皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
虫暮部さん |
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平均点: 6.22点 | 書評数: 1843件 |
No.27 | 5点 | ダブル・ダブル- エラリイ・クイーン | 2020/07/21 11:51 |
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諸々の構成要素や明かされた真相を鑑みるともっと楽しめてもおかしくないのだが、実際にはいまひとつ話に乗れなかった。
周りの登場人物達はリーマをとても魅力的な女性として扱っているけれど、彼女を直接描写した文章を読むとそうでもない。 |
No.26 | 8点 | 九尾の猫- エラリイ・クイーン | 2020/07/10 14:23 |
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残念なのは、題名の Many Tails を“九尾”と訳したこと、及び登場人物表。そして冒頭の一文(“九幕の悲劇”)。
9人死んだところでついホッと一息ついてしまった。本来そう思う根拠は何も無い筈なのに。 電話の加入者が3~4人に1人って、私もちょっとびっくり。 |
No.25 | 8点 | 十日間の不思議- エラリイ・クイーン | 2020/06/26 12:00 |
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前半はちと冗長。
第一部末尾のエラリイの推理から俄然面白くなる。 総合的には、後半がもたらす読後のインパクトを重視して高評価していいかと思う。 “自分の行動が信用出来ずに怯える依頼者”は前作長編『フォックス家の殺人』でも使った要素で、二度ネタ厳禁! と言う程ではないが、2作続けてそれってのはどうなんだろう。間に3年ブランクがあるにしても、自己プロデュースと言う点で甘かったのではないか。 |
No.24 | 7点 | フォックス家の殺人- エラリイ・クイーン | 2020/06/26 12:00 |
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後出しの情報が色々出て来たりして、パズラーとしてはいまひとつ。“調べる過程”の物語としては面白い。しかしこの設定なら“いつ毒が混入したか”と言う不可能性をもっと強調したほうが良かったんじゃないの。それでは謎が簡単過ぎる?
ACのアレに、アニマルつながりで元ネタを示して挑戦している? |
No.23 | 4点 | エラリー・クイーンの新冒険- エラリイ・クイーン | 2020/04/02 11:51 |
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「神の灯」はホワイダニットのミステリだと思う。何故犯人はそんな現象を演出したのか? その点に於いて不出来だ。“家の消失” って、そこから人を遠ざけるのに有効かなぁ? 更に言えば、そもそも人を遠ざける工作が必要な状況か? 彼女を送り届ければ弁護士の役割は完了だから、丁重に御帰り願えばいい。犯人が “彼女を殺すことも辞さず” とのスタンスなら、あとはどうにでも出来るだろう。
ハウに関しても、事件の様相を鑑みると、実は真っ先に思い付くトリックなのでは。ただ “そんなもの作る奴がいるか?” との常識的判断が障壁になっているのであり、作者は “いるのだ!” で押し切っているだけである。 「宝捜しの冒険」でエラリーが仕組んだ罠と、「人間が犬をかむ」の皮肉な真相は、まぁ面白いと思った。 |
No.22 | 7点 | 靴に棲む老婆- エラリイ・クイーン | 2020/03/27 14:05 |
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キ印ファミリーのキャラクターが悉くツボ。
ところで、第一の殺人で一番怪しいのはエラリーではないかいな。 エラリーは一人で拳銃を取りに長兄の部屋へ行った。部屋を出てから決闘場所に面々が揃うまで、場面が少し飛んでいる。その道すがらは描写されていないので、そこですり替えを行うことが可能である。 拳銃を渡す前に念の為の確認をしていない点、また“状況的に自分にも可能だ”と自身で指摘していない点も気になる。 動機は、次章冒頭で語られている如く、“殺人の現場に立ち会う特典に浴して”みたかったのだろう。 7章。“小さなコルトは(略)そのままそっくりあった”――原理的に、1度手に取った銃を“そのままそっくり”の状態に戻すことは不可能である。三人称でコレ大丈夫なの? と思ったら、この記述は正しいのだ。なんというフェアプレイ! |
No.21 | 5点 | エラリー・クイーンの冒険- エラリイ・クイーン | 2020/02/15 12:17 |
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読みながら思ったこと(順不同)――
・こういうプロットは他にも読んだことがある(クイーンの作品の方が元ネタなのかもしれないが)。 ・文化に基づく習慣を根拠に性別を推測するのは強引。 ・誰一人引っ掛からない偽の手掛かり、って単なるページ稼ぎでは。 ・詐欺行為のカムフラージュに窃盗/強盗/不法侵入を行うのは、捕まるリスクを増やすだけでは。 ・七匹も買われる前に何か変だと思わないものか。店員が“買ったものをどうしようと御客様の自由ですから”と言うキャラクターならともかく。 ・殺人現場を調査中のエラリーは、何故“偶然、ドアノブを拭いて指紋を全部拭きとった”のか。下手すると証拠隠滅。 しかし、突っ込みどころの無い作品が優れていると言うわけでもなく、一番面白かったのは、手掛かりがわざとらしい「ガラスの丸天井付き時計の冒険」。巡らした策が却って首を絞めている、余計なことしなきゃよかったのに、と普通なら言うところだが、ここでは犯人のミスに説得力が認められていいね。 |
No.20 | 3点 | 災厄の町- エラリイ・クイーン | 2020/01/05 12:36 |
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何か変だ。“3通の手紙”が、どうにも納得出来ないのである。
殺人計画を立てる。そして、実行したわけでもないのに、その状況を知らせる(つまり架空の内容の)手紙を書く――何の為に? そんな準備が必要? リハーサル(笑)? “妻を殺す”ごっこ遊びで、敢えて実際に書くことで心の奥の鬱屈を昇華させようと試みた、なんて解釈の方がまだ判るけどなぁ。“手紙=殺人計画の証拠”と言うことを誰も疑っていない。この奇妙な世界設定、目をつぶるには大き過ぎる。 出番少ないけど長女ローラのキャラクターは好き。 |
No.19 | 7点 | ドラゴンの歯- エラリイ・クイーン | 2019/12/26 11:48 |
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遺産相続を巡るあれこれは、書き方が巧みなので飽きずに読めるが、飽くまで想定の範囲内に終始している気もする。ようやく事態が動くのは物語の半ばあたり、そこを過ぎて俄然面白くなるものの、最後に物凄い偶然による人間関係が発覚して呆然。国名シリーズにも似たようなサプライズがあったね。あと、前作『ハートの4』と同じような“雇用者と使用人の関係性”を連続して使い回すのは如何なものか。 |
No.18 | 6点 | ハートの4- エラリイ・クイーン | 2019/10/23 16:12 |
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ポーラ・パリス:群衆恐怖症で6年間家から出ず、しかし町のことを何でも知っている、パイプオルガンのような声の美女。昨今のラノベに出て来そうなこのキャラクターがいい。
“罠”のとばっちりで殴られたパイロットが気の毒。“あの一撃は軽かったし”って、そういう問題じゃないだろう。見てないで助けろよ警視。 |
No.17 | 5点 | 悪魔の報酬- エラリイ・クイーン | 2019/09/30 10:46 |
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結末で明かされる真相、特に僅かなタイミングの差で擦れ違い修復不能になっていくさまは面白かったが、トータルな物語としてはいまひとつ。特にヴァレリー:上流階級のお嬢さんが没落して、料理も自分でしなきゃならない働かなきゃいけない嗚呼庶民生活は悲しいわ、って感じで全然気の毒ではないのが致命的。
この話が何故この題? と思い辞書を引いたら、the devil to pay で“何かの結果としてのトラブル”といった意味。慣用表現としてのニュアンスを考慮せずに訳しちゃったか? |
No.16 | 6点 | 日本庭園の秘密- エラリイ・クイーン | 2019/08/14 12:49 |
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作者は何故わざわざ婚約者の名前をリチャードにしたのか。おかげで警視は一度もフルネームで呼ばれていない。ありふれた名だから偶然重複するのもリアリティだとか考えたのだろうか。いや待て、そもそもEQシリーズ全体の設定として、リチャード・クイーンと言うのは仮名だっけ? |
No.15 | 8点 | レーン最後の事件- エラリイ・クイーン | 2019/03/18 10:58 |
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リアルタイムの読者は、本書が刊行された時、XYZ三部作かと思ったらまだあったんかい!? と突っ込んだのではないだろうか。
必要以上に謎めいた行動をするキャラクターが目に付いて、心情的には充分納得出来たとは言えない。しかし(トリックやロジックではなく)ストーリーと言う点では、四部作の中で一番面白い。 ところで何故ドルリー・レーンものの作者名はバーナビー・ロスからエラリー・クイーンに変わってしまったのだろう。複数のペンネームを持つ作家など珍しくないのに。どんな事情にせよ、野暮なことだなあと思う。 |
No.14 | 7点 | Zの悲劇- エラリイ・クイーン | 2019/03/04 12:26 |
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初めて読んだ時は10代前半。本書のおかげで patience という英単語を覚えた。
ドルリー・レーン達は、証人の立会いなしに監房で被告に実験を仕掛けて証拠をひとつ駄目にしているが、最終幕直前に某の証言を得る際も同じ失敗をしていないか。作中では誰も問題視していないけど。 第二の殺人、強請る相手を殺しちゃったら元も子もないだろうに。 サム元警視は何度も身分詐称している。 気になるので書いてしまいます。クリスティ再読さんの評の「医者ならば聴診器を使うはずだ」のくだりですが、現場の状況から“聴診器を使わなかった”と判断するのは困難。かといって“医者ならば脈で死亡確認はしないはず”という理屈はちょっと微妙。〝医者ならば聴診器を使わねばならない”と言う必然はなく、裏をかいて“医者があえて聴診器を使わない”という可能性もある。やはり最後の証言は必要だと思います。 |
No.13 | 8点 | Yの悲劇- エラリイ・クイーン | 2019/01/24 11:23 |
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1932年、EQは『ギリシア棺の秘密』『エジプト十字架の秘密』『Xの悲劇』という、パズラーのスタイルを規定するような端正な傑作群を発表し、同時にそのスタイルがまさに“スタイル”であることを逆手に取ったような或る意味セルフパロディの如き本書も上梓。あたかも右手で穴を掘りながら左手で埋めるような自由自在な自己対象化スタンスは驚嘆に値する。実はエラリー・クイーンって二人いたんじゃないの?
第一幕第二場、“次は百合の花が凶器になるでしょうよ”って何。英語の慣用表現、それとも単なる意味無しジョーク? |
No.12 | 7点 | Xの悲劇- エラリイ・クイーン | 2018/12/03 14:30 |
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もう殺人は起こりません、とレーン氏が言ったけど、ウルグアイ領事館訪問より前だし、根拠は何も無いよね。また、死体が上手く潰れるかどうかは確実性に欠けるのでは。全体的にレーン氏のスタンスが中途半端でいたずらに事件を引き伸ばした印象を受ける。まぁ有名作が粗探しの対象になるのは宿命ってことで。 |
No.11 | 7点 | 中途の家- エラリイ・クイーン | 2018/09/10 11:08 |
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良い意味で読み易くて面白かった。
しかし有罪判決が出るほど彼女は疑わしかっただろうか? ストーリー展開を優先した作者が検事や陪審員を少々馬鹿に設定した、と言う印象。また、厳しく見るなら、現場に遺留品を残すのはやはり無用心であって、“それを回収出来なかった理由”が欲しかった。 因みに、カーター・ディクスン『プレーグ・コートの殺人』には、語り手の婚約者がアレを嗜むとの設定がある。 |
No.10 | 6点 | シャム双子の秘密- エラリイ・クイーン | 2018/07/20 09:31 |
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シャム双生児の刑罰に関する法律談義が面白い。
さて、国名シリーズ9作を読み返して思ったこと。タイトルとストーリーの関わりが乏しく、国名を掲げる為にこじつけているようなケースが少なくない。で、あれば。内容の共通性があるわけでもないこれらの作品群を、さほど意味のないタイトルを基準にひとくくりにして、シリーズ内シリーズとして別枠扱いする正当な必然性はあまり無いんじゃないの? |
No.9 | 6点 | アメリカ銃の秘密- エラリイ・クイーン | 2018/06/25 10:13 |
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そもそもロデオ・ショーがそんな大規模な興行として成立することがイメージしづらく、文化や時代の隔たりを感じたものだが、“クラブでキャブ・キャロウェイの新曲が演奏されていた”というくだりでなんとなくひとつにつながった。
第8章、弾道学の場面は基本の再確認という感じで楽しかった。 あと、これ書いたらネタバレ?犯人がサーカス芸人くずれで銃をすばやく分解して飲み込んだ、と推理したんだけど……。 |
No.8 | 5点 | エジプト十字架の秘密- エラリイ・クイーン | 2018/05/16 09:26 |
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地名と同じ苗字なんて珍しくもないのであって(単に縮尺の問題と言う気もするし)、5章で地図帳を手にエラリーが披露した推理は冗談を聞かされているような気分になった。その場にいた捜査陣が誰一人ツッコミを入れないので、“下手なミステリのワン・シーンを皆で演じている”みたいだ。
ところで、裸体主義者の共同体が登場するのに、うっふ~んな描写があるわけでもない。それじゃ意味ないだろって。サーヴィスが足りないよ君ィ。 |