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虫暮部さん
平均点: 6.22点 書評数: 1681件

プロフィール高評価と近い人書評おすすめ

No.301 4点 犬神家の一族- 横溝正史 2016/04/30 10:53
 確かに、本作はこの手のパターンの雛型のひとつになったのかもしれないが、さまざまな後続作品に負けてしまったと思う。あれやこれやを読んだ後では、時を超えて生き続ける不朽の名作と呼ぶには物足りない。結末に全然意外性がない。“斧”の見立てなんてバカミスだよ。斧をどこからか持って来て置いておくほうが簡単でしょ。あんな判じものを即座に読み解く金田一耕助は凄いんだか何なんだか。

No.300 7点 屋根裏の美少年- 西尾維新 2016/03/29 12:44
 “神を描いたんだ”という説明はあまりピンと来なかった。

No.299 6点 メアリー・スーを殺して- 乙一 2016/03/25 12:06
 4(プラス1)人の作家による短編集。ミステリ要素のあるもの、幻想味の強いもの等のヴァリエーションはあるが、共通する或る種の雰囲気に貫かれていて、まるでひとりの作者が書いた作品集のようだ。
 「山羊座の友人」は主要人物が少ないこともあってなんとなく予想した通りの捻りだったが、独特の乙一ブシのおかげで強い印象が残っている。一方「エヴァ・マリー・クロス」はその捻りも無くやや物足りない。

No.298 7点 ゴースト≠ノイズ(リダクション)- 十市社 2016/03/18 14:11
 こういう感じの、叙述トリックと組み合わせた青春ミステリには食傷気味なのだが(それはそういうのに多く手を伸ばす自分のせいであって作者のせいではないが)、本作はその中では出来の良い方だと思う。最終章まで見事に騙された。基本的にミステリ要素は作者が読者に仕掛ける叙述トリックだけで、ストーリー自体は“謎とその解決”ではないが、充分ミステリに含めて良いと思う。
 良く判らないのがネーミングのセンスで、“高町”はともかく、“玖バ・カ帆”はないだろう。絶対何か(母親の連れ子だ、とか)の伏線だと思ったのだが。

No.297 7点 儚い羊たちの祝宴- 米澤穂信 2016/03/18 14:07
 本書に限らず、“羊”を食べる話は好き。
 「山荘秘聞」のオチは下らなくて困った。

No.296 6点 鍵の掛かった男- 有栖川有栖 2016/03/08 10:58
 仮に本当に自殺だったとして、“間違いなく自殺である”という証明はなかなかハードルが高いのではないか。その場合、調査の引き際をどう設定するかが重要だが、その点について言及しないまま依頼を引き受けてしまったので、“おいおいアリス、大丈夫か”と思った。

 あと印象に残ったのが“猿真似をする技量もないのを糊塗するためにオリジナリティを求め、自意識を垂れ流すだけの下手な小説を書いてしまう勘違い野郎にも愛しみを覚えます”という影浦の台詞(作者の小説観を反映していると解しても良いだろう)。下手なオリジナリティより猿真似の技量を上位に置くか。有栖川作品を思い返してみると理解出来なくも無い(いや、メフィスト賞あたりに対する批判?)。

No.295 5点 王とサーカス- 米澤穂信 2016/03/03 15:36
 悪くはないけど、期待し過ぎた。主人公の苦悩が“いかにも~”という感じで物足りない。そんなことはフリーになる段階で悩み終わっとけ。この程度で“記念碑的傑作”と謳ってしまうのは、寧ろ作者の資質に対する過小評価なのでは。

No.294 8点 ウルチモ・トルッコ 犯人はあなただ!- 深水黎一郎 2016/03/01 11:17
 認めます。私も犯人です。

 「読者が犯人」というネタは他とは違う。だってそもそも無理じゃん。それを一瞬の幻影でも良いから成立させようとする作者の心意気を楽しむには、読者はアラを探すのではなく、作者の緩やかな共犯者としてトリック成立の為の歩み寄りを図るのが得策。
 勿論そうは言っても程度の問題ではあるが、本作は充分良く出来ている。例えば、ゆるキャラに対して“これはヌイグルミで中にはひとが入っている”とかいちいち言わない程度の許容力があれば大丈夫。

 これ、1行目からラストまで全てが新聞小説(“作中作”と呼ぶべきかどうかは迷う)で、イコール私がいま手に持っているこの書籍、なわけだから、文庫版解説は邪魔。この点が惜しい。

No.293 6点 虚構推理 鋼人七瀬- 城平京 2016/02/22 09:47
 謎解き(でっちあげ)部分より前半のキャラクター紹介のほうが面白過ぎて、あまりミステリを読んだという気がしないなぁ。

No.292 6点 中野のお父さん- 北村薫 2016/02/16 10:06
 「幻の追伸」で、“暗号文”を作るのに予め1行15字に限定する必然性は薄い。作者が読者に対して示したメタ的な手掛かりのようで不自然に感じた。

No.291 6点 東京結合人間- 白井智之 2016/02/01 10:35
 この奇想は買いだ。ちゃんとミステリになっているし、面白かった。中学生が書いた小説みたいだと自虐的な台詞を登場人物に言わせているが、結合人間のヴィジュアル・イメージのおかげで一味違った絶海の孤島モノになっていると私は思った。しかし気持悪い。もう一度読めと言われても御免被る。

No.290 6点 片桐大三郎とXYZの悲劇- 倉知淳 2016/01/28 12:31
 ネタがXYZと来れば最終話をどうするかが一番の問題だが、本書はそれを見事にクリア。しかも、そういうミステリ・ファンの意地悪な期待感を巧みに利用しての着地。予備知識があるゆえに引っ掛かるヒネリを繰り出す作者のほうが一枚上手。拍手。

No.289 5点 新しい十五匹のネズミのフライ- 島田荘司 2016/01/26 11:43
 バウチャーことメリーウェザーが親しく付き合い始めた女性がワトソンの義姉だった、という偶然は許容範囲内か? ちょっと受け入れがたいなぁ~。

No.288 7点 凪の司祭- 石持浅海 2016/01/20 09:56
 第七章で、三枝が百代を追って走り出した時、それを放置して他のメンバーは別方向へ歩き出す。これが防犯カメラに映っていれば充分に不自然な行動だと思うが、メンバーの誰も問題視していないのはおかしい。

No.287 6点 月は幽咽のデバイス- 森博嗣 2016/01/06 08:15
 登場する諸々のガジェットは面白い。但し水槽は存在自体が不自然だなぁ。うっかりすると床が水浸しになる設備を、敢てオーディオ・ルームに置くか。部屋の仕組みと連動して水路を遮断するような細工も可能でしょう?
 ところで、再読して記憶違いに気付いた。パラボラ・アンテナについて犀川先生が解説するシーンがあると思っていたけど、そもそもシリーズが違うわ。記憶なんてあてにならないものだ。

No.286 7点 ぺてん師と空気男と美少年- 西尾維新 2016/01/04 10:17
 “ライバル校の企みを暴け!”て少年漫画か! ミステリ的には薄味だが面白い。この世界設定でこそアリなネタを上手く使っていて、まぁそういう芸風って事で。私は好きです。

No.285 8点 掟上今日子の退職願- 西尾維新 2015/12/30 11:08
 ここまで思い切って色々な要素を省いて骨格だけにしてもちゃんと成立するのは、ミステリのお約束的な部分が実は単なる形式に過ぎないと言っているようだ。どうせダミーに決まっている容疑者のプロフィールとかアリバイとかダラダラ読むのは確かに無駄だよなぁ。それで尚、単なる推理クイズに堕することなく“小説”として読ませる西尾維新の筆力は見事。

No.284 5点 人形式モナリザ- 森博嗣 2015/12/10 12:24
 “犯人は誰を騙そうとしたのか”という問いは魅力的だが、あのトリックでどうしてソレを騙したことになるのか判らない。あと、探偵役は提示されている手掛かりでどのようにその解答(犯人の内面)に辿り着けたのか。探偵役が直感で作者の言いたいことを代弁してしまうのはズルだと思う。

No.283 6点 人間の顔は食べづらい- 白井智之 2015/11/27 09:32
 基本設定は凄いツボ。しかし、登場人物の動きが不自然に感じられる箇所は多々ある。
 因みに、“柴田和志(通称チャー坊)”というのは“村八分”のヴォーカリストの名前そのまま。同バンドのギタリストは“山口冨士夫”。タイトルは“ヒカシュー”の♪人間の顔は面白い~、という歌をもじったものか。

No.282 6点 その可能性はすでに考えた- 井上真偽 2015/11/17 12:34
 ひとつ違和感があるのは、ギロチンや閂について、少女は体力的に動かすのは無理、と断定していること。ちょっと基準がファジィではないか。もっと物理的な根拠を用意して欲しかった。

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虫暮部さん
ひとこと
好きな作家
泡坂妻夫、山田正紀、西尾維新
採点傾向
平均点: 6.22点   採点数: 1681件
採点の多い作家(TOP10)
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