島の名は、虚- 古野まほろ | 2014/12/11 20:27 |
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変な話……設定が強引な割りにあまり面白くない。ミステリ要素(○○を殺したのは実は××だったのね!)も、ごちゃごちゃした説明に呑まれてなんだかどうでも良くなってしまった。 |
No.227 | 7点 | さよなら神様- 麻耶雄嵩 | 2014/12/02 19:03 |
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神様という設定があまり生きていないな~と思いながら読んでいたら、後半、“事件の因果関係が覆る”“神様を利用する犯人”というネタに驚かされた。これも計算のうち?
ところで本書に限らないが、シリーズものの短編集でキャラクターの説明が1編ごとに繰り返されるのは邪魔。雑誌掲載時に必要だったのは判るけど。 |
No.226 | 5点 | 二歩前を歩く- 石持浅海 | 2014/11/27 17:11 |
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西澤保彦みたい……。
同じパターンの短編を6編も並べるのはやりすぎ。 |
No.225 | 4点 | サイタ×サイタ- 森博嗣 | 2014/11/25 13:19 |
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“人間は複雑だから”ということに都合良く寄り掛かり過ぎだと思う。ミステリの看板を掲げているのだから、もう少し理詰めでスッキリさせて欲しい。もしくは、そういった曖昧な部分を多く呑み込んだ混沌としたものを意図しているなら、ストーリーがつまらなすぎる。探偵サイドがほぼ最後まで傍観者のままで、不充分なデータでアレコレ言っているだけ、という印象。
あと、張り込み中にコーヒーとかウーロン茶とか飲んでいるけど、尿意で困らないのだろうか。探偵達の態度が妙に緩い気がする。そういう描写は別に本書に限ったことではないのに今更こう思ったのは、森博嗣の近作をつい突っ込みどころを探す目で読んでしまうせいか。 |
No.224 | 7点 | 毒薬の輪舞- 泡坂妻夫 | 2014/11/25 13:18 |
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犯罪の物語というよりはスラップスティック・コメディであって、それだけに人死に無しで完結させられなかったものかという点が惜しい。 |
No.223 | 4点 | 卯月の雪のレター・レター- 相沢沙呼 | 2014/11/21 11:09 |
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善意の擦れ違いで生じた不可解な事件(善意と言い切れないものもあるが少なくとも悪意ではない)を集めた短編集。
というコンセプトが本書の弱点。端からリミット設定済みで謎が自由に伸びていかない、という印象。個々の作品自体は悪くないが、こういう形でまとめたことでマイナスの相乗効果が働いてしまった。“日常の謎”とはいえ、円紫師匠だって小市民シリーズだって或る程度の悪意を混ぜることでヴァリエーションを出しているのであるからして。 |
No.222 | 6点 | 武蔵野アンダーワールド・セブン 多重迷宮- 長沢樹 | 2014/11/19 11:59 |
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これはミステリの皮をかぶったミステリではない何か。但し紛れも無いエンタテインメントである。事件の真相としては如何なものかと思うし、類似作品が複数あるにしても、楽しめたので私は良しとしたい。作者もリスクは承知で踏み出した一歩だった筈。夕紀乃ちゃんがいじらしい。 |